記事一覧
読書記録_ユートロニカのこちら側
『ユートロニカのこちら側』
小川哲著
早川書房
監視社会で暮らす人々やその周りを描いた連作短編集。『地図と拳』がずっと気になっていたけれど、はじめて読む作家の作品としては分厚すぎて尻込みしていたので、まずはデビュー作のこちらから。ハヤカワSF大賞受賞らしい。
正直に言うと、これが大賞って本当?と思ってしまった。期待が大きすぎたのかしら。ほかの分厚い作品を読む弾みになるはずが、辞めておこうか迷
日記_ケーキを食べる
いちごの季節はアフタヌーンティーに行きたくなる。
◯ウェスティン恵比寿
昨年のリニューアル後初訪問。テラスのスイーツビュッフェの頃と変わらず、見た目も味も重量も都内最高峰だとおもう。次の日の胃袋を前借りして訪れたいお店。
上段奥から反時計回りに
・フレジェ
…定番。ピスタチオバタークリームの濃厚さといちごのフレッシュさの対比が鮮やか。
・苺とピスタチオのリコッタチーズクリーム…リコッタ
日記_古文・漢文は高校生に必要か
「古文の勉強が役に立ったことは一度もない」という趣旨の発言が、少し前に話題になった。これについて思うところをつらつらと。
わたしの立場は必要派だ。理由は大きく分けて2つ挙げる。②は理由じゃないかもしれない。
① 自国の文献を読む術は身につけるべき
② 古文・漢文ほどタイパの良い教科はない
① 自国の文献を読む術は身につけるべき
よくいわれることだが、「愚か者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
日記_作中作面白くない問題
作中作面白くない問題、すなわち小説や映画等の創作物に登場する小説や歌等の創作物が面白くなかったり、魅力がなかったり、説得力にがないことがあるのは一体どういうことなのか。作品の本筋を多層的に深めるためにあるはずなのに。
この問題にあてはまらないものももちろん多い。けれども、その作品自体は面白いのに作中作は微妙な作品が、妙に多い(気がする)。作品自体が微妙で、作中作も微妙なものは言わずもがな。
読書記録_空白を満たしなさい
『空白を満たしなさい』
平野啓一郎著
講談社
電車で向かいに座っている人の表紙が目に留まった。ゴッホの自画像。ちょうどゴッホ展もやっていることだし、『本心』は面白かったし(『マチネの終わりに』はあまり好みでなかった)、読んでみた。
ジャンルでいうなら、かなりサスペンス・ミステリー寄りの啓蒙書だろうか。
突然、死者が蘇るようになった世界で、主人公の徹生もまた蘇った。彼には、死ぬ直前の記憶が
読書記録_ティファニーで朝食を
ティファニーで朝食を
トルーマン・カポーティ著
村上春樹訳
新潮文庫
自由でありたい、といつも思う。なにかに縛られたくないし、なにも押し付けられたくない。なににも消費されたくない。そういう煩わしさから解放されたとして、わたしの芯となるものはあるのだろうか。自由でありながら、社会で真っ当にやっていくことは、自由を得ることよりも、むずかしいのかもしれない。『ティファニーで朝食を』を読んでいて、そん