最近読んだ本9

偶然にも立て続けに「女と女」の関係性が中心にある本を読みました。

1、『戦争は女の顔をしていない 3』
原作ありの漫画(コミカライズ)の方です。第二次世界大戦中の独ソ戦に参加した「女性兵士(パルチザン/遊軍含む)」の語りを、女性記者が聞き取っています。※戦争に行かなかった女性の聞き取りも含みます。
この本の内容について何も知らない日本人が「戦争と女」というキーワードを聞くと、
・空襲で逃げ惑った市民の女性
・敵兵に乱暴された市民の女性
・夫や息子を戦地に送り泣いた市民の女性
といったイメージが湧いてくるんじゃないでしょうか。全然違います。
記者が取材したのは主に「祖国を守るために自ら戦争に行くことを選んだ」女性たちです。ある女性は「なぜ私を採用しないのか」とかなりしつこく軍にかけあっています(そういう女性が複数名いる)。
もちろん戦争の聞き取りなので、戦争の悲劇(悲劇という言い方では済まない、途方もなく残酷な出来事)が彼女たちから語られます。男性兵士が語った戦争体験と決定的に違うのは「女性だから感じたこと・体験したこと」がある点です。当たり前ですが。
月経の血でズボンが血まみれになり、それでも垂れ流しながら歩き続けた。
覆いかぶさって守ってくれた男性兵士がいた。
戦争では「一人の兵士」「一人の看護婦」として尊重されたのに、戦争が終わったら「こんな花嫁なんて」と差別をされた。

次のもう1冊と合わせて、総合的な感想を書きます。

2、『裏世界ピクニック8 共犯者の終り』
ガラリと変わって「女子大生ふたりの怪奇サバイバル小説」です。
Twitterで書いた第1巻の感想というか紹介文がこちらです。

・怖い話、中でも都市伝説が好きな人はぜひ ※多少耐性がある人ならぜひ
・SF好きな人もぜひ
・銃器が好きな人もぜひ(結構出てくるよ)
・百合!!! とてもいい百合!!!
・読みやすいよ
・めっちゃ面白い
何せこの作品を読み始めたのがTwitterで流れてきた作者の宮澤先生のちょっと様子がおかしいインタビューを読み、そのあまりの限界百合オタクぶりに「大丈夫かこの人」と心配になったからです。
主人公ふたりの関係を見守り続けて第8巻、はい拝みました。一言で表すなら【祝】です。怪奇要素は一番薄めなんですが、それはそれとして……。

そしていきなり『戦争は女の顔をしていない』も含めた総合的な感想です。感想というかフェミニズム論考です。

最近、「性自認」の文言があるLGBT理解増進法のヤバさについてようやく「一般市民」の方々も気付き始めたのはいいのですが、Twitterで反対の声をあげているのが
・女性
・保守系の男性
・LGBTのそっとしておいてほしい当事者
で、見事に「ノンポリ男性」「左派男性」が入っていません。びっっっっっっっっっっくりした。(女性スペースを守る会の滝本弁護士くらいですかね。ただwikiを見て、その内容を信じるなら「学生時代の早い段階で左翼の欺瞞に気付き見切りをつけた」人のようです。わかる……)
当たり前っちゃあ当たり前ですが、「一般男性」にとってはLGBT理解増進法は一見何も関係ありません。「俺に関係のない『かわいそうな人たち』の権利を守る法律? いーんじゃない、好きにやってよ」という感じです。もしくはミソジニーの強い男性なら「何か女が騒いでるな(笑)馬鹿な女どもが騒ぐということは良い法律に違いない」くらいに思ってるんじゃないですか。※「一見」と書きました、ガッツリ関係あります。これは別の機会に。
尚、反対の声をあげている保守系の男性が守りたいのは、女性の身の安全ではなく、日本という国の秩序や治安です。これもTwitterに書こうかどうか相当迷いましたが、例えば皇統の男系男子を維持したい保守層にとって、性自認という「思い込みや自称(医師の診断は不要、自認なので)」が法律により尊重せよと決まれば、「出生性女性の性自認男性の天皇」が誕生するのも可能になります。
残念ながら日本の一般男性にとって、女性はそういう存在ということです。今までも女性が声をあげてきたし(そしてトランスカルトに潰されてきた)、今も声をあげているのに、男性には届いていない、全く聞こえていない。
わかりやすく「女児が殺される」「自分の妻や娘が殺される」という最悪なケースが発生しない限り、真剣には考えられないのだと思います。それでも一部の男は問題の根幹から目を背け続けるでしょう。
もうひとつ、これも別の機会にちゃんと書きたいのですが、先日お邪魔した東海遊里史研究会で、
「GHQが公娼を廃止したのは性病蔓延が原因」(だと推測できる)
ということを聞き、かなり衝撃を受けました。日本史では人道上の理由で、と習ったはずです。


研究会での発表にかなり近い博士論文がありましたので、参考までに。
なお公娼制度や性産業の是非に関してはここで論じません。

未だに女性の声が無視され続けているこの国で「女性の声を聞いて女性のために人道上の理由で決定された政策はないし、これからもないのではないか」と考えています。

話を少し戻してご紹介の2冊、共通するのは
・女性同士
・女性が銃器を持つ

という点です。
『戦争は〜』は女性記者が女性兵士の聞き取りをしています。『裏ピク』はレギュラーキャラの汀さんを覗くと、登場人物はほぼ女性です。
『戦争は〜』では狙撃兵だった女性のエピソードが複数出てきます。『裏ピク』の主人公ふたりは銃を持って危険な裏世界を探検しています(時に突然飛ばされます)。
・女性の話が聞けるのは女性だけ
・女性は「銃が必要な治安の中で、銃を持って生きる時のみ、ひとりの【人間】として生きられる」
のではないでしょうか。銃は金属なので扱うにはある程度の筋肉量が必要です。ただ扱えれば13歳の少女が35歳の大男を殺すことは理論上可能です。狙撃兵の女性が、ドイツ兵の男性を撃つのと同じです。

以降は本の感想から離れて、特に性自認の文言があるLGBT理解増進法をいかに廃案にするか、廃案にできないのであればそこから展開される世界についての対処法です。
・男は女の「女について」の話を絶対に聞きません。それを大前提として「性自認の文言があるLGBT理解増進法があると『男が困るんだよ』」という内容を訴えていく
・万が一成立してしまったら、武装する
はい、武装です。現在の日本では銃が持てませんからそれ以外になろうかと思います。一応ここでは「合法的なヤツね」としか書けませんが、アメリカの(以下はTwitterからの転載↓)
スタンド・ユア・グラウンド法を成立させるべきだよね 日本の正当防衛と違い 「危険を感じた時点でぶち殺していい」法律
日本版のスタンド・ユア・グラウンド法を成立させる
ようにもっていくしかないんじゃないかと思います。
(尚、このスタンド・ユア・グラウンド法があるからアメリカでは「女装男に襲われそうになった」という理由で男がトランス女性を殺してしまえるため、トランス女性を守れという流れになった、と記憶しております)

男は女の話を聞かない、女のことなんぞどうでもいいという悲しい事実は変えていかねばなりませんが、「女性の身の安全を守る」というのが最優先事項ですので、どうぞここは「人を害することに加わりたくない」というごく普通の人々で一丸となって頑張りましょう。


わざわざLGBT理解推進法なんぞ成立させなくても、トランスジェンダーには既にある「合理的配慮」で対応可能です。何回でも書きます。

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