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#口語自由詩

窓の色

あなたは目を閉じて宇宙を作っている
窓に座った柔らかい虹の鉛筆
頬にふれる声のように温かい記憶を見たから

水中に存在しない音色の雨を
薄い光の底に反射するペットボトルを数える
表面だけ消えている色んな空が
あなたの作る窓に浮かんでいく

泥の空想

四足歩行から二足歩行へ、いつの間にか背が伸びて、視界は地面から離れていった

地面を手放して、人工的な空を話す

泥や砂にまみれた手で作った空想は、どこかで今も呼吸しているだろうか

具体的な空想は抽象的な現実に替わり、本当の空を忘れてしまった

そんな空っぽの手のひらが、懐かしい風の音色を想い出している

晴れない

腕を伸ばして八月にふれて

燃えるようないかり

凍えるようなひかり

喜劇みたいな夕焼けへ溶け出す劇

どこにもない空を見上げる

腕はそこら中

肌に居た

まだ晴れることのない青空

晴れないで

アメフラシ

雨の降らせ方を知らない

傘に不明な日々を暮らした

配ると組み立てたから

砂利のなかにしか居ないよ

祝っていた寝転がる

声凍えている同じ指で

外側に月夜を落とす動作たち