中田満帆

1984/07/03 兵庫県西脇市生まれ、神戸市出身在住。 詩人・童話作家=森忠明に…

中田満帆

1984/07/03 兵庫県西脇市生まれ、神戸市出身在住。 詩人・童話作家=森忠明に師事。 文藝、写真、絵、音。  HP https://mitzho84.wixsite.com/ampp Blog https://mitzho84.hatenablog.com/

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記事一覧

生活保護とアル中詩人(4)

★ 土日のなにがいやってなにをやってもウケないからだ きのうの文章といい、取り残された気分でいる そうさ、おれには友人がいない 文藝仲間だけだ 話し相手はいつも…

中田満帆
1時間前
3

生活保護とアル中詩人(3)

2013, Night of the Unemployed.  2013年になってそろそろ音楽をやりたいとおもった。うかつにも「音楽」なんて生活保護でアル中詩人には無用なもののはずだ。だのに中古…

中田満帆
1日前
6

生活保護とアル中詩人(2)

そもそもなぜ実家をでたのか?  おれの場合、極端に父との関係がわるかった。それに中学2年の終わりからは不登校になって、午は家に、夜は公園で過ごすという日々があった…

中田満帆
9日前
9

生活保護とアル中詩人(1)

どうにかこうにか、 じぶんの特性というものを知らないまんま 26歳までやって来た いろんな仕事をやって来て──そのほとんどが雑役だったが── それでもなんとかしてきた…

中田満帆
9日前
17

求む

 飯代求めて文章を書くというのは遠回りもいいところで、おまけに効率がわるかった。もしこれを読んでいくらか恵んでやろうというひとがあったらメッセージなり、メールく…

中田満帆
11日前
2

豚どもに火を放て──短歌について

   *  20年ほどまえに「新アララギ」の掲示板で短歌を投稿していた。たびたび撰者のほうから、かれが改作・添削した歌を押しつけられたことがある。最初のほうはおれ…

中田満帆
1か月前
9

ルード・ボーイたち

 鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る  裏階段上るだれかのかげをいまひとりじめする身勝手ばかり  布ひとひら浮かぶ人工河川やがて来るだろ…

中田満帆
1か月前
3

第5詩集『不/適/当/詩/劇』刊行

最期の詩集を刊行した。'22年から書き始め、今月になってようやく完成した。これからは歌人として活動する。    *  夜の雷光 9  夢であることの悲しみ 11  …

中田満帆
1か月前
4

レイモンド・チャンドラーの猫

 レイモンド・チャンドラーの猫はタケというなまえだったのだが、  来訪するアメリカ人たちの発音によってタキとゆがめられ、  図らずも、bamboo から water fall へと…

中田満帆
2か月前
6

電波塔にて

 きみのいうことがうそならそれもうそ ちがう芝居をたぐる演劇  誘導灯ならぶ路次があやしい夜のこと 近づいて来る少女ゐたりぬ  抜ける光りあり 週末をめぐる冒険…

中田満帆
2か月前
5

おれの徒然〈19〉「40歳」篇

 きょうでいよいよ40になった。獲たものよりも失ったものを算えてしまう。なにしろ、このひでえ人生で起きた出来事といったら救いがない。それでもじぶんを救いだすために…

中田満帆
2か月前
2

マグ・ショット

   *  松の木の太さにおもうはらからの首にふさわしい縄はありしかと  欲望にひだるいちじつ雨露を受ける樋すら悲しいひまぐらし  鍵穴が合わない夕べ地階にて癌…

中田満帆
2か月前
3

内なる猫

   *  孤悲というおもいちがいに囚われて身うごきできぬ夏の疚しさ  野に棲まう男ありしや炎天に燃ゆる月さえきょうはさみしい  狩り人のゐないゆうぐれ犀星の『…

中田満帆
2か月前
2

守護天使の休息

 午後まで晴れていたのに  それからはずっと  降りやがって  いまはもうちがった肉体が  駅を拒みつづけるのはいったい、  どういった理由なんだ、運転手さん  おれ…

中田満帆
2か月前
2

days (for all enemies)

★ なんとか生き残ったというだけの1日 今月はもうカラケツ 20,000在った貯蓄もなし その金でギターを、ギターを買おうとおもっていたのに 安物のシンラインか、エス…

中田満帆
3か月前
1

hydrangeas sway the river

★ ギターの件はけっきょくメーカー補修ということになった まあ、「STORIA Ⅰ」は小ぶりなギターだし、 それに執着するのもおかしい NAGIが直ればそれでいい 最近は…

中田満帆
3か月前
4

生活保護とアル中詩人(4)



土日のなにがいやってなにをやってもウケないからだ

きのうの文章といい、取り残された気分でいる

そうさ、おれには友人がいない

文藝仲間だけだ

話し相手はいつもじぶんである



じぶんのなかのいくつもの貌に応えるべく、

ものをつづっている

他人のいない世界、

それがつづく

むかしの級友たちはみんな

おれのことがきらいだ

完全に無視されてる

あたりまえに

そうさ、おれは

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生活保護とアル中詩人(3)

生活保護とアル中詩人(3)

2013, Night of the Unemployed.

 2013年になってそろそろ音楽をやりたいとおもった。うかつにも「音楽」なんて生活保護でアル中詩人には無用なもののはずだ。だのに中古でギターを探して状態のわるいストラトタイプのものを買った。そろそろ曲をつくりたいとおもうようになった。「楽曲とは」なんて生活保護でアル中詩人には無用なもののはずだ。その動機は2012年12月に初恋のひとに

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生活保護とアル中詩人(2)

そもそもなぜ実家をでたのか?
 おれの場合、極端に父との関係がわるかった。それに中学2年の終わりからは不登校になって、午は家に、夜は公園で過ごすという日々があった。父はおれが幼いころから離れをつくることに熱中していて、その手伝いがいやだった。家のなかで男はおれと父しかいないわけで力仕事は強制だった。
なぜ仕事をしないのか?
 定時制高校入学してから郵便配達や調理補助をやってみたが、まったく所作とい

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生活保護とアル中詩人(1)

どうにかこうにか、
じぶんの特性というものを知らないまんま
26歳までやって来た
いろんな仕事をやって来て──そのほとんどが雑役だったが──
それでもなんとかしてきた
両親も姉妹もきらいだったし、考えが合わなかった
じぶんを奴隷のように扱う父にも、
それを追認するような母にも、
姉妹にも耐えられず、
とうとうアルコール専門病院を経て、
自立施設に入ったのは2010年の春だった
職業検査を受け、発達

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求む

 飯代求めて文章を書くというのは遠回りもいいところで、おまけに効率がわるかった。もしこれを読んでいくらか恵んでやろうというひとがあったらメッセージなり、メールください。

   *

 土曜日にとある人から「詩集発刊のお祝い」として¥5,000頂いた
 ちょうど抗酒剤を切らしてしまったときだったので
 ¥3,000ほど酒で蕩尽
 残った金で映画『箱男』のパンフレットと、舞台挨拶付きのチケットを買っ

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豚どもに火を放て──短歌について

   *

 20年ほどまえに「新アララギ」の掲示板で短歌を投稿していた。たびたび撰者のほうから、かれが改作・添削した歌を押しつけられたことがある。最初のほうはおれもじぶんなりの改稿をだしていたのだが、あるとき、とある人物から「おれがもう添削したんだから、それを受け入れろ」という趣旨のありがたきことばを頂いた。そもそも発生源のちがうことばをなぜじぶんのことばとして受け入れなければならないのか、おれ

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ルード・ボーイたち

 鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る  裏階段上るだれかのかげをいまひとりじめする身勝手ばかり  布ひとひら浮かぶ人工河川やがて来るだろう裁きなど忘れつ  〈屠〉という字やがて葬られる字なり夏の蝿集る場所もなくて  咲きそめる花は嵐か 従業員通用口に吹きだまるもの  愛の経験もなしに道ゆくわれのなかを走り抜ける夏のしぶき

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第5詩集『不/適/当/詩/劇』刊行

最期の詩集を刊行した。'22年から書き始め、今月になってようやく完成した。これからは歌人として活動する。

   *

 夜の雷光 9
 夢であることの悲しみ 11
 暗がりで手を洗う 13
 まちがい 16
 駅にムササビが 18
 七月 21
 たとえば夢が 25
 友だち 27
 ぼくらが幽霊になるまで 30
 ムンクの星月夜 32
 夏のよるべ 34
 feel

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レイモンド・チャンドラーの猫

 レイモンド・チャンドラーの猫はタケというなまえだったのだが、
 来訪するアメリカ人たちの発音によってタキとゆがめられ、
 図らずも、bamboo から water fall へと変身を遂げた
 われわれはなにかを誤解すること、
 おもいちがうことによって、
 世界というものの真に近づくのである

 イギリスの夏──午後は長い
 永遠だとジョン・パリンドンはおもう
 それはまさにイギリス人とおなじ

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電波塔にて

 きみのいうことがうそならそれもうそ ちがう芝居をたぐる演劇

 誘導灯ならぶ路次があやしい夜のこと 近づいて来る少女ゐたりぬ

 抜ける光りあり 週末をめぐる冒険さそう写真館のあたり

 ゆうまぐれ踊る警備のひとだれかとめておくれよ立入禁止

 鞭のごとき愛ありぬたしかめあう傷みをもってふたり繋がれり

 なまえを失った場所に咲く花を摘む──そしてぼくはひとり

 街頭スナップを撮るおれの愉楽よ

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おれの徒然〈19〉「40歳」篇

 きょうでいよいよ40になった。獲たものよりも失ったものを算えてしまう。なにしろ、このひでえ人生で起きた出来事といったら救いがない。それでもじぶんを救いだすために多くを読んで来たし、多くを書いて来た。これからもおなじことだ。痔の苦しみがようやく去って、いまは安堵している。きのうは最期の詩集の解説文が届いたし、あとは序文と題名があれば完成だ。第2歌集も今月いっぱい詠めばできあがる予定だ。まあ、実際に

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マグ・ショット

   *

 松の木の太さにおもうはらからの首にふさわしい縄はありしかと

 欲望にひだるいちじつ雨露を受ける樋すら悲しいひまぐらし

 鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る

 なぞるような高架道路の灯火がいやに淋しい寂滅が待つ

 それはきっと合図にちがいなく脱いだ眼鏡に月が骨ばる

 裏階段上るだれかのかげをいまひとじめする身勝手ばかり

 わたくしをわたしたらしめ地下鉄の天井工事や

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内なる猫

   *

 孤悲というおもいちがいに囚われて身うごきできぬ夏の疚しさ

 野に棲まう男ありしや炎天に燃ゆる月さえきょうはさみしい

 狩り人のゐないゆうぐれ犀星の『蜜のあわれ』をひらく寝台

 青穹を隠したりぬる午後の雨たがいちがいの貌とりかえる

 「神がまだゐない夜明けを歩きたい」二宮神社の境内に立つ

 黄金の道よこたわる定めという一語消し去る車を待てり

 きみどりの酸っぱい夏場すかんぽ

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守護天使の休息

 午後まで晴れていたのに
 それからはずっと
 降りやがって
 いまはもうちがった肉体が
 駅を拒みつづけるのはいったい、
 どういった理由なんだ、運転手さん
 おれが待っていた、すべての休息のなかで
 頰笑んだはずのものが泣いているのに
 バスがでないのは天候ばかりが理由じゃないんだ
 おれは最後に頰笑みたかった
 だのにやつらはおれを地上に巻き込んだ
 時代遅れの拷問器具でおれの躰を否定する

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days (for all enemies)



なんとか生き残ったというだけの1日

今月はもうカラケツ

20,000在った貯蓄もなし

その金でギターを、ギターを買おうとおもっていたのに

安物のシンラインか、エスクワイヤーのストラトで

おれはロックンロールをやりたかったのに

またも酒に裏切られ、

譫妄と幻覚と痔の再発に狂いながら医者へ

以前治まったものを根治しなかったから、

以前よりもひどい状態になってしまってた

計画が

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hydrangeas sway the river



ギターの件はけっきょくメーカー補修ということになった

まあ、「STORIA Ⅰ」は小ぶりなギターだし、

それに執着するのもおかしい

NAGIが直ればそれでいい

最近は買いもの尽くめ

沖ななも歌集『衣裳哲学』、

寺山修司『地平線のパロール』、

ルーパーのためにマイク・ケーブル、

映画『コントロール』のデラックス盤、

炭酸水、絆創膏、雑巾、リンゴ酢、

CALのAC/DCステー

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