中田満帆

1984/07/03 兵庫県西脇市生まれ、神戸市出身在住。 詩人・童話作家=森忠明に…

中田満帆

1984/07/03 兵庫県西脇市生まれ、神戸市出身在住。 詩人・童話作家=森忠明に師事。 文藝、写真、絵、音。  HP https://mitzho84.wixsite.com/ampp Blog https://mitzho84.hatenablog.com/

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最近の記事

生活保護とアル中詩人(2)

そもそもなぜ実家をでたのか?  おれの場合、極端に父との関係がわるかった。それに中学2年の終わりからは不登校になって、午は家に、夜は公園で過ごすという日々があった。父はおれが幼いころから離れをつくることに熱中していて、その手伝いがいやだった。家のなかで男はおれと父しかいないわけで力仕事は強制だった。 なぜ仕事をしないのか?  定時制高校入学してから郵便配達や調理補助をやってみたが、まったく所作というものが、コミュニケーションというものができてなかった。卒業後も自動車部品の工場

    • 生活保護とアル中詩人(1)

      どうにかこうにか、 じぶんの特性というものを知らないまんま 26歳までやって来た いろんな仕事をやって来て──そのほとんどが雑役だったが── それでもなんとかしてきた 両親も姉妹もきらいだったし、考えが合わなかった じぶんを奴隷のように扱う父にも、 それを追認するような母にも、 姉妹にも耐えられず、 とうとうアルコール専門病院を経て、 自立施設に入ったのは2010年の春だった 職業検査を受け、発達障碍の診断ももらい、 手帖も交付された(当初は3級だったが、後年2級にあがる)

      • 求む

         飯代求めて文章を書くというのは遠回りもいいところで、おまけに効率がわるかった。もしこれを読んでいくらか恵んでやろうというひとがあったらメッセージなり、メールください。    *  土曜日にとある人から「詩集発刊のお祝い」として¥5,000頂いた  ちょうど抗酒剤を切らしてしまったときだったので  ¥3,000ほど酒で蕩尽  残った金で映画『箱男』のパンフレットと、舞台挨拶付きのチケットを買った  映画を観るのは2度めだった  そのときもたいへん酔ってしまって、  なにを

        • 豚どもに火を放て──短歌について

             *  20年ほどまえに「新アララギ」の掲示板で短歌を投稿していた。たびたび撰者のほうから、かれが改作・添削した歌を押しつけられたことがある。最初のほうはおれもじぶんなりの改稿をだしていたのだが、あるとき、とある人物から「おれがもう添削したんだから、それを受け入れろ」という趣旨のありがたきことばを頂いた。そもそも発生源のちがうことばをなぜじぶんのことばとして受け入れなければならないのか、おれは戸惑った。あまつさえ、かれはじぶんの改作した歌を褒め称える寸評とともに優秀作品

        生活保護とアル中詩人(2)

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          4本

        記事

          ルード・ボーイたち

           鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る  裏階段上るだれかのかげをいまひとりじめする身勝手ばかり  布ひとひら浮かぶ人工河川やがて来るだろう裁きなど忘れつ  〈屠〉という字やがて葬られる字なり夏の蝿集る場所もなくて  咲きそめる花は嵐か 従業員通用口に吹きだまるもの  愛の経験もなしに道ゆくわれのなかを走り抜ける夏のしぶき  パリ祭のルード・ボーイのごとくいま髪撫でつけるわがマグ・ショット

          ルード・ボーイたち

          第5詩集『不/適/当/詩/劇』刊行

          最期の詩集を刊行した。'22年から書き始め、今月になってようやく完成した。これからは歌人として活動する。    *  夜の雷光 9  夢であることの悲しみ 11  暗がりで手を洗う 13  まちがい 16  駅にムササビが 18  七月 21  たとえば夢が 25  友だち 27  ぼくらが幽霊になるまで 30  ムンクの星月夜 32  夏のよるべ 34  feelin' bad blues 36  天使たちの戯れ 39  Surely 4

          第5詩集『不/適/当/詩/劇』刊行

          レイモンド・チャンドラーの猫

           レイモンド・チャンドラーの猫はタケというなまえだったのだが、  来訪するアメリカ人たちの発音によってタキとゆがめられ、  図らずも、bamboo から water fall へと変身を遂げた  われわれはなにかを誤解すること、  おもいちがうことによって、  世界というものの真に近づくのである  イギリスの夏──午後は長い  永遠だとジョン・パリンドンはおもう  それはまさにイギリス人とおなじくつづくのだ  「アメリカ人特有の咽頭音ってやつがぶり返して来たのさ」とかれはい

          レイモンド・チャンドラーの猫

          電波塔にて

           きみのいうことがうそならそれもうそ ちがう芝居をたぐる演劇  誘導灯ならぶ路次があやしい夜のこと 近づいて来る少女ゐたりぬ  抜ける光りあり 週末をめぐる冒険さそう写真館のあたり  ゆうまぐれ踊る警備のひとだれかとめておくれよ立入禁止  鞭のごとき愛ありぬたしかめあう傷みをもってふたり繋がれり  なまえを失った場所に咲く花を摘む──そしてぼくはひとり  街頭スナップを撮るおれの愉楽よ坂をあがって神戸シナゴーグまで  昭和モダニズム建築群撮影する夏至越えてあたり

          電波塔にて

          おれの徒然〈19〉「40歳」篇

           きょうでいよいよ40になった。獲たものよりも失ったものを算えてしまう。なにしろ、このひでえ人生で起きた出来事といったら救いがない。それでもじぶんを救いだすために多くを読んで来たし、多くを書いて来た。これからもおなじことだ。痔の苦しみがようやく去って、いまは安堵している。きのうは最期の詩集の解説文が届いたし、あとは序文と題名があれば完成だ。第2歌集も今月いっぱい詠めばできあがる予定だ。まあ、実際に歳をとってみればなんのこともない。ただただ日常がつづくだけだ。今週はヤフオクでオ

          おれの徒然〈19〉「40歳」篇

          マグ・ショット

             *  松の木の太さにおもうはらからの首にふさわしい縄はありしかと  欲望にひだるいちじつ雨露を受ける樋すら悲しいひまぐらし  鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る  なぞるような高架道路の灯火がいやに淋しい寂滅が待つ  それはきっと合図にちがいなく脱いだ眼鏡に月が骨ばる  裏階段上るだれかのかげをいまひとじめする身勝手ばかり  わたくしをわたしたらしめ地下鉄の天井工事やがて終わりぬ  布ひとひら浮かぶ人工河川やがて来るだろう裁きなど忘れつ  屠

          マグ・ショット

          内なる猫

             *  孤悲というおもいちがいに囚われて身うごきできぬ夏の疚しさ  野に棲まう男ありしや炎天に燃ゆる月さえきょうはさみしい  狩り人のゐないゆうぐれ犀星の『蜜のあわれ』をひらく寝台  青穹を隠したりぬる午後の雨たがいちがいの貌とりかえる  「神がまだゐない夜明けを歩きたい」二宮神社の境内に立つ  黄金の道よこたわる定めという一語消し去る車を待てり  きみどりの酸っぱい夏場すかんぽの茎剪るような少年時代     夏蟲の複眼きびしわれを射る羽なきものを蔑すもの

          守護天使の休息

           午後まで晴れていたのに  それからはずっと  降りやがって  いまはもうちがった肉体が  駅を拒みつづけるのはいったい、  どういった理由なんだ、運転手さん  おれが待っていた、すべての休息のなかで  頰笑んだはずのものが泣いているのに  バスがでないのは天候ばかりが理由じゃないんだ  おれは最後に頰笑みたかった  だのにやつらはおれを地上に巻き込んだ  時代遅れの拷問器具でおれの躰を否定する  熱く腫れ上がった肛門に毒汁を流し入れたんだ  こんなことが罷るところでいったい

          守護天使の休息

          days (for all enemies)

          ★ なんとか生き残ったというだけの1日 今月はもうカラケツ 20,000在った貯蓄もなし その金でギターを、ギターを買おうとおもっていたのに 安物のシンラインか、エスクワイヤーのストラトで おれはロックンロールをやりたかったのに またも酒に裏切られ、 譫妄と幻覚と痔の再発に狂いながら医者へ 以前治まったものを根治しなかったから、 以前よりもひどい状態になってしまってた 計画が頓挫しつづける人生、 噫、折坂悠太のチケットも、 かれの新作も買えない、

          days (for all enemies)

          hydrangeas sway the river

          ★ ギターの件はけっきょくメーカー補修ということになった まあ、「STORIA Ⅰ」は小ぶりなギターだし、 それに執着するのもおかしい NAGIが直ればそれでいい 最近は買いもの尽くめ 沖ななも歌集『衣裳哲学』、 寺山修司『地平線のパロール』、 ルーパーのためにマイク・ケーブル、 映画『コントロール』のデラックス盤、 炭酸水、絆創膏、雑巾、リンゴ酢、 CALのAC/DCステーション(中古)、 ロモグラフィーのフィルム、 ギター専用湿度調整剤、 ルー

          hydrangeas sway the river

          おれの徒然〈17〉「ギターの悲劇」篇

           4時10分に起きる。朝餉の支度。うたた寝。4時43分まで寝てしまう。朝餉。蕎麦は不味かった。眠れない。時間だけがたっぷりある。ようやく6時まえ。あと2時間半だ。ひと眠り。折坂悠太がでる夢を見た。8時まえに起きる。入金確認。まずはネットで買う食糧から。プロテイン、リンゴ酢、トマト鍋の素。それから貯金代わりにギフト券を¥10,000分チャージする。8時45分に外出。業務スーパーへ。鶏胸肉⁵、燕麦³を買って帰る。荷解き。休憩。総計が¥23,000として、あと¥6,039遣える。あ

          おれの徒然〈17〉「ギターの悲劇」篇

          Cabbage-Head’s Delusions

          ★ きのう病院でアテロームの処置をしてもらった 陰嚢にできたそれはデカくて外科で対処し切れずに皮膚科に代わってもらったんだ 局部麻酔をかけて5mm切って、なかの膿をだして洗った 次は金曜日の診察、それまでに何度かガーゼを張り直す必要があった ロキソニンを嚥みながら、こいつを書いてる 金曜は金が入る 午前中はずっと買いだし、公共料金の支払い 午後2時半に再診がある 夜には芦野夕狩氏をゲストにお喋り 次の夜はきのゆきこまち氏をゲストにお喋りだ ★ きょうはまた酒を呑んでしまう夢を

          Cabbage-Head’s Delusions