中田満帆

1984/07/03 文藝、写真、絵、音。  https://mitzho84.wixsite.com/ampp

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    仮面ライダーBLACK SUNと悪への考察

       *  この作品について、もはや重箱の隅を突くようなマネはしたくないから、総論として書く。そういった些細なところを論じたいひとは5chを見ればいい。このドラマにはあまりに悪が氾濫している、というよりも悪しか描かれない。ほんとうなら正義を描くための特撮ヒーローが、正義もヒーローも描かずに、悪とスカムのような人間たちしか描写できず、多くのパートでは現実世界の政治や社会問題が稚拙な写し絵のごとく描かれるのみだ。  果たして差別と反差別カウンターのお騒ぎを特撮を通じて見たいとい

      • ビートルジュースの喇叭呑み

           *  おもえばあのときはひどく酔っていた。──もちろん、そんなことはいいわけにならない。──けれども道中ずっと呑んでいたのはたしかだった。──おれは過去から逃れようとする一匹の鼡でしかない。──そしてかの女は遠くの土地で、きっとおれを軽蔑しているだろうとおもった。──でも、──かの女こそがわが藝術のミューズであり、──ファム・ファタールなんだ。──かの女がおれを拒絶したからこそ、──おれは詩をより多く書いたし、曲も書けた。──もしも、──もしもかの女がおれに好意的で、

        • フットサルの現象学

             *  バー・ロウライフでの勤務時間は17時から24時だった。バーテン見習いとして年末から雇われ、凄まじい勢いで客をさばいた。仕事はきつかったが、物流倉庫のきつさとはちがい、刺激があった。12月は客で溢れかえった店のなかを右へ左へ歩き回った。年内業務が終わったその日、森夫はほかの店員たちとともに正月の予定について話した。かれは同級に会うといった。しかし、かれと相手とはまったく交流がない。5年まえのクラス会で一緒だっただけだ。小学校では2年と6年、中学校では2年時におなじ

          • ペーパー・ナイフの冒険

               *  春の昼下がりのことだ、通学路で突然にいわれたんだ、あのくそ学校のやつらから。理由なんかわからない。たぶん、おれそのもののが珍しかったんだろう。いつもおれは標的になった。    おまえ、キッショいねん。    なんでおまえみたいのがおるねん?    はよぅ、死んだらどないや?    殺してもらうとこ、教えたろか?  幼稚園で一緒だった、佐々木と國本がいった。おれはやつらにペン軸をむけた。いつも漫画用に持ってたカブラペンだ。    あぶないやろ!    ええがかげん

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            中田満帆

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            息が止む

               *  ゆかしめよ時のはざまにそよぎつつ眠れぬ夜を戦う花と  わがための夢にはあらじ秋口の河を流れる妬心の一語  男歌かぞえる指に陽が刺さるゆうぐれどきのあこがれのなか  けだしひとはうつろいながらうろ叩くやがて来たりぬ夢の涯まで  つかのまの休息ありて汗ぬぐう拳闘士らのまなざしやさし  かつて見し馬のまなこがわれを追う幻灯機にて広がれ荒野  懐かしむあまたの過去が現実を襲い来るなり観衆妄想  ふたたびなどなくてひとりのみずからを憾みてやまずもてあますとき

            われ生きるに値せず

                 *  子羊のような贄欲す朝ならばわれを吊るせと叫ぶ兄たち  踏み切りに光りが滅ぶ列車来て遮られてしまうすべてが  かつてまだ恋を知らないときにただもどりたいとはいえぬ残暑がつづく  会わずして十年経ちしいもうとの貌など忘るつかのまの夢  よるべなどなくてひとりのわれがゐる 高所恐怖のまったきふるえ  なぜという声が欲しくて問いかける「詩」を書きためて歩く市街地  まぼろしになれば他人の夢のごとわれを偽る理由はあらず  ふさわしき家庭もあらぬ男とは切断

            系図

               *  水匂う両手のなかの海さえも漣打ってやがて涸れゆく  まだきみを怒らせてゐるぼくだから夏鈴のひとつ土に葬る  もはや兄ですら弟ですらないぼくが父母ない街ひとつを愛す  生きるかぎりに於いてもはや交わさぬ契りを棄てる  いまはもうだめにしてくれ丸太積むトラック一台縁石を蹴り  伝説の由来は姉の花鋏 月の光りに充ちてうらめし  光りすら失う真午くらがりに赤ん坊なる人形ひとつ  森深く罪なるものを抱えつつ望むは兎跳びする少女の群れ  だれしもがぼくの分身

            9月はクラゲの海

               *  もはや、9月である。最近、ほとんど本を読んでない。7月に買ったライオネル・ホワイト「気狂いピエロ」も数ページ捲っただけだ。というわけで今月は森山大道のフォトエッセイ、「遠野物語」しか買わなかった。本棚はいっぱいいっぱいだし、少しでも未読を減らしたい。積ん読はもううんざりだった。きのうは金が入って公共料金の支払いと、買いものに奔った。エレキギターを調整したし、ひさしぶりに弦も張った。弦は、ERNIE BALL 2221 REGULAR SLINKYだ。ほんとうはE

            まちがい

             過去を走り去った自動車が、やがて現在へと至る道  それを眺めながら、ぼくは冬を待つ  ぼくはかつて寂しかったようにいまも寂しい  こんなにもあふれそうなおもいのなかで、  きみのいない街を始終徘徊してるのさ  これまでの災禍、そして怒り  なにもかもが一切、見えなくなるまでずっと  たとえば火の論証がぼくの存在を照らしてくれるのなら文句はない  たとえば水の弁証がぼくの善悪を論じ尽くしてくれるのなら満足だよ  でも実際、なにがぼくの存在を照らすというのか?  なにがぼくの善

            夢のスケッチ〈Pt.01〉

             かれは衣装入れに手を突っ込んでなにかを探している  それは去年のセータかも知れないし、水色の恋かも知れない  台所では子供たちがきのうの誕生会を回想している  もしかしたら、ケーキが少なすぎたのかも知れないな  そうかぼやいてなにかを探している  でも、それは朝からずっと見つからない  見つからないのはかれ自身だった  自身を探しているんだ  自身を探しつづけているんだ   だんだんと暗くなる室で、  鳥の声がするのはどうしてだろう?  かれはすっかり憑かれたみたいに家をで

            もしかするといなくなったのはぼくか

            * 清らかな家政学科よ乙女らの制服少し汚れてゐたり 史を読むひとりがおりぬ図書館の尤も暗い廊下を走る 国燃ゆるニュース静かに流れたり受付台のうえの画面よ たゆたえば死すらもやさしみながみな健やかにさえおもえる夜は 送り火をかぞえる夜よ魂しいが焔のなかへ消えゆくかぎり いまさらにきみをおもうに両足のアーチ崩れが傷むさみしさ おもうほどに銭はなかりか工賃の明細ひとつ水に落としぬ 死者よりの手紙が来たりたそがれの匂いにまぎれいま封を切る 青ざめる森よ夏にはふさわし

            野焼き

            * そしてまた去りゆくひとりかたわらに野良すらおらず藪を抜けたり 夕やみにとける仕草よわれらいま互いの腕を掴みそこねる 世はなべて悲しい光り笑みながらやがて散りゆく野辺送りかな 野焼きする意識の流れしたためる夏の化身の夜の呼び声 流れすら朝のまじない眼醒めては夢の小舟を放つ潮騒 あきらめてあやめの花を剪る夕べやがて夕立つわが誕生日なり 莇散る冥府の終わり夢がまだ生きてゐるという傍証もなく 夏の歌、雨に降られてなお激し子らの声する小規模保育 雨あがり水鉄砲を乱

            アマガミ

               *  たそがれに語ることなしあしたには忘れてしまう空気の色も  波踊る 真午の月のおもかげがわずかに残る水のしぶきよ  砂のような日常つづく意味のない標語の幾多ならぶ路上よ  友なくば花を植わえというきみのまなこのなかにわれはあらずや  星の降る夜はありしや金色の糸巻き鳴れりねごとのごとく  雨を待つひと日は室のくらがりにわれは眠れる幼子のごと  経験は莇の色の万華鏡 回転しつつ未来を孕む  プラスチック甘噛みをする子供らがやがて膨張する暑さ  代理人

            眼をひらいて祈るように

            * 願いには意味などなくて立ち止まる駐輪場が増設された 水運ぶ人夫のひとりすれちがう道路改修工事の真午 からす飛ぶみながちがった顔をして歩道橋にて立ちどまるなり 眼をひらく祈りの対義求めても高架下には車止めのみ アカシアの花のなかにて眠るとき人身事故の報せを聴けり 鰺を焼く竃の焔たぶんまだわりきれもせず過古をば憾む 夏蜜柑転がしながら暮れを待つ海岸線は終日無人 われを包む都市計画よ遠ざかる図書館・役所・解体現場 もしきみがぼくに呼吸をあわせれば実をつけるだろ

            街色

            * 鶫すら遠ざかるなりかげはみな冷たい頬に聖痕残す 悲しけれ河を漂う夢にすら游びあらずや陽はかげりたる 寂しかれゆうべの鍋を眺めやる もしや失くせし望みあるかと ぼくを裁く砂漠地帯の官吏らがミートボールに洗礼をす うつし身の存り方おもう紅あずま土をかむってだれを待ちゐる 夜はブルーまたもブルーに染められて見えなくなったきみを愛する たれぞやの庭に葡萄の蔦あふれわれの家路へ走る夕立ち ささやかなはなむけならん祭り火のむこうにきみが立ってゐました 莇色のワンピー

            林檎のかけら

            * 七夕の光りもわずかちりぢりに地上の愛を手放すふたり ベゴニアの苗木がゆれる 風の日に陽当たりながらわれを慰む だれかしら心喪うものがゐて舟一艘に眠りて待てり ゆうぐれの並木通りに愛を待つ わずかなりたることばのすえに 天使降りる土地の主人をまざまざと照らす光臨あざけりやまず 車座の僧侶の群れが笑いだす回転式の御堂の昏さ 知ってゐたぼくがひとりでゐるわけを いまは果敢ない林檎のかけら 燕麦の滾る昼餉よ猫舌の最後のひとり匙を投げたり たしかさがわれらをわかつ