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パリ逍遥遊

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フランスでのライフスタイルから、ワークライフバランスを考えてゆきます。
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#ワークライフバランス

パリ逍遥遊 パスカルを通じて見えてくる人生の意味

パリ逍遥遊 パスカルを通じて見えてくる人生の意味

見る、聞く、読む、感じると言った五感をフル活動させて、至上の文化・芸術に触れ、真理に魂を震わせる、それこそ最高の贅沢だ。そして、宗教、法律、哲学が長年にわたり浸透してきた地であり、文化・芸術の中心地でもあるパリは、そのための格好の場所である。

ところで、なぜ文化・芸術等々に触れることが最高の贅沢なのかを考えたことはあるだろうか?それは単に美術館やコンサートに行くことと違うのだろうか?ここでは、パ

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パリ逍遥遊 瞬間

パリ逍遥遊 瞬間

宗教、法律、哲学が長年にわたり浸透してきた地であり、文化・芸術の中心地でもあるパリは、ヨーロッパで生まれ育った人々でなくとも、人物や作品を通じて、真理に共感し、魂を震わせ、さらにはEdge Effect(境界線の効用)を享受するための、最高のベースキャンプである。

そう、まさにその通り、パリは「最高のベースキャンプ」だ。パリの市民憲章は、「Fluctuat nec mergitur、たゆたえど沈

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パリ逍遥遊 ヨーロッパ人を形成する3大要素

パリ逍遥遊 ヨーロッパ人を形成する3大要素

「風立ちぬ」(Le vent se lève、同名の宮崎駿作品もこれに由来する)で有名なフランスの詩人・思想家・評論家であるポール・ヴァレリーは、その著書「精神の危機」の中でヨーロッパ人を定義している。

ヴァレリーは、以下の3要素を有している人物はヨーロッパ人という枠組みで捉えても良いと唱えている。3要素とは、キリスト教に基づく宗教観、ローマ法に由来する法的素養、そして、ギリシャ哲学に端を発する

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パリ逍遥遊 シャンパーニュ・ゴドメとブドウ栽培

パリ逍遥遊 シャンパーニュ・ゴドメとブドウ栽培

ランスの市街を抜け一路南へ。モンターニュ・ド・ランスの山のふもとで左折、以前紹介したシャンパーニュ街道に入る。Rilly-LaMontagne村を抜けてから、ブドウ畑・村・ブドウ畑・村・ブドウ畑の繰り返し。

しばらく車を進めてゆくと、Moulin deVerzenayなる大きな風車が現れる。この周りは大手シャンパーニュメーカーのマム(Mumm)と契約している数々のブドウ畑が連なる。見えるところは

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パリ逍遥遊 ブルージュ

パリ逍遥遊 ブルージュ

聖ベルナールの精神が巡り巡ってベルギーの地でビールとなった、このビールこそベルギーの三種の神器の一つだ。残りは、チョコレートとムール貝だろう。
ベルギーまでは、パリ北駅(Paris Nord)からタリス(Thalys)にのって、ブリュッセル南駅(Bruxelles Midi)をめざし、そこで乗り換えてブールージュを目指す。パリからだと日帰りで行ける。ベルギーブリュッセルから北西90キロに位置するブ

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パリ逍遥遊 修道院の拡大とブドウの北限

パリ逍遥遊 修道院の拡大とブドウの北限

キリスト教とワイン醸造などの農業技術は密接に関連する。
パンはキリストの体であり、ワインは血だ。宗教儀式で使われるこれら飲食物の製造技術は、修道院の発展とともにフランス全土に伝わっていった。

そもそもブドウ及びワインをフランスに持ち込んだのは、古代ローマ人と言われている。ロマネ・ コンティ、エシュゾー、ラ・ターシュなどグラン・クリュ(特級格付け畑)を多く有するボーヌ・ ロマネ村、村名にもなってい

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パリ逍遥遊 ダンテ神曲

パリ逍遥遊 ダンテ神曲

ダンテの神曲に出てくる「地獄編」と言えば、ミケランジェロの「最後の審判」。ローマバチカン市国にローマ教皇の公邸バチカン宮殿にあるシスティーナ礼拝堂の主祭壇の背面を飾る「最後の審判」の地獄の箇所は、ミケランジェロがダンテの「地獄篇」からインスピレーションを得て、描いたと言われている。

「最後の審判」見たさに、パリ・オルリー空港から機上の人となった。アメリカの4つの州の境界線が集まった点をフォー・コ

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パリ逍遥遊 我が家の雨漏り

パリ逍遥遊 我が家の雨漏り

ここ数日の悪天候で職場に行くのも帰るのも億劫だ。

東京と比べると雨水が恐ろしく汚い。上を眺めると大きな美術館に迷い込んだような景色のパリだが、下は地獄のパリ。土埃と混ざり茶色になって、タバコの吸い殻や犬のフンをさらって下水溝に落ちてゆく雨水を見ていると、ダンテの神曲に出てくる地獄前域のようだ。ここからが地球の中心に落ちてゆく、漏斗状の地獄の始まりだ。

そんなこんなで仕事から帰ってきて玄関の電気

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パリ逍遥遊 ルルドへの旅

パリ逍遥遊 ルルドへの旅

シャンパーニュ ドラピエを訪問し、テイスティングを開始する前に敬意を示した「聖ベルナール」は、カトリック教会の聖人の一人だ。https://note.com/mikihozon/n/na6f39125c38b

彼はシトー修道会に入り、クレルヴォー修道院の院長となり、シトー修道会において最も大きな影響力を持つようになっていく。ベルナールが奇跡を起こしたという噂が広まり、クレルヴォー修道院には、各地

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パリ逍遥遊 シャンパーニュ ドラピエ訪問

パリ逍遥遊 シャンパーニュ ドラピエ訪問

ランスからトロア(Troyes)を目指し、車でひたすら南下。

シャンパーニュ地方といえども、ブドウが栽培されている地域は限定されており、高速道路の周囲はひたすら(普通の)畑が続く。11月の畑には早くも雪がうっすら積もっており、日本から持ってきた徳永英明ベスト盤が雪景色に妙にマッチする。

ビール・ワイン・シャンパーニュ問わず、好きな醸造所に片っ端から連絡し訪問OKをもらったところに突撃、という作

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パリ逍遥遊 黄色い電車

パリ逍遥遊 黄色い電車

バスも優れた公共機関の一つだが、フランスの鉄道もなかなか楽しい乗り物で、線路があればどこにでも連れて行ってくれる。鉄道の旅にはまったのは、これから紹介する鉄道の旅に始まった。

パリには主要鉄道駅として、東駅、北駅、サンラザール駅、リヨン駅、モンパルナス駅、オステルリッツ駅、ベルシー駅が存在する。

フランスの南側13区にあるパリ・オステルリッツ(Paris Austerlitz)駅を金曜日21:

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パリ逍遥遊 パリの路線バス

パリ逍遥遊 パリの路線バス

私の職場はパリ市内西側の16区にある。ここは閑静な住宅街で住んだり仕事したりするには快適な場所なのだが、遊ぶ場所は少ない。夜遊ぶとなると、1区のオペラ周辺か6区のオデオンあたりになる。

仕事が終わってから繁華街であるオデオンに向かう際には、いつも路線バスを使っている。メトロも網の目のように配置され、どこに向かうにも便利なのだが、パリの移動は何と言ってもバス。バス!バス!バス!!

パリの路線バス

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パリ逍遥遊 ヴァランス(Valence)とリヨン(Lyon)の旅

パリ逍遥遊 ヴァランス(Valence)とリヨン(Lyon)の旅

自然の恵みに対する畏敬の念を持つと共に、自然と共鳴していく喜びを持つワイン醸造家を恩師に紹介してもらい、バランスにでかけた。バランスは、パリリヨン駅からTGVがダイレクトに結んでいる。バランスの駅まで迎えに来てくれたワイン醸造家、初めてお会いした人とはとても思えない、ずっと昔からご一緒だったような感じがした。早速彼の所有するブドウ畑を案内してくれた。完全な自然農法を旨とするため、雑草も抜かない。雑

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パリ逍遥遊 コルドン・ブルーのワイン教室

パリ逍遥遊 コルドン・ブルーのワイン教室

フランスに来たからにはワインを勉強しなくては。との思いで、由緒正しき料理専門学校ル・コルドン・ブルーが主催するワイン教室へ。実は私、東京・青山のワイン学校に通った経験もあり、ワイン学校は今回が2回目。両者の比較もしつつ、コルドン・ブルーのワイン教室を紹介したい。

先ずは申し込みの時点で、東京とパリは異なる。東京は単に申し込みをして授業料を支払えば登録完了。一方、パリの方は、motivationな

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