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パリ逍遥遊 パリの路線バス

私の職場はパリ市内西側の16区にある。ここは閑静な住宅街で住んだり仕事したりするには快適な場所なのだが、遊ぶ場所は少ない。夜遊ぶとなると、1区のオペラ周辺か6区のオデオンあたりになる。

仕事が終わってから繁華街であるオデオンに向かう際には、いつも路線バスを使っている。メトロも網の目のように配置され、どこに向かうにも便利なのだが、パリの移動は何と言ってもバス。バス!バス!バス!!

パリの路線バスは、20から199までの番号が付けられており、1945年11月の発足当時は一定のルールに基づき付けられていたらしいが、今となってはもうぐちゃぐちゃ。利用するには○○番線と言うのを覚えていなければならない。92番線(凱旋門、アンバリッド、エコールミリテール、モンパルナス駅を通るルート)や72番線(セーヌ川沿いを、コンコルド広場、グラン・パレ、エッフェル塔、ラジオ・フランス、ブローニュの森と行くルート)が人気らしいが、私のお気に入りは63番線のバスだ。

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16区で63番線のバスに乗り、高級住宅街を抜けるとセーヌ川右岸にあるシャイヨー宮が見えてくる。その宮殿があるトロカデロ広場からはセーヌ側と対岸のエッフェル塔が望める。その後、パリ市立近代美術館を通り過ぎ、アルマ橋を渡り左岸へ。夕方のアルマ橋はいつも混んでいるので、セーヌ川の流れをゆっくりと眺めることができる。

次いで、パリ下水道博物館を左折、右側にナポレオンが眠るアンバリッドを見つつ、セーヌ川とは別れを告げて(言うほど大げさな事ではないが)、サン=ジェルマン=デ=プレ教会を過ぎたあたりがオデオン界隈だ。さて今日はどこで飲もうか。

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途中、「こんな一等地にエアフランスのオフィスが!」とか「あの美術館まだ行ってないなぁ」とか考えたりもしているが、翌日のフランス語の宿題に追われて、バスの中で宿題をやったりもする。たまに席の近くに立っているおじさんが「君、そこの答え違うよ。deじゃなくてdu」とかアドバイス(ヤジ?)を入れてくるのもパリならでは。

こんなパリのバス路線。2019年4月20日に大幅な改定が行われた。
以下のURLで新旧バス路線の比較ができる。
Le réseau de bus de Paris se transforme le 20 avril
https://www.lexpress.fr/actualite/societe/le-reseau-de-bus-de-paris-se-transforme-le-20-avril_2073055.html

この新旧比較を参照すると、パリ市内を南北に走るルートの53、65、81番線は廃止。パリ市内から比較的東西の方向へと走り郊外へ出るルート25、45、59、71、77番線が新設された。また、多くの在来線も終点がパリ郊外へと伸びている。これは、近年パリ郊外に住む人々が増加していることを示している。東京もそうだが、パリも(特に厳格な高さ制限のため)需要に対し住戸の供給が極端に少なく、人々は郊外へと居住空間を求めているのだ。

私のオフィスのお偉いさん曰く、
「この世には2種類の人間がいる。パリに住んだことがある人間と、パリに住めなかった人間だ」とか。

私はそこまで高飛車な性格(?)ではないので、せめてこんな感じか。
「この世には2種類の人間がいる。パリをバスで移動する人間と、メトロで移動する人間だ」

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