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これからの世界の中で

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暮らしていくことに向かい合う。 変わりゆくものたちの中で、変わることなく大切なもののために、変えてゆくこと。 形作るものと形作られるものたちとの間にある、形にならないものたち…
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#コラム

穏やかに夢中になること

穏やかに夢中になること

形あるものでも、形のないものでも。
何かを作ること。
料理をすることも、洗い物をすることも、手入れをすることも。

そこに特別なことは何もないかもしれません。
日々繰り返される、当たり前のこと過ぎて、時には退屈にも面倒にも感じられてしまうこともあるのかもしれない、ありきたりのこと。

私はここ数年、ほとんどフライパンばかり作ってきましたが、そんなにフライパンが好きで、フライパンが作りたくて作りたく

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形のないものが生まれるところ

形のないものが生まれるところ

「形のないものを作ることができたら」と、ずっと思い続けているわけですが、何かを作ろうとすると、形に囚われてもしまいがちです。

それは、言葉にはならないことを伝えたくても、言葉にしてしまうと、言葉に囚われてしまうようなものと似ているのかもしれません。
それは、常に流れの中にあって、動き続け、変わり続けるものをとらえようとしても、その一瞬、その一面しかとらえられないようなものかもしれません。

形の

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「無駄」を省くことよりも、「無理」をなくすこと。

「無駄」を省くことよりも、「無理」をなくすこと。

「無駄」を省くことよりも、「無理」をなくすことの方が、自分にとっては大事かな、と、この頃は思うようになりました。

今はなにかと、「無駄」を省くことが重視される世の中。
時間を短縮し、できるだけ早く、楽に、簡単に。結果を追い求めるあまり、その過程での「無駄」に思えるようなことは嫌われ、時には敵視までされ、排除されてしまったり。

例えて言うなら、それは岸辺をコンクリートで固められて一直線に流れてい

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ほんのひと手間、心を尽くせたら。

ほんのひと手間、心を尽くせたら。

「手間ひまを省くことに、私たちは心を奪われてきたと思います。
手間を省くことが智慧ではないのです。
むしろ、手間をかける智慧から、慈悲が生まれるのです。」

手間ひまかけること ー智慧と慈悲ー
臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺さんの言葉

昨年、毎週楽しみにしていた、「鎌倉殿の13人」。その鎌倉時代に開かれた北鎌倉にある禅宗のお寺、円覚寺の管長、横田南嶺さんの言葉です。

いつからか、気がつけばずっと

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形のないものが形作るもの

形のないものが形作るもの

生きていきながら、刻んでいくリズム。
心臓は鼓動し、血は脈打ち、呼吸を繰り返す。
誰かとしゃべるときも、1人静かに考えを巡らせるときも、言葉は流れていく。
何かに反応して、全身の神経を伝達物質が駆け抜けていく。

生きていくことの中にも、暮らしていくことの中にも。
何かを作ることの中にも、仕事の中にも。
スポーツの中にも、遊びの中にも。
いろんなところに、リズムがあります。
普段なかなか感じにくい

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変わりゆく中で、変わらずにあり続けるもの。

変わりゆく中で、変わらずにあり続けるもの。

はじめまして。

トトロの舞台にもなった狭山丘陵地帯、埼玉県のお茶の名産地のあたりで、鍛冶仕事をしているMetal NEKOの金子と申します。

鉄を真っ赤に熱して、ハンマーで打ち鍛えて様々に形を変え、日常の暮らしの道具から雑貨、インテリアや建築金物、手すりや門扉など、いろいろと制作しています。
ただ最近は、鉄のフライパンがご好評をいただき、ここしばらくはほとんどフライパンや鉄鍋ばかり作っていまし

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