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震える心、揺れる心

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心を動かすことはできないかもしれないけれど、震えさせたり、揺れさせたりできるのなら、僕はそれをしよう
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2019年2月の記事一覧

スタミナバナナ

スタミナバナナ

 今、私が抱えている問題はこれまでになく深刻なものだった。

 その深刻さをお伝えするのに、私は労を一切惜しまないし、また、そうしなければ、この難題について、多くの人の理解を得ることはできないだろう。

 問題の解決に当たり、私は臨機応変に対応することが求められる。そして高度な柔軟性を維持し、その都度対応しなければならないのである。
 それらを鑑み、問題提起を差せてもらえば、"女と言うのはかくも面

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アキの空

アキの空

「ねぇ、ノブ。人を許すって、どういうことかなぁ」
 アキは車の助手席でスマフォを眺めながら話しかけてきた。
「どうもこうもなくなねぇ? 許すって、いうんだから、そりゃあ、許すんだろう」
 ノブは追い越し車線に車をすべらせて白いワゴンを抜き去った後、また走行車線に戻した。
「ノブってさぁ、そういうところ単純っていうか、シンブルだよね」
 ラジオが夜の11時を過ぎたことを知らせた。ノブがアキを車に乗せ

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うめくこたつ

うめくこたつ

 誰もいない――つまり僕しかいない部屋の中で、こたつの中から人らしきうめき声が聞こえてくるというだけで、これはもう、ミステリーというよりはホラーである。

 ホラーは困る。だから僕は謎を解くことにしたのだが、まずは身の安全を図るべきだろう。
 速やかに部屋を出るか――冬のこの寒空に行く当てもない。誰かに助けを求めるか――まさか、こたつからうめき声が聞こえるからと、そんな理由で呼び出せるような知人友

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オン・ザ・ロック

オン・ザ・ロック

※こちらをお読みになる前に『mizuwari』を読んでいただけると、より楽しんでいただけます。

「いらっしゃい」

 懐かしい声が、僕を迎えてくれた。

「どうも、ご無沙汰しています」

 カウンターの席に座る。マスターはグラスを拭きながら温かく、そしてさりげなく迎え入れてくれた。

「どうも、お久しぶりですね」

 忘れられているとは思わなかったけど、不安がなかったかといえば、嘘になる。

 

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MIZUWARI

MIZUWARI

「"ありがとう"って言って、それで別れるつもりだったんだぁあ。わたし」

 彼女は手に持ったグラスを眺めながら、口をとがらせて、そう訴えた。
「でも、あの人があんなこと言うから……」
 
 カラン、カラン、カラン

 グラスにはすっかり溶けてしまった小さな氷が浮いている。それをくるくると回すたびに、安っぽい音がする。

「わたし、わかってたんだ。こうなること。だから覚悟はしていたし、あの日だって半

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少年と金魚

少年と金魚

 その少年と出会ったのは、小雨の降る夕方の公園だった。

「ボク、ひとりかい?」

 そう声をかけるまでの間、私はタバコを1本吸い、自動販売機で缶コーヒーを買って飲み干し、パンパンになった携帯灰皿に吸殻を押し込んでからのことだった。

「うん」

 6月。長梅雨の真っ只中。天気予報を見る気にもなれない。

「こんな雨の中で、何をしてるんだい?」

 小学校に上がったかあがっていないかくらいの男の子

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