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#ツインレイ男性
第238話 吹き消すことで灯った明かり
「今の学校はどう?」
「新しい僕の態度、みんな待ってた。
喋らない人とは喋らないけど、前より居心地もよくなったよ……。」
……
三次元認識のスサナル先生の現実面でも明るい変化の兆しが伝わると、嬉しいことにカレンダー上でも彼の誕生日が近づいてきていることに気がついた。
幼い頃から「お前なんか生まれてこなければよかった。」と言われ、成長してからもずっと無価値感に苛まれ(さいなまれ)続けてき
第230話 100のリボンをなびかせよう
私の現実を通して彼の闇が昇華されると、次第にこんなことがわかってきた。
職員室を鏡としたスサナル先生の恐怖心。孤独を解消しようともがき、それなのに孤独という蟻地獄に堕ちていく。
『周りから人が離れていく。』
『どんどん人がいなくなる。』
少し前に、「職場はどう?」と彼に聞いてみたことがあった。すると「誰も喋らない。」という、切ない答えが返ってきていた。
誰よりも崇高だった彼の魂が今
第224話 凍えた命、あたたかく港へ。
あれ、誰だろう……。
私に向けての『嫉妬』と同時に彼に向けての『怒り』の念。
その日の夕方、食事の支度をしようと台所に立っていると、どこからか女性の意識が飛んでくる。そして気がつく。
ああ、あの子か。
……今となっては懐かしい、あきらの卒業式の朝。
エレベーターで校舎を上がると廊下で見かけた光景に、あの時一瞬体が強張った。
まるで恋人のような雰囲気の、スサナル先生と教え子の女の子。
第221話 私も必ず、現れるから。
「Kさん。」
ん……。なんだろう。
今、彼のエゴセルフから旧姓で呼ばれた気がする……。
「Kさん。」
やっぱりだ。どうして旧姓がわかるんだろう。何でそんな場所へとアクセスしてきたんだろう。
時空間を超えた彼の意識が、私のことを旧姓の苗字で呼んでいる。
……
スサナル先生があきらの担任だった年。
彼のエゴセルフによると、その時の私の想いは最初からしっかり筒抜けだったらしい。先生か
第213話 愛と憎悪を内包している
かつて私とはプレアデスにおける、姫のような王女のような者だった。私ほどの深い愛を擁する者もそうはいない。
ある時そこに彼らがやってきた。愛する星の者たちは、私ほどには彼らを受け入れる愛を持ち得なかったけれど、かといって彼らをどう扱ったらいいのか一様に皆考えあぐねていた。
それでも目の前の異邦人たちは“現に目の前で”困窮している。彼ら自身、元いた星を追われて広い宇宙を彷徨っている。今、彼ら
第211話 暗闇キャンドルナイト(後編)
彼のエゴセルフ自身の気づきは続く。
現実世界に追い込まれ始めたことをトリガーに、ようやく彼の“潜在意識”も緩やかに私という人間の存在を思い出してきていた。
とはいえこの宇宙において、出来事とは必ず内側が先、外側が後。ここに来て気づき始まったとはいえ、彼の“顕在意識”が私を本当に思い出すまでは、まだしばらくかかることになる。
……
僕のことを、あれからもずっと見ていてくれたなんて!
あなた
第210話 暗闇キャンドルナイト(前編)
スサナル先生のエゴセルフから、徐々にこんな弱気が漏れてくるようになった。
「あなたに聞くのが怖かったことがある。
あなたにとっての僕が、大切なものじゃなかったらどうしようって思ってた。」
大切なものはあなただよ。漆黒の中でも吹雪の中でもちゃんとあなた見えるように、そのために私を光らせてきたんだよ。
すると彼が安堵して、緊張がほぐれて徐々に降伏してきているのが伝わった。
「僕のこと、置
第185話 静寂のこだま
「助けて。」
夜、電気を消してベッドに入ると、待っていたかのように彼の意識が飛んでくる。今私の元へとやってきているこのエゴセルフの意識とは、なんだか表面的なもの……奥から上がってきたというよりも、どうにも一人で対応しきれず動揺している怖さのように感じ取れた。
「わかったわ。私が一緒にいるからね。」
安心を言い聞かせるように幽体全部で包み込むと、薄ぼんやりと、“慰めてほしい”との想いがそこ
第182話 二つの目覚め
夢を見ていた。
とある男の人が深い眠りに就いているとゾロゾロと人がやってきて、手際良く、寝ている彼の腰のあたりに細い紐を一本だけ括りつけてから去っていく。
気づけば布団は剥がされ、自分の置かれた状況も把握できずに狼狽えて(うろたえて)いるにもかかわらず、雪山の上に連れてこられたと思う間もなくいきなり崖から落とされる。
垂直に近い崖肌に残る雪は少なく、滑落していく背中はすぐにも鋭い岩に当たりそ
第179話 ツインレイという信頼関係
真っ黒がどこまでも広がった、夜の海のような存在と会話をしていた。
「お前はお前でいろ。そうでないと俺も俺でいられない。」
私にそれを伝えてきた“彼”の真意とはこうだった。
……自分が作り出した“彼女”が、彼女自身に不足を感じている。足りないと言わんばかりに次々と異質なものを身につけ、どんどん自己から遠ざかっている。
そのままのお前を愛したかったのに。なのにお前は俺を傷つける。そのうち俺
第178話 愛と憎しみとツインレイ
それから間もなく、けーこは私のことを“ちゃんづけ”で呼び始めた。どういう訳だか彼女にとっての『愛すべきコンテンツ』と化してしまった私はしばらくの間、シリウスのあれやこれやを話して聞かせた。
自分たちが住んでいた場所は本当に田舎だということ。小川が流れていること。虹も出ること。夜空もあること。編み物の文化があったということ。リトは茶色いチョッキを羽織っていること(ベストと呼ぶより、左右の身頃を
第173話 三次元からの奴隷解放
鹿の夢を視ていた。
ひときわ大きな立派な角を生やした雄鹿が一頭佇んでいる。ところが皮肉なことに、彼はその角のせいで雁字搦めになっていた。寒々しい冬の藤棚のような、空一帯に張り巡らされた古枝と角とが癒着して、またその角自体にもゴミやら布やら余計なものまで引っかかっていて全く身動きが取れていない。天を覆うその木の枝は、遥か彼方まで続いていた。
鹿自身、前にも後ろにも一歩も進めずにいるのにもか