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第210話 暗闇キャンドルナイト(前編)


 スサナル先生のエゴセルフから、徐々にこんな弱気が漏れてくるようになった。

「あなたに聞くのが怖かったことがある。
あなたにとっての僕が、大切なものじゃなかったらどうしようって思ってた。」

 大切なものはあなただよ。漆黒の中でも吹雪の中でもちゃんとあなた見えるように、そのために私を光らせてきたんだよ。

 すると彼が安堵して、緊張がほぐれて徐々に降伏してきているのが伝わった。

「僕のこと、置いていかないで。」

 あなたのその弱さを見せてくれたこと、ありがとね。
私ね、あなたから見えるために光になったの。こんなに苦しい思いをしながらあの日から闇を見つめてきたのは、もう一度あなたに会いたいからだよ。だから絶対に置いてなどいかない。
 あなたは弱くていい。強くなくていい。弱さを認めるのは怖いと思うけど、私にとっては全部のあなたが“あなた”だよ。弱いあなたもあなただよ。全部のあなたを愛しているよ。


 とはいえこちらの次元だけを見れば、“置いていった”のは彼のほう。あの日私を振り切って、私のことを拒絶したのは三次元のスサナル先生。
 一体“彼”がどういう理由で私に「置いていかないで」と言ったのか、その発言の裏にあるものがこの時はまだわからなかった。


 それからも接触を続けると、何日もかけてポツリポツリと少しずつ、彼が教師になった“もう一つの”本当の理由が上がってきては話してくれた。教師を夢と志した彼の想いの裏と表。顕在意識のスサナル先生自身も知らない闇の理由が浮上してきた。

『教室を支配する立場から、自分が一番になれる場所を創造したかった。』

『自分の力によって子供たちを導いたという満足感を得たかった。』

 つまり彼が求めていたのは何かを埋める『自尊心』。
今スサナル先生は、そこに向き合い自分が教師であるということに疑問を持ち始めている。

 そんな彼のエゴセルフ(魂)の気づき。

 子供たちを盾にした。
子供たちを道具にした。
支配できる教室は、自分の弱さを隠してくれる。
純粋で幼い子供たちなら、自分を強く錯覚させてくれる。
……それが自分の求める『幸せ』だと思った。


 ところがそんな彼の目の前に“私”という女性が現れると、惹かれると同時に彼の中に、彼自身の“見たくないもの”が露呈してくる。ツインレイ同士であるが故に、嫌でも自分の闇が炙り出される。ツインレイというものが、鏡に喩えられる所以。

「あなたに敵わないと思った。あなたは色んな意味で教師の僕より教師。とても頭が切れる人。
 何も持ってない自分じゃ、この女性を支えてあげられない。
 そんな弱さは隠さなければと思った。それに男だから、もっと地位や名誉が必要だと思った。」

……

 あきらが中学一年生、スキー場での宿泊教室があったあの冬。その時学校へと乗り込んだ私の姿を見た時に、彼は自分の狭量さと矮小さとを痛感したのだと教えてくれた。
 まさかあの時、私としては“好きな人”を前にして弁を振るわなければならなかった出来事が、彼をこんなに揺さぶっていたなどとは思ってもみないことだった。

 それに、私が彼に近づきたくて背伸びをしながら書いていた、借りた本への感想文。あれもまた彼のプライドを傷つけていた。
 本に対する私の解釈を読むにつれ、「国語を教えることを生業とする『教師の僕』が嫉妬していた。」とエゴは言う。


 彼の中で、私に対する愛と憎悪の葛藤は日毎に増幅していった。
 中二へと進級した時に、あきらの担任から外れたこと。それは天の采配と同時に、彼の深い闇からの『これ以上は近づくな』との警告でもあったのだ。




written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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ツインレイ男性が、ツインレイ女性を恐れる。ツインレイ女性とは恐ろしい存在。

あちこちで目にすると思いますが、具体的になぜ怖いのか。潜在意識の領域では、男性がどのように、何故、ツインレイ女性を恐れて逃げていたのか。
ひとつのサンプルとして理解していただけたと思います。ですが表面上の理屈をさらに掘ると、どこんちも一緒なのでは?
つまりこれが普遍です。↓

「彼女に敵わない僕を、視たくなどなかった。知りたくなどなかった。認めたくなかった。」

でもこの彼の弱さって彼の一つの側面にしか過ぎず、乗り越えて(統合して)しまえば幻みたいなもんですよね。同じ要素、素質の反対面の彼の素晴らしさって、ツインレイ女性からしたらたまらないものです。
(注:女性側に自分自身の闇感情が残っていると、相手の弱さも受容できません。彼に対する『許せない』が出てきたら、浄化するべきは自分の闇です。)

他の男の人に対してそんな闇が分かった日には、女性特有の減点方式が止まらないというのにね。
(男の人の女性評は、大概加点方式よね笑)

うんうん。ツインレイ女性って誰より彼フェチ。変態だ。

明日に続きまーす。

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←今までのお話はこちら

→第211話 暗闇キャンドルナイト(後編)

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