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【第44回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-2
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳
前稿で取り上げた論文には続編があり,こちらもよく引用される(J Bone Joint Surg Am. 2016; 981-8)。ほぼ同じ母集団を対象としながら,今度はUKAの比率ではなく,“年間手術数:caseload”の影響と言う観点で分析している。ここでよく引用されるのが下図である。
UKA年間症例数はRevision Rate(R
【第43回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-1
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳
UKAのWhy(Whom)& Howすなわち適応と手技については,問題は多々あるにせよ論議の対象にはなってきた。しかしWho,When,Where,つまりどんな術者が,何例TKAしてから,年間何例執刀できる病院でUKAをするべきなのか(することが許されるのか),という術者自身の適性の問題についてはほとんど語られることが無い。
この“術者側
【第42回】UKA再考(最高?):5W1Hで整理してみると? -2
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳
私が考える“UKAの5W1H”を再度示しておく。
太字で示したWhy(Whom):利点や適応やHow:手術手技については学会やセミナーでもしばしば取り上げられ,関連書籍でも多くのページ数が費やされている。しかしその内容はと言えば,利点についてはともかく適応に関してはR. Scottらが提唱した古典的なものからの変遷に関する記載に終始してい
【第41回】UKA再考(最高?):5W1Hで整理してみると? -1
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳
UKA(unicompartmental knee arthroplasty)は,私のようにほとんどTKAしかしない者にとっても“多少気になる”存在である。感覚的には“高性能”&“個性的”な嗜好品といえば近いだろう。車でいえばスポーツカー(ランボルギーニやフェラーリのようなスーパーカーではなく,ライトウエイトスポーツカー),ゴルフクラブなら
スコーピングレビューを知っていますか? 多忙な臨床家でも取り組みやすい,比較的新しいレビュー論文です
明日からエビデンスの構築を始めましょう!
複数の論文の研究結果をまとめて結論を出すレビュー論文としては,スコーピングレビューのほかにシステマティックレビューがすぐに思いつくでしょう。スコーピングレビューは,システマティックレビューと比べると迅速に,スクリーニング的に結論を出しますが,システマティックレビュー同様系統だった科学的手法で行われるため,信頼性が担保されています。
臨床での疑問を解決し
【竹林 崇先生:インタビュー第4回】未来を担うセラピストへのメッセージ
新人の頃は「目の前の患者さんをよくしたい」が一番の原動力
——先生が新人の頃,どのようなことが勉強へのモチベーションになっていましたか。
竹林:
将来,教育職に就くためには勉強しないといけないという気持ちもほんの少しありましたが,それよりも基本的には「目の前の患者さんをよくしたい」という想いが強かったですね。
というよりも,臨床で無力だと感じるのが怖かった,それを回避したいという思いが強かった
【竹林 崇先生:インタビュー第3回】自身の取り組みの根底にある信念
遊び心にも宿る信念
——第2回の最後で,『この軸足をはずしてしまうと,すべての活動が音を立てて崩れ去る気もしています』との発言がありましたが,なぜそのように思われるのでしょうか。
竹林:
『PT・OT・STのための臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた』(医学書院)が日本リハビリテーション医学会学術大会の書籍展示に並んでいるのを見た多くの先生には,アニメ風のカバーについて,とても注目
【竹林 崇先生:インタビュー第2回】科学的思考とエビデンスがセラピストにもたらすもの
エビデンスの構造と臨床におけるEBPを理解する
——科学的思考に関連して,研究によるエビデンスと臨床での介入との関係について,セラピストの間では話題になることも多いかと思いますが,先生はどのように考えていますか。
竹林:
両者の関係性を理解するには,まずエビデンスというものの構造を正しくとらえる必要があります。
エビデンスといえば,絶対的な正答を示すという印象を抱く方も多いですが,実際には限界
【竹林 崇先生:インタビュー第1回】勉強に役立つ情報収集の進め方・考え方
試行錯誤しながら身に付けた論文の調べ方
——先生ご自身は新人・若手のころ,どのように勉強されていたのでしょうか。
竹林:
大学病院に勤務していたので,附属図書館で論文を調べて勉強していました。最初はキーワード検索を使っていましたが,なかなか目的の論文に辿り着けなかったので,キーワード検索から検索方法を変えました。
変更した文献の調べ方は,その分野の第一人者といわれていて信頼性の高い海外の研究者