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大学教員

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大学教員は朝活で何をすべきか?

大学教員は朝活で何をすべきか?

社会人になってから朝活への漠然とした憧れを持つようになった。

「朝活を制するものは人生を制す」みたいな本もいくつか読み,「やっぱり自分の人生に必要なものは朝活だ」と思い立つのだが,なかなか継続しない。

あまりにも継続しないので,その理由について整理する。

朝活で何をするか先ずは,朝活で取り組むべきことを明確にする必要がある。

書籍では,朝活=自分磨きとして示されることが多い。

一般的なも

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若手大学教員の仕事 Part 2

最近はやるべきことが多く,noteの更新頻度も下がってきた。

以前,「若手大学教員の仕事」という記事を書いた。

あれから1年以上経った今のタイミングで内容をアップデートし,自分の仕事内容を整理してみたいと思う。

↓の記事も併せて読んでほしい。

1. 授業今年度は,担当する授業数が大幅に増えた。

授業数は,総授業数とそれを担当できる教員数の関係で決まる。

毎年,定年退職や異動する教員がい

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大学院生から助教になって苦しんだこと

大学院生から助教になって苦しんだこと

以前にも書いた通り,大学教員の主な仕事は,研究・授業・学内外の業務だ。

この中で,授業と学内外の業務は人生初めての経験だったことから,社会人として当たり前の仕事としてすんなり受け入れることができた。

一方,研究は博士課程から継続しているものであり,博士の学生にとってはほぼ唯一の仕事である。

大学教員になると,この研究という仕事の上に学生指導という仕事が新しく乗っかる。

この学生指導という研

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研究指導での「知識 vs Google検索 vs ChatGPT」

研究指導での「知識 vs Google検索 vs ChatGPT」

1年以上前のnoteの下書きに,「知識 vs Google検索」という書き掛けの記事があった。

学生を指導する中で,「知っていること」と「調べるたらわかること」についてどう折り合いをつけて教育していくべきか書いていたが,結局ありきたりな結論になる気がして途中で書くのを諦めた。

そんな中,最近ではChatGPTに代表されるチャットAIが流行りを見せており,「知識」「検索」に次ぐ「AI」という選択

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博士取得から直接大学教員になるデメリット

博士取得から直接大学教員になるデメリット

博士在籍当時は博士取得から大学教員に直接なることが普通だと考えていたが,大学教員となった今周りを見渡すと,いったん就職した後に大学教員になった例も意外と多い。

よくある道を示すと以下の通りだろうか。

多いのは①の例。博士を取得後,一般企業や国の研究所で研究員として採用され,それから数年~10年後ぐらいに大学教員になる。

②の例も周りに多い。修士取得後,普通に就職したものの,研究職への思いを断

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研究の効率化と教育効果の天秤

研究の効率化と教育効果の天秤

実験研究は,①データを計測し,②データを整理し,③傾向を考察し,④結論を導く,が基本的な流れである。

この中で最も時間がかかって作業的な意味合いが強い工程は,②のデータ整理だと思う。

データ整理とは,計測器で計測したデータを我々がわかりやすい形に変換し,統計処理やグラフ化するものである。

同じ系統の実験では,同じような作業を繰り返し行うことになるため,自分がそのような作業をする場合には, E

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卒業研究におけるコーチングとティーチング

卒業研究におけるコーチングとティーチング

コーチングとティーチングの違いは人材育成の場でよく指摘されるところだ。

ティーチングで何でもかんでも「教える」のではなく,相手に考えさせることで「自分で答えに到達してもらう」のがコーチングの良さだという。

自身の経験からも,自分で本当に理解したと感じたことは忘れないものだ。

一通り義務教育を終えて,社会に踏み出す手前の大学生にとっては,ティーチングで知識を詰め込む指導をするよりも,相手の考え

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卒業研究に取り組むべき総時間は?

卒業研究に取り組むべき総時間は?

卒業研究は4年生の1年間,すなわち大学生活の1/4を占める大きなイベントだ。

文系は卒業論文の提出が必須でなかったりするが,理系の場合は実験や解析をして考察をし,さらに論文の執筆やプレゼンテーションが求められるため,非常に多くの時間をかける必要がある。

自身の経験上,研究室には毎日朝から晩まで居ることが普通だったが,最近の学生は自分の時間を大切にする傾向があるので,なかなか研究室に入り浸るとい

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大学院生と大学教員の仕事効率の違い

大学院生と大学教員の仕事効率の違い

最近,仕事の効率で悩むことが多い。

集中力が低く,やるべきことを適切なスピードで出来ている気がしない。

ふと大学院生の頃を思い出すと,あの頃の方がメリハリをつけて真っ直ぐに集中できていた感覚がある。

懐かしの大学院生時代を振り返りながら,今と比較してみた。

睡眠についてまず思い当たるのは睡眠に対する環境の違いだ。

大学院生の頃は,授業がない限り好きな時間に起きて研究室に向かっていたことを

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研究指導から見る,目的と目標の違い

研究指導から見る,目的と目標の違い

日本人はよく「目的」と「目標」を混同していると言われる。

字面が似ているからか,日常生活で使い分けを意識することはあまりない。

「今後の目的は?」ではなく,「今後の目標は?」と聞くことが多いが,実際聞いていることは目的の方だったりする。

正直自分も学生時代は全く理解していなかったが,研究活動を通してなんとなく使い分けがわかってきた。

本記事は,これまでの経験や以下の書籍を参考にして書いた。

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就職と大学院進学のコストパフォーマンス

就職と大学院進学のコストパフォーマンス

2021年度の大学進学率は54.9%で過去最高だった一方,大学院進学率は女性5.6%,男性14.2%(2020年度)に留まっている。

大学卒業後の進路のほとんどは就職と大学院進学が占めるが,大学院への進学率は近年減少傾向にあり,それだけ大卒で就職を希望する学生が増えている。

その原因はどこにあるのか?

コストパフォーマンス最近の学生は合理的で,なんでもコスパで考えたがる。

進路を決める際に

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学生の向上心に頼るしかないのか

学生の向上心に頼るしかないのか

理系の学部では,単位を落とし過ぎて留年することは割とよくある。

中にはサービスする教員もいるが,自分はそういったことはしない。

最低限勉強していれば単位は取れる授業内容になっているので,落単ははっきり言って本人の努力不足だ。

また来年勉強して,自力で単位を取ってもらった方が本人のためにも絶対良い。

卒業研究ただ,卒業研究の単位が得られずに卒業できなくなることは滅多にない。

理系の卒業研究

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勉強が苦手な大学生でも

勉強が苦手な大学生でも

かれこれ10年以上大学に居続けている。

博士取得から直接大学教員として就職したため,いわゆる大学の外の世界を知らないまま,歳を重ねている。

一つの環境に居続けると,どうしても考え方や価値観が凝り固まってくる。

時折感じるのが「勉強できる/できない」を学生に対する評価の尺度にし過ぎることだ。

勉強が苦手な大学生中高生の頃は大学生がすごく賢くて大人な存在に見えたが,実際には不真面目で幼稚な一面

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否定から入る癖と、研究者思考?

否定から入る癖と、研究者思考?

最近になって自覚したが,自分には何かと否定から入る癖がある。

「ここ行こう」と誘われた時,「暑そうだから嫌だ」と否定した後にせっかく夏だしやっぱ行くべきかも,と思い直す。

「これ便利だよ」と勧められた時,「デザインが気に入らない」と否定した後,よくよく調べてみると機能がとても魅力的だったことに気づく。

初めは「思ってた味と違うね」とか言いながら,食べ進めるとハマっていることが多い。

研究者

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