#短編
りんごのつぶやき(シロクマ文芸部)【ショートショート】
今回はこちらのスピンオフ作品になります↓
りんご箱から鈍色の空を見上げて僕はみゃぁ~と鳴き、まだ柔らかい爪でカリカリと箱底をひっかきました。
箱が深くて小さな僕は外に出られないのです。
何度かこちらを覗く人の顔がちらりと見えたけど僕と目が合うと困った顔をして去っていきました。
ぽつりぽつりと冷たいものが顔を濡らし始めたころ、ある人が僕を拾いあげました。
「寒かったね、大丈夫かい」
彼はし
最強オカンと繊細な僕【シロクマ文芸部】
月めくり用の指サックをなくしてしまい
めくれない9月をどうしたものかとセンチメンタルの沼に浸っていると
なんやー
まぁだ9月にしとるんかー?
ドヤドヤッと部屋に押し入ってきたオカンは、ペロッと指先をひと舐めすると何のためらいもなく月をひとめくり
ビリッと一気に9月を切り取った
そして、
はよおいで
ごはんにしよ
と言うと
めくった9月をくしゃくしゃに丸め、どすどすと音を立てながら慌ただ
【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)
文化祭が終わりグラウンドでは恒例の後夜祭が始まった。
後夜祭ではフォークダンスを生徒全員で踊ることになっているのだけど、私は誰かに言われて機械のように踊るフォークダンス(特にオクラホマミキサー)が楽しいと思えなくて嫌いだった。
でも、後夜祭はひと通り踊るとあとは自由解散なのがいい。
大半の生徒はそのままグラウンドに残り時間ギリギリまでそれぞれ文化祭の余韻を楽しんだり、恋の花の種まきをする子も
そして、大人になろうと決めた #妄想のカケラ
#100 そして、大人になろうと決めた
じゃーまた明日!
あの日の僕は、手元にあるゲームステージのクリアが重要で、惰性のさよならを君に送った。
何よりも、明日も明後日もずっと今日と同じ朝がきてまた会えるものだと疑う余地もないほど僕は子供だったのだ。
あの頃の僕は君と憂鬱を共有しあえるほど大人ではなかったけれど、
せめて、あの時、君と向き合って「また明日」と別れていたら、もしかしたら、少しは君