マガジンのカバー画像

妄想のカケラたち

180
書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
運営しているクリエイター

#スキしてみて

世界が消える最期の夜に【妄想のカケラ】

世界が消える最期の夜に【妄想のカケラ】

星が、
流れてはどんどん消えてゆく...

異常なほどの多くの流れ星を見送りながら、この世界が消えるのを、新宿のワンルームのベランダから缶ビール片手に静かに眺めている

ひとりでよかった

誰かと一緒だったら
私的な未練にまみれた迷いごとをわめきちらし
こんなに冷静に最期の夜空を堪能することは出来なかった

ただやっぱり
この美しい夜空が消えてしまうのを
「もったいない」と思ってしまうのも
私的な

もっとみる
思い出は還らない【妄想のカケラ】

思い出は還らない【妄想のカケラ】

あの時、埋めた宝箱をひとりで掘り返す
箱を開けると懐かしい香りのする品々と共に
一緒に開けようと約束した君から
未来の僕に宛てた手紙
それがほろ苦くて
滲んでなくなってしまいそうな視界を
繋ぎ止めるようにぐっと力を込めた_

お題:友達の思い出

書く習慣アプリのお題「友達の思い出」から #詩のようなもの  

身も心もyellow、yellow、(3行日記)

身も心もyellow、yellow、(3行日記)

【身も心もyellow、yellow、】

大陸から吹く風が街をイエローのフィルター加工
ぼんやりソフトな黄色の薄曇りの街で私にもかかるフィルター
今日は身も心もソフトなイエローでいられそう_

桜散る(3行日記)【妄想のカケラ】

桜散る(3行日記)【妄想のカケラ】

桜散る
あの満開の華やいだ休日が夢のよう
若い緑の葉をつけ始めたユリノキが花を散らし切った風にうかれている

お題:桜散る

書く習慣アプリのお題「桜散る」から #3行日記

ヨリミチ、万歳!🙌【妄想のカケラ】

ヨリミチ、万歳!🙌【妄想のカケラ】

春がきただけでなんだかソワソワする
でも、うっかり小石になんぞ躓くなよと自分を少しだけ戒める、私は大人だ
でも、やっぱりソワソワっと気が外れて
ヨリミチをしてふと我に返った瞬間の背筋は
それはそれはともて冷たいものだけれど
それはそれでいいじゃんと上手い具合に合いの手が心に響き
そうだよね〜とまたヨリミチは続く
都合のいい大人デス_

お題:それでいい

書く習慣アプリのお題「それでいい」から #

もっとみる
650円で買った幸せ【妄想のカケラ】

650円で買った幸せ【妄想のカケラ】

春の陽射しの温もりが眠気を誘う釣り堀は時間650円
釣った金魚は三匹まで持ち帰りできる約束だけど
小さな命の世話する器量がないから
釣れなくていいし
うっかり釣れても返せばいいい

そんな無責任な態度をとっても構わないのだという安心を、
垂らした糸の先でぷかぷかとあてもなく水面を漂う浮きを
ぼんやりとただ眺めるだけの幸せを、
私は650円で買ったのだ

風が吹き池のほとりの桜がはらはらと舞っている

もっとみる
「お得」が私を駆り立てる【妄想のカケラ】

「お得」が私を駆り立てる【妄想のカケラ】

見つめすぎたスマホがフリーズ

今日で「お気に入り」に入っている商品のセールがおしまいですよとか
今月末までに申し込むと30%引になりますよとか

そんな、知らなければ過ぎ去ってしまったであろうなもの
でも、知ってしまうと、何かを失いそうで
どうにかしなくてはと
衝動に駆られながらスマホの画面の「お得」を追いかけ
ずいぶん「時」を消耗していた

ふと我にかえると「まだやってんの?」と呆れた愛猫がこ

もっとみる
夫婦【詩のようなもの】

夫婦【詩のようなもの】

#136 夫婦

アレや、アレ!
と言われて
アレな。
と即答できるようになった
21年目

お題:あなたとわたし

書く習慣アプリのお題「あなたとわたし」から #詩のようなもの

最強オカンと繊細な僕【シロクマ文芸部】

最強オカンと繊細な僕【シロクマ文芸部】

月めくり用の指サックをなくしてしまい
めくれない9月をどうしたものかとセンチメンタルの沼に浸っていると

なんやー
まぁだ9月にしとるんかー?

ドヤドヤッと部屋に押し入ってきたオカンは、ペロッと指先をひと舐めすると何のためらいもなく月をひとめくり

ビリッと一気に9月を切り取った

そして、

はよおいで
ごはんにしよ

と言うと
めくった9月をくしゃくしゃに丸め、どすどすと音を立てながら慌ただ

もっとみる
夜の灯りを喰らうひと【超ショート】

夜の灯りを喰らうひと【超ショート】

#125 夜の灯りを喰らうひと

夜の灯りが地上に広がる
このひとつひとつの灯りに
人生があり幸せがある

今夜も地上に広がる灯りに手を伸ばすと
灯りは一粒のあめ玉となり
彼はそれを口に運んだ

誰かの幸せが胃袋に広がる

叶うなら、喰らう側ではなく
これら一つの
ただの灯りになりたかった...

そんな憂鬱を抱きながら
彼は灯りのあめ玉をもう一粒口に入れた

あぁ 胸が焼ける
でも 今夜はもう少

もっとみる
砂になるまでリフレイン【詩】

砂になるまでリフレイン【詩】

#124 砂になるまでリフレイン

浜辺の波が奏でる唄は
流れ着いた貝殻の
秘めた記憶の
遠い遠いどこかの唄

長旅の末、欠けてしまった貝殻の
欠けた唄の不完全なメロディーを
波は構わずにリフレインします

繰り返す波に洗われて
貝殻が砂となり
唄が消えてしまうまで__

書く習慣アプリのお題「貝が」から #詩

【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)

【短編】マイムマイムが募らせる私のブルー (シロクマ文芸部)

文化祭が終わりグラウンドでは恒例の後夜祭が始まった。

後夜祭ではフォークダンスを生徒全員で踊ることになっているのだけど、私は誰かに言われて機械のように踊るフォークダンス(特にオクラホマミキサー)が楽しいと思えなくて嫌いだった。

でも、後夜祭はひと通り踊るとあとは自由解散なのがいい。

大半の生徒はそのままグラウンドに残り時間ギリギリまでそれぞれ文化祭の余韻を楽しんだり、恋の花の種まきをする子も

もっとみる
【自由律】華やぐ朝

【自由律】華やぐ朝

#121 華やぐ朝

殺風景な
僕の部屋に
君の笑い声と
金木犀のコロンが香り
僕の心も華やぐ朝

書く習慣アプリのお題「香水」から #自由律

【短編】幸せな彼女が愛するヒマワリ畑の秘密(シロクマ文芸部)

【短編】幸せな彼女が愛するヒマワリ畑の秘密(シロクマ文芸部)

ヒマワリへ朝一番に水をやり
手入れをするのが、この夏の彼女の大切な日課です。

都会から少し離れているけれどそんなに不便ではない、緑の多い住宅地で彼女は暮らしています。
子供には恵まれませんでしたが、夫と2人で穏やかな幸せを紡いでいるようです。

この家の庭には、彼女が15年かけて育てたささやかなイングリッシュガーデンがあり、一見ランダムに見えるけれど、考えて植えられている夏の宿根草たちが咲き繁り

もっとみる