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時事のあれこれ。

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#IR

東証の「対処すべき課題」

東証の「対処すべき課題」

 東証のえらい人からお声がかかり、「東証の『対処すべき課題』や期待のメッセージを書いてくれませんか?」とご依頼がありました。
 来春に予定している市場区分変更でもよいし、テーマは何でも良いとのことでした。プライム市場とスタンダード市場については、他に書く人は大勢いると思ったので、グロース市場にターゲットを絞り、こんなメッセージを寄せてみました。よろしければご覧ください!

日本取引所グループの統

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プライム市場に行く意味(続き)

プライム市場に行く意味(続き)

 さて、前回(上記)はプライム市場に行く意味は①流動性(一日あたり売買高)と②多様な投資家へのアクセスだと書きました。その中で出ていそうな疑問について書いていきます。

1.高い売買高の主因~TOPIXはどうなる?
TOPIXは東証1部上場の全企業を対象とし、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を用いて算出します。このTOPIXに連動する運用額が巨大なので、TOPIXに入らない二部や新興市場の企業は

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プライム市場に行く意味は2つあります

プライム市場に行く意味は2つあります

 上場企業にお勤めの皆さん、7月に東証から市場区分選択に関するお知らせが来ましたね。現在東証一部に上場している企業がプライムに「残れる」かどうかが、話題になっています。ですが、プライム市場を選択する意味、ちゃんと考えていますか?ステータスのことしか考えていないのであれば、それはちょっと残念です。
 東証は、今回の市場区分変更にあたり、今の一部・二部のように上下の階層を作るのではなく、プライム・スタ

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マザーズから東証一部(プライム)に、スッと上がれる会社、時間がかかる会社

マザーズから東証一部(プライム)に、スッと上がれる会社、時間がかかる会社

 日本の株式市場では、毎年約100社が新たに上場し、その大半が東証マザーズです。上場直後は、株価も跳ね上がりメディアの注目も高いですが、その後2年も経つと株価も注目も停滞してしまうことがあります。一方で着実に市場からの評価を高め、東証一部への指定替えが早期に行われる会社もあります。その差はなんでしょう。
 市場区分変更を踏まえ基準が厳しくなった今でも通じる点を考察します。

① 業績向上 ひとつは

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ショート・ターミズム(短期志向)へのイライラの本質

ショート・ターミズム(短期志向)へのイライラの本質

 ショート・ターミズム(短期志向)とは、企業や投資家が短期的な利益を追求し、長期的な成長を軽視した行動を指します。多くの上場企業が投資家の短期志向にいらだちを感じていると経産省の委員会で報告されました。(*1)
 が、「短期志向」には、2種類あります。「短期的な取引」と「短期的な視点」です。これらを同一視せず、ヘッジファンドやアクティビストを含む様々な投資家を理解し、うまく付き合うことが大事です。

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復興支援とサステナビリティと株式市場

復興支援とサステナビリティと株式市場

 楽天に勤務していた頃のIR(インベスター・リレーションズ)の仕事を綴った『楽天IR戦記』の第6章「東日本大震災と直後の株主総会」について振返ります。あれから10年。この章の最後の文、「非常時、世の中全体が社会的使命を果たそうとする中、株式市場も、経済的利益と社会的利益を両立させる企業を好ましいとする姿勢が見られたのです。」を再考します。
(第6章は以下公開中ですが、読まなくてもわかるよう一部内容

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震災時のIR情報発信を振り返る

 今日は、東日本大震災から10年。もう10年、まだ10年。メディアでもSNSでもあの日を振り返る記事が続いている。
 私は「あの日」、会社にいた。そして直後から投資家対応に追われた。

 『楽天IR戦記』にもそのことを書いた。伝えたかったことはふたつ。①非常時の企業情報発信の難しさと、②非常時にはプロの機関投資家さえも社会的な使命に共感を示したことだったが、納得のいく文とは言えなかった。
 もう一

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新しい年を迎えて

 あけましておめでとうございます。2021年始動しました。しばらくぶりのnote、新しい年の心構えと昨年の振返りを綴っていきます。

2021年の心構え1.自分への投資(心・身体・知識)を怠らず、
2.お世話になっている方々への感謝の気持ちを忘れず、
3.社会に尽くせるよう、一日一日を大切に過ごそうと思います。

3がもっとも大事ではあるのですが、1と2がおろそかになると、3がおざなりな結果になっ

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「共感の資本主義」(その2)時代は、Chief Fantasy Officerの手に

「共感の資本主義」(その2)時代は、Chief Fantasy Officerの手に

 今年の1月、「2020年代、共感の資本主義の時代へ」、というnoteを書きました。Z世代が社会に出ることやESG投資の高まりにより、共感が消費や投資などの経済を動かす原動力となり、社会の軸のひとつになるであろう、というものでした。

 そう思っていたのは私だけでなかったようです。AbemaPrimeで共感をテーマにした特集番組が組まれ、冒頭に私のインタビューが数分流れました。テキスト記事になった

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【ウエビナー振返り】SmartHRが語る、未上場企業のIRの最前線!

【ウエビナー振返り】SmartHRが語る、未上場企業のIRの最前線!

 7月16日(木)に実施したZUU ONLINEウエビナーの振返りです。上場前のスタートアップの経営者に是非読んでもらいたい/見てもらいたい内容です。IR(インベスター・リレーションズ)の真髄を森さんが捉えてくれました。以下のアーカイブもありますが、今回もテキストで振返ります!

昨年61.5億円を調達したSmartHRのIR 人事労務管理のSaaS型サービスを展開するSmartHRは昨年7月にシ

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【ウエビナー解説】コロナ対策だけじゃない!GMOインターネットの組織の仕組みがすごい!

【ウエビナー解説】コロナ対策だけじゃない!GMOインターネットの組織の仕組みがすごい!

 7月2日(木)、ZUU ONLINEでのウエビナー、『急成長企業のIR戦略と共感を生む対話』の第2回は、GMOインターネット取締役 福井敦子さんとの対談でした。アーカイブはこちら。

 GMOインターネットの話を聞きたいと思った理由は、新型コロナウイルス対策にいち早く動いた企業であり、またこの国難を事業の機会に変え、それを対外的に上手に発信した企業でもあったからです。5月7日の「有事のIR・コー

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【ウエビナー予告】SmartHR(7/16)、マネーフォワード(7/30)

【ウエビナー予告】SmartHR(7/16)、マネーフォワード(7/30)

Zuu Onlineでのウエビナー、4回シリーズ、残り3回について予告いたします。いずれも会員登録は無料です。

7月2日(木)17:30 GMOインターネット 取締役 福井敦子さん 明日です。新型コロナウイルス対策にいち早く動いたGMOインターネット。その対策の中心人物であった福井さんに、社内外のコミュニケーションなどについてお伺いします。調べれば調べるほど、独自の経営哲学で、11期連続増収増益

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有事のコーポレートコミュニケーション

有事のコーポレートコミュニケーション

 企業や団体で、広報やIRなどに携わっている方は、この時期、新型コロナウイルスによる影響についてどう対外的に発表すべきか、悩んでいませんか?株式市場からの視点を中心に、いくつかの軸でまとめてみました。

0.基本方針 まず速さ。日本企業は正確性や完全性を重視しがちですが、後で少々訂正することになっても、タイムリーに情報を提供することが肝要です。
 次に、すでに顕在化している事実と、予想を明確に分け

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