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YOASOBI「夜に駆ける」が若者に刺さった理由

この「夜に駆ける」にまんまとハマってしまったので記事にします!ムカつくほどよく出来た中毒性のあるトラック!笑 最近、音楽ネタばかりですが、お付き合いくださいませ。

YOASOBIは1ヶ月で100万再生をこえるほどのヒット曲を生み出した、現在では6500万回再生「夜に駆ける」が超注目の音楽ユニット。
メンバーはプロデューサーのAyaseとボーカルのikuraによる2人のみ。
この記事ではYOASOBIが若者の心に刺さり大ヒットへの道をつかんだ理由について、詳しくまとめてみよう。

「the first take ver.」

YOASOBI「夜に駆ける」が大ヒットした理由

YOASOBIの「夜に駆ける」は多くの若者の心に刺さり、大ヒットした。その理由を簡潔に述べるとすれば、「流入経路が多かった」ことにあると考えられる。
流入経路というのはつまり、「人が興味を持って曲にたどり着くための道」が多かったということである。
具体的には、「曲とユニット自体の背景」や、「ユニットの実力」と、その「バズり方」の3点がキーワードであり、それぞれが関わりあうことによる連鎖が「若者に刺さる理由」であると分析できる。
この記事では、それぞれのポイントについて詳しく解説を加えたい。

YOASOBIと「夜に駆け出る」が生まれた背景

YOASOBIはソニー・ミュージックエンターテイメントが運営している小説・イラスト投稿サイトである「monogatary.com」から誕生した。
きっかけは、昨年7月から9月にかけてmonogatary.comで行われたコンテスト「モノコン2019」で「ソニーミュージック賞」にて大賞に選ばれた作品を音楽化するユニットとして結成されたことだ。こうして「夜に駆ける」は物語をなぞる形で作られている。

✔MVと物語を味わう体験
「夜に駆ける」のもとになったのは、ソニーミュージック賞の大賞を得た「タナトスの誘惑」という小説である。
楽曲を先に聞いた人にとっては、曲の意味していることがピンとこないかもしれない。しかし、小説を読むことにより、曲の背景が読み取れるようになるはずだ。
反対に、小説から先に読んだ人は、歌詞やMVの意味がすんなりと理解できるのではないだろうか。
例えば、MVの最初に屋上を歩く女性と、それに一目惚れした僕の関係性は、小説の序盤で解決する。
また、歌詞にある「まるで恋をしているような表情が嫌いだ」の先に彼女が見ているモノの正体は、短編の中で暴かれている。

✔YOASOBIのクリエイティブとは
小説をもとに楽曲が作られ、それにあわせてMVに使われる映像が作成される。これがYOASOBIにとってのクリエイティブの形である。
そしてこれは、曲への流入経路の多様化に繋がると考えられる。
例えば、日頃からmonogatary.comを愛用して小説を読むことを楽しんでいる人であれば、ソニーミュージック賞を獲得した小説をもとにした楽曲がリリースされたと知れば1度は聞いてみたいと思うはずだ。
無名のクリエイターが突然曲をSNS上に投稿するときと比べると、圧倒的に優位であることが想像できる。
他にも、monogarary.comで同じように大賞をとった小説「夢の雫と星の花」という物語は、YOASOBIが「あの夢をなぞって」という曲で表現している。

小説と楽曲、どちらを先に知ったとしても、「両者を知ることによってよりYOASOBIが表現している曲に惹かれてしまう」という流れが出来上がっているのである。
このように、音楽を物語のように観て聴くという仕組みが、YOASOBIの魅力を増した秘訣であると考えられる。

こちらは「夜に駆ける」の歌詞。

沈むように溶けてゆくように
二人だけの空が広がる夜に

「さよなら」だけだった
その一言で全てが分かった
日が沈み出した空と君の姿
フェンス越しに重なっていた

初めて会った日から
僕の心の全てを奪った
どこか儚い空気を纏う君は
寂しい目をしてたんだ

いつだってチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
触れる心無い言葉うるさい声に
涙が零れそうでも
ありきたりな喜び
きっと二人なら見つけられる

騒がしい日々に笑えない君に
思い付く限り眩しい明日を
明けない夜に落ちてゆく前に
僕の手を掴んでほら
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も
抱きしめた温もりで溶かすから
怖くないよいつか日が昇るまで
二人でいよう

君にしか見えない
何かを見つめる君が嫌いだ
見惚れているかのような恋するような
そんな顔が嫌いだ

信じていたいけど信じれないこと
そんなのどうしたってきっと
これからだっていくつもあって
そのたんび怒って泣いていくの
それでもきっといつかはきっと僕らはきっと
分かり合えるさ信じてるよ

もう嫌だって疲れたんだって
がむしゃらに差し伸べた僕の手を振り払う君
もう嫌だって疲れたよなんて
本当は僕も言いたいんだ

ほらまたチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
君の為に用意した言葉どれも届かない
「終わりにしたい」だなんてさ
釣られて言葉にした時
君は初めて笑った

騒がしい日々に笑えなくなっていた
僕の目に映る君は綺麗だ
明けない夜に溢れた涙も
君の笑顔に溶けていく

変わらない日々に泣いていた僕を
君は優しく終わりへと誘う
沈むように溶けてゆくように
染み付いた霧が晴れる
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々に
差し伸べてくれた君の手を取る
涼しい風が空を泳ぐように今吹き抜けていく
繋いだ手を離さないでよ
二人今、夜に駆け出していく

YOASOBIの実力

このように、YOASOBIの楽曲はもととなる物語があって成り立っている。しかし、物語の存在を知らずに楽曲そのものに惹かれた人も多い。
これは、YOASOBIが持つ実力である。
物語ありきで作られた曲だとしても、曲単体で人の心に刺さるようになっているのだ。曲を聴いて心が揺れた実感をした人は多いはずである。
これを、プロデューサーのAyaseと歌手ikuraの表現力が実現を果たしたのである。

✔プロデューサーAyaseは有名ボカロP
Ayaseは、250万回を超える再生数を誇った「ラストリゾート」などを収録した1st EPを2019年にリリースしたボカロPである。
本人のYouTubeチャンネルには、初音ミクが歌う「幽霊東京」や、自身が歌っている動画をアップしている。シンガーソングライターとしても実力派であり、彼自身の素質が抜群なのだ。化け物。

✔シンガーikuraの歌声
YOASOBIシンガーのikuraは、「幾田りら」として活躍している19歳のシンガーソングライターである。
アコースティックセッションユニット「ぷらそにか」のメンバーであり、弾き語りを披露する。
一方でYOASOBIでは、よく伸び透き通ったようなイメージの声で物語ソングを歌いこなす。化け物。

▼しらスタ「おしら」さんも絶賛。興奮状態MAXな解説動画。化け物。

YOASOBIのバズり方を分析

YOASOBIはSNS上で爆発的なバズり方をしている。
その秘訣は、大きく分けて2種類あると言えるだろう。
・ オブラートに包むメンヘラで時代に乗る
・ tiktokを通して真似したくなる楽曲

それぞれを詳しく解説したい。

✔オブラートに包むメンヘラで時代に乗る
YOASOBIの「夜に駆ける」と同じ時期に流行った、「鬼滅の刃」というアニメに着目してほしい。
鬼滅の刃では、「死への恐怖」や「孤独が怖いから人を操る」など、鬼になった人間のマイナスな感情、言い方を変えればメンヘラ要素が詰まったアニメがヒットした。
そして今回「夜に駆ける」では、自殺願望の強い彼女が死神となり、彼女の自殺を何度も止めようとした彼を希望ある死へと導き、ともに夜(死)へと駆け出すという結末で幕を閉じる。
しかし、小説内でも楽曲内でも、それを「死」とは表現していない。見事にオブラートに包み、綺麗な結末を迎えるようになっているのである。
これは、「心の闇」への関心が強まっている時代の流れと、それを美しく描く技法が支持された形であると捉えられる。

✔tiktokを通して真似したくなる楽曲
プロだけでなく、初心者が「演奏してみた」「歌ってみた」という動画をアップして共有しやすいtiktokでは、カバーしやすい曲がバズる傾向にある。
「ドルチェアンドガッバーナの香水のせいだよ」のフレーズで一躍有名になった瑛人の「香水」などが良い例である。
しかし、YOASOBIの「夜に駆ける」は、そのようなバズり方だけにはとどまらなかった。
例えば「口パク動画」や「MADムービーを合わせた動画」、「踊ってみた」などと、複数の技法で人気を得たのである。
その秘訣は、繊細なメロディーでキャッチーなため印象に残りやすいことに加えて、リズムは4拍子といういたってシンプルであることが挙げられる。
音域が広すぎず、キーもそれほど高くないので歌いやすいことや、ギターなどで弾き語りがしやすいなど、一般人でも真似して投稿できるハードルが低いのである。

YOASOBI「夜に駆ける」が若者に刺さる理由は3つ

このように、YOASOBIの「夜に駆ける」が若者に刺さった理由は大きく分けて3つ存在すると考えられる。

・ 曲とユニット自体の背景
・ ユニットの実力
・ バズり方

時代の流れに敏感な若者たちの傾向にばっちりフィットしたのだ。

トラック完コピ。

このピアノの採譜は素敵。

では、また!

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