マツリカ

メキシコ • モンテレイ在住、駐在妻のマツリカと申します。高い塔に住む魔女からお名前を…

マツリカ

メキシコ • モンテレイ在住、駐在妻のマツリカと申します。高い塔に住む魔女からお名前を頂きました。 帯同赴任のリアルや海外子育ての面白さ、メキシコ人から学んだポジティブマインド、趣味の読書、大好きなファッションをエッセイでお届けします。

マガジン

記事一覧

旅先で地元のように過ごす贅沢

旅行の醍醐味とは言えば? 観光、買物、グルメ、温泉、テーマパーク、コレクション収集。 十人十色の楽しみ方があると思うが、我が家にとっての贅沢は「旅先で地元のように…

マツリカ
9か月前
38

ママから私に戻る月曜日21時

「ストレスが溜まって死にそうなの、飲みに行こうよ!」 先週の木曜日に友達がクラスチャットで呟いた。 「いいね、行こう行こう!」と瞬く間に話が纏まり、クラスのママ達…

マツリカ
10か月前
6

平々凡々な日本人駐妻が富裕層エリアに住んで驚いたお金の話

突然ですが、クイズです。 【68,800円】為替 8.6円=1MXN(20230924時点) これは息子が参加したあるイベントの一年間の合計金額です。 さて何の合計金額でしょうか。 答…

マツリカ
11か月前
39

人生の伏線回収が始まった

二〇二二年は、三十六年の人生の中でもっとも勢いのある年だった。 生後四ヶ月でメキシコに連れてこられた息子が幼稚園デビューし、そこから怒涛の日々が始まった。 ある…

マツリカ
1年前
6

自分の機嫌は自分でとる/メンタル強め美女になるための「コーピングリスト」公開

寝ても覚めても腹が立つ。 気が付けば一日中そのことばかり考えて何も手がつかず、気付けば夕方。 ご飯を炊くことすらおろか、お肉もお魚も解凍してなくて晩御飯ピンチ。 …

マツリカ
1年前
16

人種差別と闘った話/後編【英語抗議文、日本語訳あり】

二年前、むすめが二度に渡って受けた人種差別は、通訳さんとバス会社の協力を得て無事に解決しています。 バス内での悪意あるジェスチャー、録音による嫌がらせは、発覚か…

マツリカ
1年前
9

人種差別と闘った話/中編

十二月某日、日本人のクラスメイトのお母さんから電話があった。 彼女によると、件のブラジル人男子が日本語で話すむすめ達の会話をiPadで録音し、その音声を毎日車内…

マツリカ
1年前
1

人種差別と闘った話/前編

二年前、むすめが二度に渡って受けた人種差別の話をしようと思う。 当時のことを思い出すと、今でもはらわたが煮えくり返るし、後悔も計り知れない。 私たち家族の不本意な…

マツリカ
1年前
1

「発言しないなら居る意味がない」と気付いたハロウィンパーティー

街中でハロウィンの飾り付けが始まると、苦い思い出が蘇る。 あれは十月初旬のことだった。 むすめの通う幼稚園では、園で行われる季節イベントとは別に、母親主催のパーテ…

マツリカ
1年前
9

失意と絶望、波乱の幕開けメキシコ生活

とにかく大変だった。 休む暇もなく日常生活が始まった。 見るもの全てが新鮮でキラキラしていた半面、底知れぬ恐怖があった。 言葉が通じない、翻訳アプリなどまるで役に…

マツリカ
1年前
7

【泣きながら執筆しました】オラの引越し物語

「保安検査場を通過するまでは絶対に泣かない、なにがなんでも」 朝の中部国際空港はひんやりとしている。 時刻は午前六時十分前。国際線出発ロビーの航空会社のチェック…

マツリカ
1年前
5

子連れ海外赴任者必見、在住者しか知らない現地での必需品リスト

十一月に入り引越し業者に打ち合わせに来てもらった。 消耗品と新品、食料品の持ち込み禁止と言われて絶句する。食料品はいいとして、いや全然良くないけれど、生活で使う…

マツリカ
1年前
21

三十歳専業主婦、スペイン語を習う。

語学学習スクールに見学に行った。 メキシコの公用語はスペイン語というが英語が通じるならば、さほど問題はないだろう。 こちとら二十一世紀最大の文明の利器、Google翻…

マツリカ
1年前
3

もし世界を知らない五歳児が大型地図絵本の『マップス』を読んだら

翌週からメキシコについて調べ始めた。 面積一九七万平方キロメートル、日本の面積の五倍の広さ。人口は一億九百五十六万人、公用語はスペイン語、日本との時差は十四時間…

マツリカ
1年前
1

世界で一番パパが好きなむすめを持つママの葛藤 / 単身赴任か家族帯同か

夫の任期はニ〇一九年、一月一日から三年間と決まった。 次に話し合うのは単身赴任か家族帯同か。 単身と帯同ではこれからの生活、ひいては我が家の将来設計を大幅に見直さ…

マツリカ
1年前
1

辞令は突然に… メキシコ編

「夫にある日突然の辞令。そのとき奥さん、ご主人をとりますか?それとも…自由をとりますか?」 遡ること二〇一八年、六月。 その日は朝から悪阻が落ち着いていたので、…

マツリカ
1年前
2
旅先で地元のように過ごす贅沢

旅先で地元のように過ごす贅沢

旅行の醍醐味とは言えば?
観光、買物、グルメ、温泉、テーマパーク、コレクション収集。
十人十色の楽しみ方があると思うが、我が家にとっての贅沢は「旅先で地元のように過ごす」こと。

先日、一年ぶり六回目となるサン・ミゲル・デ・アジェンデに行ってきた。
モンテレイ空港からケレタロ空港まで飛行機で一時間二十分、空港から中心街まで車で一時間三十分、合計三時間の道程だ。
我が家は毎年十月三十一日から十一月二

もっとみる
ママから私に戻る月曜日21時

ママから私に戻る月曜日21時

「ストレスが溜まって死にそうなの、飲みに行こうよ!」
先週の木曜日に友達がクラスチャットで呟いた。
「いいね、行こう行こう!」と瞬く間に話が纏まり、クラスのママ達と一年ぶり二回目の晩御飯に行ってきた。

「候補日を設定したから投票してね」
木曜日に飲みに行く話が出たのに、候補日は翌週月曜、火曜、水曜の二十一時。
急!近!遅!の三拍子にも関わらず十八人中、十三人が投票した。

日本人同士だとこうはい

もっとみる
平々凡々な日本人駐妻が富裕層エリアに住んで驚いたお金の話

平々凡々な日本人駐妻が富裕層エリアに住んで驚いたお金の話

突然ですが、クイズです。
【68,800円】為替 8.6円=1MXN(20230924時点)
これは息子が参加したあるイベントの一年間の合計金額です。
さて何の合計金額でしょうか。

答えは、誕生日会のプレゼント代。
二〇二二年九月~二〇二三年九月現在まで、十六回の誕生日会にお呼ばれしました。年少・年中の間は男女関係なくクラス全員がお呼ばれし、年長からは友達のみを招く家庭が多いです。
一回のプレゼ

もっとみる

人生の伏線回収が始まった

二〇二二年は、三十六年の人生の中でもっとも勢いのある年だった。
生後四ヶ月でメキシコに連れてこられた息子が幼稚園デビューし、そこから怒涛の日々が始まった。

あるときは「ワールドカップの対戦国を知ろう」というテーマのもと、メキシコと同じグループリーグのアルゼンチン、サウジアラビア、ポーランド。もしくはカタール、ベルギーのいずれを選んで保護者が生徒にプレゼン、その国の郷土料理を食べてみようというプロ

もっとみる
自分の機嫌は自分でとる/メンタル強め美女になるための「コーピングリスト」公開

自分の機嫌は自分でとる/メンタル強め美女になるための「コーピングリスト」公開

寝ても覚めても腹が立つ。
気が付けば一日中そのことばかり考えて何も手がつかず、気付けば夕方。
ご飯を炊くことすらおろか、お肉もお魚も解凍してなくて晩御飯ピンチ。
そのうえ、制服の洗濯もしてないし、アルファベットの宿題も手伝わないといけない。
冷凍ラーメンの在庫はとうに切れたし、卵も切らしてたんだった。
あぁもうやだ、今日はもう詰んだ。
全部放棄して布団に潜り込みたい。
これ全部、昨日の私のこと。

もっとみる
人種差別と闘った話/後編【英語抗議文、日本語訳あり】

人種差別と闘った話/後編【英語抗議文、日本語訳あり】

二年前、むすめが二度に渡って受けた人種差別は、通訳さんとバス会社の協力を得て無事に解決しています。
バス内での悪意あるジェスチャー、録音による嫌がらせは、発覚から六日で解決をしました。これまで人種差別を受けた経験のある方に話を聞くと、やはり長引く場合が多く、訴えが認められず解決に一年を要した方も見えました。
前編の冒頭でも触れましたが人種差別が発覚したときは、
・嫌がらせを受けた日時と言動を記録す

もっとみる
人種差別と闘った話/中編

人種差別と闘った話/中編

十二月某日、日本人のクラスメイトのお母さんから電話があった。
彼女によると、件のブラジル人男子が日本語で話すむすめ達の会話をiPadで録音し、その音声を毎日車内で流し続けているという。
一か月前に解決したと思っていた問題は、解決どころかさらに酷くなっていた。

電話を切ってむすめの部屋に走った。
その話を切り出すや否や、声をあげて泣き出した。すぐに夫に連絡を入れ、この件は絶対にうやむやにさせないと

もっとみる
人種差別と闘った話/前編

人種差別と闘った話/前編

二年前、むすめが二度に渡って受けた人種差別の話をしようと思う。
当時のことを思い出すと、今でもはらわたが煮えくり返るし、後悔も計り知れない。
私たち家族の不本意な経験が誰かの役に立つことを願ってここに書き記す。

人種差別を経験して学んだことは四つ。
・嫌がらせ行為があった日時と言動を詳細に記録する
・抗議メールは、担任・コーディネーター・アドミニ・校長を含めた複数の宛先へ送る
・母親が感じる子供

もっとみる
「発言しないなら居る意味がない」と気付いたハロウィンパーティー

「発言しないなら居る意味がない」と気付いたハロウィンパーティー

街中でハロウィンの飾り付けが始まると、苦い思い出が蘇る。
あれは十月初旬のことだった。
むすめの通う幼稚園では、園で行われる季節イベントとは別に、母親主催のパーティがあった。
クラス毎にハロウィン、クリスマス、イースター、学年末のパーティーが開催され、自分の好きなイベントを担当することが出来る。
なにせ初めてのことだし、嫌なことは早々に終わらせようと、日本人の友達と一緒にハロウィンを選んだ。

もっとみる
失意と絶望、波乱の幕開けメキシコ生活

失意と絶望、波乱の幕開けメキシコ生活

とにかく大変だった。
休む暇もなく日常生活が始まった。
見るもの全てが新鮮でキラキラしていた半面、底知れぬ恐怖があった。
言葉が通じない、翻訳アプリなどまるで役に立たない。メンタルはアップダウンを繰り返し、前年を遥かに上回る根性が必要だった。

英語を話す人が圧倒的に少ない。
語学学校の先生が言っていた通り、生活の全てがスペイン語だった。
一人で注文してみようと勇んで並んだバーガーショップ。
注文

もっとみる
【泣きながら執筆しました】オラの引越し物語

【泣きながら執筆しました】オラの引越し物語

「保安検査場を通過するまでは絶対に泣かない、なにがなんでも」

朝の中部国際空港はひんやりとしている。
時刻は午前六時十分前。国際線出発ロビーの航空会社のチェックインカウンターはどこも無人で、ターミナル全体が閑散としている。
後一時間もすれば、ゴールデンウィークを海外で過ごす旅行客でごった返すのだろう。

息子を起こさないよう、そっとエルゴを外し、チェックインカウンターから一番近いソファー席に腰を

もっとみる
子連れ海外赴任者必見、在住者しか知らない現地での必需品リスト

子連れ海外赴任者必見、在住者しか知らない現地での必需品リスト

十一月に入り引越し業者に打ち合わせに来てもらった。
消耗品と新品、食料品の持ち込み禁止と言われて絶句する。食料品はいいとして、いや全然良くないけれど、生活で使うものは大体消耗品ではないのか。

消耗品と新品、食料品の持ち込み禁止ルールに加えて、我が家はゆるミニマリスト。会社規定を大きく下回る量で出国した。生活で必要なものは現地で買い揃えたけれど、クオリティーの問題で日本から取り寄せたものもある。在

もっとみる
三十歳専業主婦、スペイン語を習う。

三十歳専業主婦、スペイン語を習う。

語学学習スクールに見学に行った。
メキシコの公用語はスペイン語というが英語が通じるならば、さほど問題はないだろう。

こちとら二十一世紀最大の文明の利器、Google翻訳アプリをダウンロードしている。もちろん大人のやり直し英語は必須だけれど、夫と違ってスペイン語まで受講する必要はないはず。
スタッフの方が、メキシコ人の知り合いがいるので聞いてみますと早速電話をかけてくれた。
「都市部だと英語を話す

もっとみる
もし世界を知らない五歳児が大型地図絵本の『マップス』を読んだら

もし世界を知らない五歳児が大型地図絵本の『マップス』を読んだら

翌週からメキシコについて調べ始めた。
面積一九七万平方キロメートル、日本の面積の五倍の広さ。人口は一億九百五十六万人、公用語はスペイン語、日本との時差は十四時間。

へー。ガイドブックを見てもピンと来ない。
それもそのはず、首都 • メキシコシティは、あらゆる情報が掲載されているのに、私達が住むモンテレイは片隅に申し訳程度の情報しか掲載されていない。
もっと私の生活に直結するワクワクするような情報

もっとみる
世界で一番パパが好きなむすめを持つママの葛藤 / 単身赴任か家族帯同か

世界で一番パパが好きなむすめを持つママの葛藤 / 単身赴任か家族帯同か

夫の任期はニ〇一九年、一月一日から三年間と決まった。
次に話し合うのは単身赴任か家族帯同か。
単身と帯同ではこれからの生活、ひいては我が家の将来設計を大幅に見直さなければならない。
幸いなことに、夫も私も帯同で意見が一致したけれど、最終判断はむすめに任せる事にした。
もしも日本に残りたいと言った場合は、それぞれの土地で頑張ろうと約束した。

いつ切り出すか。洗濯ものを畳みながら考える。

大好きな

もっとみる
辞令は突然に… メキシコ編

辞令は突然に… メキシコ編

「夫にある日突然の辞令。そのとき奥さん、ご主人をとりますか?それとも…自由をとりますか?」

遡ること二〇一八年、六月。
その日は朝から悪阻が落ち着いていたので、むすめが同じ幼稚園に通う友達と長電話をしていた。途中で夫からキャッチが入り友達に断って電話に出た。
「もしも」
「あのさ、メキシコに行ってもええか」
察するに、海外赴任の打診があったのだろう。
以前にも赴任の話はあったが、何度も立ち消える

もっとみる