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失意と絶望、波乱の幕開けメキシコ生活

とにかく大変だった。
休む暇もなく日常生活が始まった。
見るもの全てが新鮮でキラキラしていた半面、底知れぬ恐怖があった。
言葉が通じない、翻訳アプリなどまるで役に立たない。メンタルはアップダウンを繰り返し、前年を遥かに上回る根性が必要だった。

英語を話す人が圧倒的に少ない。
語学学校の先生が言っていた通り、生活の全てがスペイン語だった。
一人で注文してみようと勇んで並んだバーガーショップ。
注文こそ出来たものの、何を聞かれているのかが理解できず長蛇の列を作った。

ネイルやヘアケア商品を扱うお店に除光液を買いに行き、何度も同じ質問をして、店員に嘲り笑われたこともあった。
学校の入学面談では、教師の英語を聞き取ることが出来ずに
「私はここに家政婦として来た」と家族が寝静まった深夜に声を出さずに泣いた。

スペイン語は発展途上、英語での会話も気後れする。
最初の何ヶ月かはこんな調子で、思い悩んで完徹することもままあった。
それでも不思議と日本に帰りたいと思うことは無かった。
自分を奮い立たせる音楽、自信を与える言葉を繰り返し唱え、ひたすら耐えた。

時が過ぎるのを待ったのではない。
自分の語学力と経験が追いつくまで耐えた。
生活に困らないレベルまで英語とスペイン語を底上げし、根拠のある自信をつけた。失意と絶望、波乱の幕開けだったメキシコ生活は、語学という武器を磨かせ、私の確かな血肉となった。

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