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哲学徒4人で「全部ドラフト」やってみた

この前書いたいつメン(オーストラリア人のKはパートナーとの予定かなんかで欠席)で「全部ドラフト」やってみました。それぞれの背景を知ってた方がより楽しめると思うので、もし気になったらこちらも読んでいただければと思います。

↓↓こちら↓↓


「全部ドラフト」って知ってる?

新作がアップされれば必ず見るYoutubeチャンネルを挙げよと言われると、「佐久間宣行のNOBROCK TV」、「さらば青春の光Official Youtube Channel」、「粗品 Official Channel」、「きまぐれクック」、「寺門ジモンのウザちゃんねる」に「アンジャッシュ渡部がいつか地上波のグルメ番組に出ることを夢見てロケハンする番組」だったりするわけだが、毎回ではないにしても面白そうだと思うとどうしてもクリックしてしまうチャンネルとしては、(以前にその「タイムマシーン」のネタについて書いたかまいたちラランド鬼越トマホークが挙げられる。そして「バキ童チャンネル」もその並びに入ってくるのは間違いない。乃木坂46の元メンバー、生駒里奈さんほどこのチャンネルを見れていないことは誠に遺憾ではあるが、「全部ドラフト」というゲームもこのチャンネルを通して知った。
さて、「全部ドラフト」とは、プロ野球やプロバスケットボールで各チームが新しい選手を獲得するためのシステムである「ドラフト制度」を元にしたゲームである。ただし、選手ではなく森羅万象、つまりありとあらゆる全部」を対象に指名・獲得し、理想的な世界を作ろうというゲームである。このゲームでは、「ドラフト制度」同様に、第一巡から第〇〇巡まで指名・獲得し(私たちの場合は10位までの指名とした。)、指名が同順位で被った場合は抽選で決定する。そしてこのゲームの肝は、指名されたモノはその他のプレイヤーの世界からは存在しなくなる点である。例えば、あるプレイヤーが「空気」を指名・獲得できたとすると、他のプレイヤーの世界には「空気」が物理的にも概念的にも存在しなくなる、という具合である。
私の上記の説明だけだと分かりにくいと思うので、もし気になった方は下の動画を見てみてください。または、そのオリジナルであるこんにちパンクールのこちらを見ていただければと思います。

いつメンで週1で集まると、最近読んだ本(つまりここ1週間で。)の話、それらについて議論、そしてボードゲームってのが大体のルーティーンになっている。前にも書いたようにSecret Hitler, CodenamesBangの3つがお気に入り。
ちなみに私は最近読んでいる本として、ヘーゲルの『大論理学』を紹介すると、友人の1人が「それ、多分『小論理学』だよ」と指摘してきた。私は世界にはヘーゲルの『論理学』という本が二種類存在し、それぞれ『大論理学』と『小論理学』と呼ばれていることを知らなかった。
でも、皆んなで集まるのももう片手の指で数えられる程度って考えると、もっと根本的にこの友人たちを知りたいと思って、思い切って「全部ドラフト」をやろうと提案したわけである。そしたら思った以上に面白がってくれて、1人は真剣に考えすぎて「時間が足りないから次回集まった時にやらない?」って言ってきたぐらいだった。
ぶっちゃけ私は以上の動画を見てからこの「全部ドラフト」をやっているので、予習できているといえばできているから、ある種チートしているわけだけど、残りの3人はガチンコで真っさらな状態でこの訳のわからないゲームに参加しているので、そこを注目して欲しい。ではどんな結果になったのかから見せていきたいと思う。

全部ドラフトやってみた:結果発表

E:24歳、スコットランド系イングランド人、リベラルで敬虔なキリスト教徒、学部はニーチェ、修士はキルケゴール研究。ビールとサッカー大好き。

  1. 神(God)

  2. 動物(Animal)

  3. 友情(Friendship)

  4. アルコール(Alcohol)

  5. 自分自身(E, myself)

  6. 音楽(Music)

  7. ゲーム(Game)

  8. 社会(Society)

  9. 自分自身の家族(My Family)

  10. 書くこと、執筆(Writing)

B:25歳、ニュージャージー州出身のアメリカ人、奇人で天才。珍味。学部はショーペンハウアーとサンスクリット語の研究、修士はAI時代の『パサージュ論』としてテムズ川の「川論」を書いている。その訳の分からなさが魅力。

  1. 生殖器(Organ of Reproduction)

  2. ジントニック(Gin and Tonic)

  3. 崇高さ(Sublime)

  4. 不動態(Passivation)/アルマイト(Anodizing)

  5. 孤独(Loneliness)

  6. 生成(Becoming)

  7. 犬(Dogs)

  8. 猫(Cat)

  9. 電話(Telephone call)

  10. W(次のプレイヤーであるインド人の友人)

W:30歳、インド人。ナヴァ・ラサ(9つの情感)というインド美学を体現したような人間。全てを120%で生き、120%で表現する。

  1. 重力(Gravity)

  2. モジュール以前の物質性(Pre-module Materiality)

  3. 実質的形相(Substantial Form)

  4. 偶発的形相(Accidental Form)

  5. 熱(Heat)

  6. 氷(Ice)

  7. 触発される能力(Capacity to be Affected)

  8. モノ(Things)

  9. 羊膜(Amniotic)

  10. 不在(Absence)

わたくし、つまりペテンの配達人

  1. 原子(Atom)

  2. 科学(Science)

  3. 色(Colour)

  4. 時間(Time)

  5. 人間(Human Beings)

  6. 概念(Concept)

  7. 数字(Number)

  8. 死(Death)

  9. 空間(Space)

  10. 哲学(Philosophy)

全体振り返り

E、B、W、そして私の順で、第一巡選択希望全部から第十巡選択希望全部まで回していった結果が以上になり、4人だったということもあったのか、被りもなかったため抽選することもなかった。その後、4人で振り返りも含めて議論していき、自分以外の世界で最も理想的な世界を指名して勝者を決めることにした。
その結果は、Eの世界が最も理想的な世界ということになった。やっぱり神は最強だということがわかった。私とWが重力の影響のない時間なるモノを議論していると、「時間、空間、形相、質料、モノにしろ、全て神による創造なんだから、意味のない議論をするんじゃないよ」とE。私が「概念は私が獲得したから、概念のない世界の神ってどんなの?」って聞くと、「概念より概念らしい概念を創造する者に決まっているでしょ。」と一蹴された。
おそらく、第一巡指名で「神」が出てきたところで、E以外の人は信仰、救済、犠牲、復活、愛とかで「神」を構成するものを削っていく方向に進めばよかったのかもしれない。それぐらい強かった。
あとは、私やWみたいに抽象的なものだとやっぱり味気ないというか、良い世界にはならない、というか人気が出ないというか。やっぱり、ジントニックとかアルコール、ゲームや音楽があったり、犬とか猫がいたりするだけでなんとなく豊かな世界になっている気がする。あとは、アルマイトや羊膜が出るのは、個人的に面白かった、私だったら絶対に出ない発想だったので。
私はちょっと、カントとハイデガーに引っ張られすぎた選択だったかもしれないと反省した。あと、科学、概念、数字、哲学あたりはダブりが出ている気がするので、もう少し絞ってもよかったと反省している。他の動物が存在せず、社会も存在しないのに、孤独すら感じられず、性行為も生殖活動もできない人間は、音楽もゲームもお酒も楽しめずに死だけが待つ色のある世界に生きる。うーん、ちょっと辛い世界ではあるな。
人が出るタイプのゲームだということは確かだと思う。分かっていなかった部分が分かるようになったり、分かってた部分がさらに分かるようになったり、逆に分かっていた気になっていて実はわかっていない部分が垣間見れたり、全く知らなかった一面が見えたり。まぁ、総じて、楽しかったし、みんなも楽しんでくれたみたいだったから良かった。ありがとう、バキ童チャンネル!


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