記事一覧

記念碑はなんのためにある

「心の傷を癒すということ 劇場版」  先日、職場のパソコンに届いた一通のメールに目が留まりました。  「来年2025年、阪神淡路大震災から30年という節目を迎えるに…

ゑ
2日前
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長崎と広島

「広島は平和を売り物にしている」  今年4月、私は就職して晴れて社会人となりました。勤め先は関西圏のとある学校。4月1日から新任研修のため早速出勤したわけですが、…

ゑ
6日前
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循環呼吸さえ身につければコラールはもっと楽しくなる

コラールこそ吹奏楽だ  全国6億3千万人の管楽器奏者の皆さん、こんにちは。またしても攻撃的なタイトルですみません。普通のタイトルがつけられない病気なんです。許し…

ゑ
2週間前

満月

 店の前で同期と別れて、人通りの多い幹線道路を歩く。  今日は金曜日。いわゆる"華金"と呼ばれる夜の繁華街には、上機嫌な大人たちが溢れている。いや、自分もそのうち…

ゑ
1か月前
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雨ニモ負ケル

雨ニモマケル 風ニモマケル 雪ニモ 夏ノ暑サニモマケル 丈夫ナカラダガ欲シイト嘆キ ドウ見テモ欲ダラケデ 何カト情緒不安定デ イツモ色々トイライラシテイル 一日…

ゑ
2か月前
6

俺達はなんのために勉強するのか

 県内でも有数の進学校、生徒の半分以上が"難関大"と言われる偏差値60以上の大学に進学するような場所。そういう場所で、私は今働いています。  担当学年は高校1年生。…

ゑ
3か月前
2

たちまちメガ金麦

プロローグ  "楽器"という名の金属の塊を何時間も持ち続けたあと、不思議とメガジョッキは軽く感じる。本当は白い泡なんていらなくて、全部金色の液体でなみなみ注いで持…

ゑ
3か月前
3

Interlude

 響き渡るチャイムと厳かなブラスの音色。それまでの忙しなさが嘘のように、一瞬で空気が変わる。 はじまり  毎週のように練習に行き、毎月のように本番に出るというこ…

ゑ
3か月前
6

今日思ったこと

寒すぎ

ゑ
4か月前
1

ぼくらが旅に出る理由

プロローグ 3月10日の午前11時、博多駅に集まったメンバーは8人。飛行機、車、新幹線、バラバラの交通手段で集まるのがなんとも自分達らしい。そんなことを思いながら、…

ゑ
4か月前
12

4,750

 その日、私は珍しく大画面のテレビを見ていた。  たまたま小学校の帰りに友達の家にそのまま遊びに行ったときのこと。その子の家はかなり裕福で、毛並みの揃ったスタイ…

ゑ
5か月前
5

線路は続くよどこまでも

 聞き馴染みのある童謡のメロディで始まる接近放送のあと、轟音とともにホームに滑り込んでくるオレンジ色の電車。なんで阪神なのにジャイアンツカラー…?と、株主総会で…

ゑ
5か月前
4

To Coda

 三寒四温。いや、まだ四寒二温くらいのバランスですが、ここ最近確実に春の足音が近づいて来ました。晩冬の候、フォロワーの皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょ…

ゑ
5か月前
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和泉宏隆氏の曲をひたすらおすすめする

 「TAKARAJIMA」「OMENS OF LOVE」でおなじみのピアニスト、和泉宏隆氏。フュージョンバンドT-SQUAREに在籍していたことで知られ、数々のインストゥルメンタルの名曲をこ…

ゑ
6か月前
2

卒論感想戦

 画面の前の皆さん、こんにちは。人生の勝者です。なんでこんなありえないくらいビッグマウスなのかと言うと、先日卒業論文を大学に提出し、発表会(口頭試問)を終えてき…

ゑ
6か月前
7

2024.1.17

 先日、神戸・三宮の東遊園地で行われた「阪神淡路大震災1.17のつどい」に参加したので、その時の話をまとめます。 午前2時 静まり返った深夜の大阪・柏原、この日の最…

ゑ
6か月前
5

記念碑はなんのためにある



「心の傷を癒すということ 劇場版」

 先日、職場のパソコンに届いた一通のメールに目が留まりました。

 「来年2025年、阪神淡路大震災から30年という節目を迎えるにあたって、ある映画のチャリティ・オンライン配信を紹介します。」

 映画のタイトルは「心の傷を癒すということ」。初めて見たタイトルだったので調べてみたところ、神戸で被災者のケアに努めた精神科医・安克昌氏の本をもとにつくられたテレ

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長崎と広島


「広島は平和を売り物にしている」

 今年4月、私は就職して晴れて社会人となりました。勤め先は関西圏のとある学校。4月1日から新任研修のため早速出勤したわけですが、その初日に耳を疑う一言を聞きました。それが見出しの言葉です。

 具体的なシチュエーションを書くと特定されてしまいそうなので、だいぶ割愛させていただきますが、まさか新任研修でこの言葉を聞くとは思ってもみませんでした。

 その後、真意

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循環呼吸さえ身につければコラールはもっと楽しくなる


コラールこそ吹奏楽だ

 全国6億3千万人の管楽器奏者の皆さん、こんにちは。またしても攻撃的なタイトルですみません。普通のタイトルがつけられない病気なんです。許してください。

 さて、私は吹奏楽の曲の中で最もその編成の魅力を発揮することができるジャンルは「コラール」だと思っています。

 吹奏楽というのはほとんどの楽器が管楽器。つまり伸ばしている音には、常に人の息が入っている状態であるというこ

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満月

満月

 店の前で同期と別れて、人通りの多い幹線道路を歩く。

 今日は金曜日。いわゆる"華金"と呼ばれる夜の繁華街には、上機嫌な大人たちが溢れている。いや、自分もそのうちのひとりなのだけど。

 久々に賑わいだLINEの通知に胸が躍った。夕方、速めのラリーが続くグループで「今日飲みに行かない?」と誘ったのは、ほぼ反射的だった。

 土曜勤務が当たり前の職場。もちろん明日も出勤。でも大丈夫。日付が変わるま

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雨ニモ負ケル

雨ニモマケル

風ニモマケル

雪ニモ 夏ノ暑サニモマケル

丈夫ナカラダガ欲シイト嘆キ

ドウ見テモ欲ダラケデ

何カト情緒不安定デ

イツモ色々トイライラシテイル

一日ニ煙草三本トビール一杯ト

揚ゲ物ト本当ニ少シダケ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニ入レマクリ

アマリチャントミキキモセズ

ソシテスグワスレ

都会ノビルノ谷間ノ

ワンルームノ賃貸ノ中ニヰテ

東ニ頭ノ

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俺達はなんのために勉強するのか

 県内でも有数の進学校、生徒の半分以上が"難関大"と言われる偏差値60以上の大学に進学するような場所。そういう場所で、私は今働いています。

 担当学年は高校1年生。いよいよ受験の影がチラつき始める年頃ですが、数年後のことを考えて動き始めている生徒は恐らく半分程度。

 いや、逆に半分もいるのがすごい。流石は進学校という感じですが、イマイチまだエンジンがかからない生徒がいるのも事実。

 まあ自

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たちまちメガ金麦

たちまちメガ金麦

プロローグ

 "楽器"という名の金属の塊を何時間も持ち続けたあと、不思議とメガジョッキは軽く感じる。本当は白い泡なんていらなくて、全部金色の液体でなみなみ注いで持ってきてほしいけど、そこは日本人の侘び寂び。
 一口目から麦を感じたくて、思いっきり喉に流し込む。今日一日を生きてきて、一番"生"を実感する瞬間かもしれない。

 思えば、法律上お酒を飲めるようになってからの4年間、とんでもなく濃い日々

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Interlude

 響き渡るチャイムと厳かなブラスの音色。それまでの忙しなさが嘘のように、一瞬で空気が変わる。

はじまり

 毎週のように練習に行き、毎月のように本番に出るというここ最近の生活は、2年前のBLOOM BRASS Vol.3からスタートしました。

 大阪に来て大学生になったはいいものの、コロナ禍で吹奏楽が満足にできない時期。そのときに誘われて参加したのがBLOOMでした。

 ブラスバンドという未

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ぼくらが旅に出る理由

ぼくらが旅に出る理由



プロローグ 3月10日の午前11時、博多駅に集まったメンバーは8人。飛行機、車、新幹線、バラバラの交通手段で集まるのがなんとも自分達らしい。そんなことを思いながら、同期との久々の再開に心躍らせていました。

 去年1月に12人で紀伊半島を旅行してから早14ヶ月。個々人を取り巻く環境も人間関係も大きく変わったけど、それでも大半のメンバーがこうして再び集まったのは不思議でもあるし、どこか必然な気も

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4,750

 その日、私は珍しく大画面のテレビを見ていた。

 たまたま小学校の帰りに友達の家にそのまま遊びに行ったときのこと。その子の家はかなり裕福で、毛並みの揃ったスタイルのいい猫、木目のきれいなダイニングテーブル、そしてリビングに鎮座する信じられないくらい大きな液晶テレビ。

 訪れたのは2回目だけど、相変わらず内装の豪華さに圧倒されながら点けたテレビ画面に、私は一瞬で目を離せなくなった。

 ありえな

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線路は続くよどこまでも

 聞き馴染みのある童謡のメロディで始まる接近放送のあと、轟音とともにホームに滑り込んでくるオレンジ色の電車。なんで阪神なのにジャイアンツカラー…?と、株主総会でも話題になったという疑問を思い出しながら、大阪梅田行きの特急電車に乗り込みました。

 関西に来てからというもの、数えられないくらいいろんな電車に乗って来ました。近鉄、阪神、阪急、南海、京阪。地域の皆様の足となっている私鉄の数々は、どれも個

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To Coda

 三寒四温。いや、まだ四寒二温くらいのバランスですが、ここ最近確実に春の足音が近づいて来ました。晩冬の候、フォロワーの皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。きっと今年も数日おきに変わる空模様に一喜一憂しながら、大量に飛散する花粉の中を溺れるように過ごされていることでしょう。

 そして皆さんと同じ愚かな人間である私も、洗濯物が乾いたり乾かなかったりする日々に情緒を乱されながら、来たる春か

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和泉宏隆氏の曲をひたすらおすすめする

 「TAKARAJIMA」「OMENS OF LOVE」でおなじみのピアニスト、和泉宏隆氏。フュージョンバンドT-SQUAREに在籍していたことで知られ、数々のインストゥルメンタルの名曲をこの世に送り出してきました。

 残念ながら2021年に帰らぬ人となってしまいましたが、今もその作品はT-SQUAREをはじめとする多くのアーティストによって日本全国で演奏されています。今回はそんな和泉さんの作品

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卒論感想戦

 画面の前の皆さん、こんにちは。人生の勝者です。なんでこんなありえないくらいビッグマウスなのかと言うと、先日卒業論文を大学に提出し、発表会(口頭試問)を終えてきたからです。そりゃマウスもビッグになりますよね。
 というわけで、今回は卒業論文についてのここまでの振り返りを皆さんと共有したいと思います。

流れ キツすぎる前置きから一転、ここからは真面目(当社比)にお送りします。まずは卒論執筆の大まか

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2024.1.17

 先日、神戸・三宮の東遊園地で行われた「阪神淡路大震災1.17のつどい」に参加したので、その時の話をまとめます。

午前2時 静まり返った深夜の大阪・柏原、この日の最低気温は1℃。きっと夜明け前の神戸も同じくらい寒いだろうと思い、できる限りの防寒をして静かに自宅を出発しました。

 もちろん電車などあるはずもなく、後輩が最寄り駅までレンタカーで迎えに来てくれました。彼が今回の同伴者です。一緒に来て

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