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記念碑はなんのためにある

「心の傷を癒すということ 劇場版」  先日、職場のパソコンに届いた一通のメールに目が留まりました。  「来年2025年、阪神淡路大震災から30年という節目を迎えるにあたって、ある映画のチャリティ・オンライン配信を紹介します。」  映画のタイトルは「心の傷を癒すということ」。初めて見たタイトルだったので調べてみたところ、神戸で被災者のケアに努めた精神科医・安克昌氏の本をもとにつくられたテレビドラマの総集編とのこと。  映画は3年前の2021年に公開されたもので、今回

    • 長崎と広島

      「広島は平和を売り物にしている」  今年4月、私は就職して晴れて社会人となりました。勤め先は関西圏のとある学校。4月1日から新任研修のため早速出勤したわけですが、その初日に耳を疑う一言を聞きました。それが見出しの言葉です。  具体的なシチュエーションを書くと特定されてしまいそうなので、だいぶ割愛させていただきますが、まさか新任研修でこの言葉を聞くとは思ってもみませんでした。  その後、真意が気になって発言の主に質問をしてみることに。 「あ、すみません。"平和を売り物

      • 循環呼吸さえ身につければコラールはもっと楽しくなる

        コラールこそ吹奏楽だ  全国6億3千万人の管楽器奏者の皆さん、こんにちは。またしても攻撃的なタイトルですみません。普通のタイトルがつけられない病気なんです。許してください。  さて、私は吹奏楽の曲の中で最もその編成の魅力を発揮することができるジャンルは「コラール」だと思っています。  吹奏楽というのはほとんどの楽器が管楽器。つまり伸ばしている音には、常に人の息が入っている状態であるということになります。その人の生きている証ともいえる息がつくる音楽というものには、とても

        • 満月

           店の前で同期と別れて、人通りの多い幹線道路を歩く。  今日は金曜日。いわゆる"華金"と呼ばれる夜の繁華街には、上機嫌な大人たちが溢れている。いや、自分もそのうちのひとりなのだけど。  久々に賑わいだLINEの通知に胸が躍った。夕方、速めのラリーが続くグループで「今日飲みに行かない?」と誘ったのは、ほぼ反射的だった。  土曜勤務が当たり前の職場。もちろん明日も出勤。でも大丈夫。日付が変わるまでに家に着いておけばいい。あまり後先考えず、大阪行きの電車に乗った。  大阪は

        記念碑はなんのためにある

          雨ニモ負ケル

          雨ニモマケル 風ニモマケル 雪ニモ 夏ノ暑サニモマケル 丈夫ナカラダガ欲シイト嘆キ ドウ見テモ欲ダラケデ 何カト情緒不安定デ イツモ色々トイライラシテイル 一日ニ煙草三本トビール一杯ト 揚ゲ物ト本当ニ少シダケ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レマクリ アマリチャントミキキモセズ ソシテスグワスレ 都会ノビルノ谷間ノ ワンルームノ賃貸ノ中ニヰテ 東ニ頭ノ悪イ上司アレバ 意味モナク頭ヲ下ゲテヤリ 西ニ理不尽ナ客アレバ 客先マデ行

          雨ニモ負ケル

          俺達はなんのために勉強するのか

           県内でも有数の進学校、生徒の半分以上が"難関大"と言われる偏差値60以上の大学に進学するような場所。そういう場所で、私は今働いています。  担当学年は高校1年生。いよいよ受験の影がチラつき始める年頃ですが、数年後のことを考えて動き始めている生徒は恐らく半分程度。  いや、逆に半分もいるのがすごい。流石は進学校という感じですが、イマイチまだエンジンがかからない生徒がいるのも事実。  まあ自分も高校時代は部活に明け暮れていて、高校1年のときなんて勉強の"べ"どころか子音

          俺達はなんのために勉強するのか

          たちまちメガ金麦

          プロローグ  "楽器"という名の金属の塊を何時間も持ち続けたあと、不思議とメガジョッキは軽く感じる。本当は白い泡なんていらなくて、全部金色の液体でなみなみ注いで持ってきてほしいけど、そこは日本人の侘び寂び。  一口目から麦を感じたくて、思いっきり喉に流し込む。今日一日を生きてきて、一番"生"を実感する瞬間かもしれない。  思えば、法律上お酒を飲めるようになってからの4年間、とんでもなく濃い日々を過ごしてきた気がする。たくさんの人に出会い、言葉を交わし、ときにぶつかりながら

          たちまちメガ金麦

          Interlude

           響き渡るチャイムと厳かなブラスの音色。それまでの忙しなさが嘘のように、一瞬で空気が変わる。 はじまり  毎週のように練習に行き、毎月のように本番に出るというここ最近の生活は、2年前のBLOOM BRASS Vol.3からスタートしました。  大阪に来て大学生になったはいいものの、コロナ禍で吹奏楽が満足にできない時期。そのときに誘われて参加したのがBLOOMでした。  ブラスバンドという未知の領域。それでも、運営の皆さんや周りの奏者の方たちがあたたかく接してくれて、前

          Interlude

          今日思ったこと

          寒すぎ

          今日思ったこと

          ぼくらが旅に出る理由

          プロローグ 3月10日の午前11時、博多駅に集まったメンバーは8人。飛行機、車、新幹線、バラバラの交通手段で集まるのがなんとも自分達らしい。そんなことを思いながら、同期との久々の再開に心躍らせていました。  去年1月に12人で紀伊半島を旅行してから早14ヶ月。個々人を取り巻く環境も人間関係も大きく変わったけど、それでも大半のメンバーがこうして再び集まったのは不思議でもあるし、どこか必然な気もします。いつもみたいにはしゃぐ自分たちの姿に少し懐かしさを覚えながら、博多の高層

          ぼくらが旅に出る理由

          4,750

           その日、私は珍しく大画面のテレビを見ていた。  たまたま小学校の帰りに友達の家にそのまま遊びに行ったときのこと。その子の家はかなり裕福で、毛並みの揃ったスタイルのいい猫、木目のきれいなダイニングテーブル、そしてリビングに鎮座する信じられないくらい大きな液晶テレビ。  訪れたのは2回目だけど、相変わらず内装の豪華さに圧倒されながら点けたテレビ画面に、私は一瞬で目を離せなくなった。  ありえない文字量を表示する字幕スーパー。そして、茶色い塊に呑み込まれていく仙台空港。

          線路は続くよどこまでも

           聞き馴染みのある童謡のメロディで始まる接近放送のあと、轟音とともにホームに滑り込んでくるオレンジ色の電車。なんで阪神なのにジャイアンツカラー…?と、株主総会でも話題になったという疑問を思い出しながら、大阪梅田行きの特急電車に乗り込みました。  関西に来てからというもの、数えられないくらいいろんな電車に乗って来ました。近鉄、阪神、阪急、南海、京阪。地域の皆様の足となっている私鉄の数々は、どれも個性があって面白いなと毎回思ったり思わなかったり。  日本一の路線網を有する近鉄

          線路は続くよどこまでも

          To Coda

           三寒四温。いや、まだ四寒二温くらいのバランスですが、ここ最近確実に春の足音が近づいて来ました。晩冬の候、フォロワーの皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。きっと今年も数日おきに変わる空模様に一喜一憂しながら、大量に飛散する花粉の中を溺れるように過ごされていることでしょう。  そして皆さんと同じ愚かな人間である私も、洗濯物が乾いたり乾かなかったりする日々に情緒を乱されながら、来たる春からの新生活に怯えて過ごしているわけです。  1月の中旬、卒業論文といくつかの演

          和泉宏隆氏の曲をひたすらおすすめする

           「TAKARAJIMA」「OMENS OF LOVE」でおなじみのピアニスト、和泉宏隆氏。フュージョンバンドT-SQUAREに在籍していたことで知られ、数々のインストゥルメンタルの名曲をこの世に送り出してきました。  残念ながら2021年に帰らぬ人となってしまいましたが、今もその作品はT-SQUAREをはじめとする多くのアーティストによって日本全国で演奏されています。今回はそんな和泉さんの作品の中から、世間にはあんまり知られていないけど個人的におすすめしたい作品を紹介して

          和泉宏隆氏の曲をひたすらおすすめする

          卒論感想戦

           画面の前の皆さん、こんにちは。人生の勝者です。なんでこんなありえないくらいビッグマウスなのかと言うと、先日卒業論文を大学に提出し、発表会(口頭試問)を終えてきたからです。そりゃマウスもビッグになりますよね。  というわけで、今回は卒業論文についてのここまでの振り返りを皆さんと共有したいと思います。 流れ キツすぎる前置きから一転、ここからは真面目(当社比)にお送りします。まずは卒論執筆の大まかなスケジュールを振り返ろうと思います。 4月〜5月 卒論テーマ決め 6月〜7

          卒論感想戦

          2024.1.17

           先日、神戸・三宮の東遊園地で行われた「阪神淡路大震災1.17のつどい」に参加したので、その時の話をまとめます。 午前2時 静まり返った深夜の大阪・柏原、この日の最低気温は1℃。きっと夜明け前の神戸も同じくらい寒いだろうと思い、できる限りの防寒をして静かに自宅を出発しました。  もちろん電車などあるはずもなく、後輩が最寄り駅までレンタカーで迎えに来てくれました。彼が今回の同伴者です。一緒に来てくれたことに今も心の底から感謝しています。  柏原を出発すると、極端に車通りの

          2024.1.17