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#309「ビジネス頭の体操」 今週前半のケーススタディ(5月20日〜21日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


5月20日(木) 東京港より○○○港の方が大きい!?

1941年(昭和16年)のこの日、芝浦埠頭・竹芝埠頭が完成し、東京港が国際貿易港として開港の指定を受けた。これを記念して東京都が制定した「東京港開港記念日」です。

東京港。
歴史は古く、と言いたいところですが、ご案内の通り、国際貿易港としては横浜が幕末に開港しましたが、東京港は実現せず。
大正12年の関東大震災を契機に埠頭の建設が実施され大正14年に日の出、芝浦、竹芝の埠頭が相次いで完成し、昭和16年に開港が実現したものの、太平洋戦争に突入、その機能はほぼ停止し、ようやく、昭和42年に日本で初めてのフルコンテナ船が品川埠頭に入港したところから東京港の本格的な歴史が始まりました。


東京都港湾局「東京港の港湾統計」によると、2010年から2019年までのコンテナ取扱個数は501万TEU、外貿のみでは451万TEUとなっています(下表)。

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なお、TEUというのは、コンテナを数える単位で、20フィートコンテナ1つを1TEUと言うそうです。

2020年は速報値ですが、5.2%減少して475万TEU、外貿に限ると5.6%減の426万TEUとなっています。

もう少し期間の長いデータはこちら(出典:デイリーカーゴ東京港特集号)。

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なお、東京港の輸出入ともに相手国のTOP3は同じです。中国、アメリカ、までは予想つきますが、3位はベトナムです(下表:東京都港湾局)。

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品目別では、輸入は「衣類・身廻品・はきもの」が1位でなるほど、と思いますが、輸出の1位は「再利用資材」となっています。「金属くず」も5位に入っていますので、リサイクルの輪がグローバルに広がっていることが伺えます。しかも、両者とも全体が減っている中で前年比プラスになっています。

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こうした東京港、世界の中ではどれくらいの規模なのでしょうか?

国土交通省の港湾関係統計データに世界のコンテナ取扱個数ランキングがありましたのでご紹介します(下表)。

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1980年には4位に神戸、13位に横浜、18位に東京が入っていましたが、2019年には東京、横浜、川崎の合計(京浜)でやっと20位相当、になっています…


最後にコンテナでは東京港が1位でしたが、コンテナ以外も含む貨物量(トン)でのランキング(上位20位まで)もご紹介します。取扱量日本一は名古屋になっています(出典:国土交通省港湾関係データ)。

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→2019年にはコンテナ取扱TOP10のうち7つが中国。他にも1980年と比べると異なる国の港がある。各国はどのような方法でコンテナの取り扱いを増やしたのだろうか?


5月21日(金) 小学校は30年間で○○○○校減った!?

1869(明治2)年のこの日、京都市に日本最初の近代小学校「上京第二十七番組小学校」と「下京第十四番組小学校」が開校した「小学校開校の日」です。

この小学校は住民からの多くの寄付や献金で作られたもので、国が「学制」を定める3年も前のことです。学制とは、日本最初の近代学校制度に関する基本法令のことで義務教育の始まりになったものです。


小学校。
お世話になったのはもうかなり前で、記憶もあまりないです…

少子化でだいぶ減っているのでしょうか?

文部科学省の「小中高等学校の統廃合の現状と課題」によると、公立小学校の数と児童数の推移は以下の通りです。

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<小学校の数>
☑️ 平成元年度 24,608校
☑️ 平成11年度 23,944校
☑️ 平成22年度 21,713校
☑️ 平成30年度 19,591校
と、30年間で2割、数では5千校(!)も減少しています。

<児童数>
☑️ 平成元年度 946万人
☑️ 平成11年度 738万人
☑️ 平成22年度 686万人
☑️ 平成30年度 631万人
と、こちらは33%(!)も減少しています。

少子化恐るべし。

ただ、生徒数の減少ほど学校数は減っていません。これはご想像の通り、あまりなくしてしまうと、通えなくなる児童が出てくることとの兼ね合いです。

ちなみに、私立小学校の数はそもそも少ないですが、数としては微増です(下表:日本私学教育研究所)。

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先生の人数はどうでしょうか。文部科学省統計要覧(令和2年版)によると、以下の通りです。先ほどと年度が合わないところがあるのですがご容赦ください。

<教員数(公立)>
☑️ 平成2年 43.9万人
☑️ 平成12年 40.2万人
☑️ 平成22年 41.3万人
☑️ 平成30年 41.3万人
と、6%ほどの減少です。先ほどに比べるとほとんど減っていません。
これは1学級当たりの生徒数が減っている、ということです。

それにしても…

さらに、2020年12月には、40人だった上限を35人以下にすると発表されています。


これから先の話は書こうかどうしようか悩んだのですが、私が書こうか書かまいが事実は変わらないので。

文部科学省の「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」から、小学校の現状を見ていきます。

まず、「いじめ」の認知件数です。

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小学校が大きく増えていることが分かります。
これは、平成27年に文科省から各学校へ「いじめを認知していない学校は真にいじめを根絶できている場合もあるだろうが、解消に向けた対策が何らとられることなく放置されたいじめが多数潜在する場合もあると懸念している」という通知が出されたことが大きいようです。実際その時期から急激に増えています。

学年別に見たものがこちらです。

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驚いたのが小学校2年生がピークだ、ということです。そのまま捉えるか、高学年になると巧妙化して認知が減るのか、分かりませんが。

次に、「暴力行為」です。

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こちらも、小学校が増加していることがわかります。
一体何が起こっているのでしょうか…

学年別がこちら。

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こちらは中1がピークになっていますが、小学生は学年が上がるにつれて増えています。

最後に「不登校」です。
こちらは小学生は少ないものの近年増加傾向です。

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暗い話で終わってしまうのもなんですが、状況が分かっていませんので適当なことは言えませんが、こうした状況が、少人数学級で少しでも解消に向かうことを願います。


→地方によっては学校を統廃合した結果、学校が遠くなりスクールバスなどの支援を行っているケースがある。何か良い方法は考えられないだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

「東京港」。世界の中での位置付けがここまで低いとは驚きでした。

「小学校」。いろいろと難しい問題があるようですが、その数の減少にも驚きました。


皆様の「頭の体操」ネタが1つでもあれば幸いです。


昨年の7月からこのような投稿をしています。以下のマガジンにまとめていますのでよろしければご覧ください。


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