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#167 「なりたい上司」より「変化自在の上司」が理想。

先日、「オーセンティック・リーダーシップ」について投稿しました。

ザ中間管理職なので、これ以外にも上司について何度か投稿しましたが、年末に思ったことをメモ。


1、そもそも「正しい上司」なんてない

リーダーシップ理論の変遷は以下の通り。

1940年代まで 特性理論
→生まれ持った資質がある
(そういう人をリーダーにすべき)

1940年代〜 行動理論
→意識して適切な行動を取ることでリーダーになれる
(リーダーに相応しい行動がある)

1960年代〜 条件適合理論
→組織の置かれた状況によって取るべきリーダー行動は異なる
(万能、普遍的なリーダー行動は存在しない)

1990年代〜 変革型リーダーシップ理論
→社員の能力を引き出し組織学習を促進することで変革を永続的に起こす
(指示から引き出すへ)

1990年代〜 サーバント・リーダーシップ
→リーダーは部下に奉仕し、支援することで導く
(指示から奉仕へ)

2000年代〜 オーセンティック・リーダーシップ
→自分が大事にする価値観や考え方によって部下を導く
(あるべき論から自分らしく「本音」へ)

最後の3つは現在まで続く流れになります。

こうして見てみると、

☑️ リーダーに期待される役割が大きくなっていること
☑️ リーダーは解を持っているのではなくそれを引き出すこと

という大きな流れがあることが分かります。

さらに、前提として「上司が正しい」ということは否定されているのです。

同様に、「正しい上司像」の存在も否定されていることが分かります。


2、求められているのは「結果を出す上司」

当たり前ですが、上司の役割は「結果を出すこと」です。

結局、どんな組織にも、どんな場合にも適合するようなリーダーの行動というのはなく、組織の目的や環境、そしてメンバーに合わせて柔軟にリーダーシップを変化させることができる、「変化自在な上司」が求められているように思います。

評価の高かった管理職が、期待されて異動したら、「あれ?」ということはよくあることです。一方で、何度か異動しても結果を出す人もいます。

これは、「成功要因」を
「行動レベル」(こういうリーダーの行動でうまくいった)で認識しているか、
「力学レベル」(こういう組織、環境、メンバー構成だからここに対してこうしたらうまくいった)で認識しているか、
の違いだと思います。

管理職に限らず、どこでも結果を出す人は「力学レベル」で要因を理解しているのです。


3、まとめ

確かに、オーセンティック・リーダーシップ、分かります。

でも、「自分らしく」という部分が強調されていますが、元々はエンロン事件など企業の不正が相次いだ時代背景もあって登場した理論であり、管理しきれない経営層のニーズがあって中間管理職層に「倫理観」という視点を求めて早めに不正を検知、エスカレーションしてくれ、という面もあったことを忘れてはいけません。

優れた上司というのは、「道具箱」あるいは「引き出し」を沢山持っているひとで、その状況にふさわしいリーダーシップをとれる人のことでしょう。

つまり、「なりたい上司」像という一つの姿を追い求めるのはあまり意味のないことで、「変化自在の上司」となるための、「道具箱」や「引き出し」の中身を充実させる方がよほど役に立つ、ということでしょう。

これは同時に、現在、あるいは過去に上司として成功体験が強い人ほどそれをリセットする必要がある点で難しくなる、ということも認識が必要です。

年末年始で「新たに学ぼう!」というタイミングではありますが、その前に、今年を振り返って、「凝り固まった考え」や「着いてしまった成功体験」をもみほぐして洗い流す、というのにみ良いタイミング、ではないでしょうか。


最後までお読みいただきありがとうございました。

何か参考になるところがあれば嬉しいです。

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