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俳句 まとめ記事 一覧

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俳句作品のまとめ記事を集めています
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#一行詩

現代俳句 作品集 10 〜春を待つ〜

現代俳句 作品集 10 〜春を待つ〜


「 春を待つ 」
~現代俳句集〜

野のはてのけはい見つめて冬の鹿

飛立ってまた飛んでくる寒すずめ

早梅よ二階のまどのきょうあした

そしていまつむじ風吹く風邪の町

無心というこころ花咲く冬すみれ

たんものをひろげたように川よ雪

すなはまの松くろぐろとふゆの霧

マンションのいっ戸いっ戸が春隣

あしあとはバス停で消えけさの雪

発つ鳥よ日がさしこんで狩りの山



枝さきをぽたりぽ

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現代語俳句への旅 47 〜春山河〜

現代語俳句への旅 47 〜春山河〜


「 春山河 」
~現代俳句集~

その奥に池咲くさくら散るさくら

ひこう機を遠景にして野にあそぶ

大宇宙ちいさく見ればたんぽぽよ

さんがつよ橋あるくおと川のおと

まっしろな蝶にも影のしずかさよ

手品師がハト出すように春めくか

雛まつりあるくはやさで川ながれ

さいげつに押し黙るのも雛の日か

この町よ春そのままにコーヒー店

呼びかけるイヤホンマイク春の空

北を見ればどこまでも北鳥

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現代語俳句への旅 29 ~そだった家~

現代語俳句への旅 29 ~そだった家~


「そだった家」
~現代語俳句集~

千ねんよ泣いてわらってはるの月

地球から借りたからだで野に遊ぶ

そのはてにわらいがでたか卒業生

たんぽぽとともに時代を吹く人よ

雲雀野よつなぐ右手とひだり手と

書きものよいずれはしまう春炬燵

ねこの子と鏡のなかのねこの子と

遍路杖日々はやいことはやいこと

ときをこえ生きている人はるの墓

雨おとよはるの地球の子もりうた



蝶として羽ばたい

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現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜

現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜


「オカリナ」
~現代語俳句集~

深空からひかりひとすじはるの滝

じんるいのゆめの初めの畑打ちよ

祈るとはこういうことかぼたん雪

コーヒーのかおり千年おぼろの夜

春あかつき逢瀬は夢でげんじつで

われわれもたいようの塔春めくよ

大ホールピアノひとつが春のおと

指揮棒もはずむオーケストラよ春

ふるさとを深呼吸してうららかよ

また一人またひとり消え春の風邪

いちにちの沈黙エープリル

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現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~

現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~


「 はじめての風 」
~現代語俳句集~

立ちあがるひと湯柱かはるの風呂

春の雨流行りやまいをしずめるか

傘にあめ春のにおいのゆたかさよ

男らがあおぐお日さま野にあそぶ

春星よかなしいものはじんるい史

はるぞらのしたがふる里そして墓

原子力はつでん所ごとかげろうか

今日までのさいげつのおと草笛よ

顔上げていのちかんじている春よ

草の芽よ大地はおまえたちのもの

植えた木もおおき

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現代語俳句への旅 26 ~地球ごと〜

現代語俳句への旅 26 ~地球ごと〜


「 地球ごと 」
~現代語俳句集~

何もかもあたらしい朝うぐいすよ

日だまりに木のたましいか梅の花

この家にもあるものがたり飾り雛

飾り雛流行りやまいもなんのその

わらうときみないちぞくよ雛の宴

酒酌んで過去もみらいも春のゆめ

ひなの宴かたらうによい月が出て

耕人よおおむかしからそらのした

豊じょうのゆめひとにぎり春の土

耕人にかわりつづける世のなかよ



いなかから来た

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現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~

現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~


「 春あかつき 」
~現代語俳句集~

むこうに富士むこうに筑波草の餅

はるのあめ大阪に来てみたものの

一つ一つちいさな地球木の芽吹く

昔とはまぶしむものよねこやなぎ

きたぐによ木の芽はひとつずつ光

そらんじて一句のなかのはるの旅

ロケットが飛びたった空まさに春

居ながらにはるかな隠岐よ春夕焼

はるの月絵本にゆめがあるかぎり



のぼるまで富士ははるかか春夕焼

たからづか歌

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現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~

現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~


「 春の足おと」
~現代語俳句集~

ひとすじのひこうきぐもよ大枯野

大うちゅうの小さな家の日脚伸ぶ

ボイジャーは今どのあたり冬銀河

ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ

世の中にすこしおくれて焼き芋屋

飛行機がとんでいったぞ焼き芋屋

あるくたびとおざかるのが一月よ

とおい島寒ゆうやけとともに消え

家じゅうのこともろともに寄鍋よ

プロキオンカペラシリウス庭焚火



霜ばしらはるば

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現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜

現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜


「 白鳥座 」
~現代語俳句集~

しんねんをおおきくひらく朝刊よ

かがみ餅さかのぼること神代まで

初富士と一つになったこころこそ

初みくじ大ひだまりのなかにいま

つながっているのはこころ初電話

パスポートひとりのこらず初空へ

しずかさのはてのしずけさ三が日

去年今年へだてて暖簾いちまいよ

たき火して変らないもの変るもの

ホットティー戦争へいわそして今



ロボットがひょこ

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現代語俳句への旅 20 ~こころは天に~

現代語俳句への旅 20 ~こころは天に~


「こころは天に」
~現代語俳句集~

あじさいが咲けばさくほど鎌倉よ

ひろい空秋になったということか

一人とは聖なることかクリスマス

いのる手はちいさな平和聖夜の鐘

おこってはほろびゆく国聖夜の鐘

クリスマスツリーは光こころせよ

人びとにときどき花屋クリスマス

談笑のいっぽんみちを柚子湯まで

旅で来て綺麗なことよこの世の雪

愚痴もでて熱燗にするころあいよ

一つたべてまるごとあ

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現代語俳句への旅 19

現代語俳句への旅 19


「大日向ぼこ」
~現代語俳句集~

ちんもくが初雪になるふるさとよ

コンビニの一灯ふゆにまむかうか

人びとはとどまりもせず行く年よ

さいげつをみおくることが落葉焚

賀状書くおもいは遠嶺こえてこそ

おでん酒自分が見えてくることよ

一家してわらったはての古ごよみ

忘年会なんだかんだで生きてこそ

駄菓子屋がふっとなくなる年末よ

どっしりとなるようになる年末よ

おおいなる安心のなかと

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現代語俳句への旅 18

現代語俳句への旅 18


「 降る雪 」
~現代語俳句集~

あるものはストーブひとつ始発駅

ゆめかたれそれからさきは雪の道

ふるさとがおおきくひとつ冬月よ

十二月とおくあゆんできたことよ

焼き芋屋この世のひとはすべて客

雪の空じんせいとおくとおくまで

雪だるまことしも庭によみがえれ

目つむってこたつは心羽ばたかす

餅つきは日本のこころこめてこそ

母たちのさいふにも鈴クリスマス



凍てながら白いし

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現代語俳句への旅 17

現代語俳句への旅 17


「たどりつく海」
~現代語俳句集~

果てのないそらがあるだけ立冬よ

ぼうぜんとふる里に立つすすき原

生きてゆく音たてながら落葉踏む

ほかはみな風にきえたかのこる虫

もより駅すこしはなれて熱燗酌む

湯どうふのむこうにゆれる歳月よ

湯ざめして星がかがやきだす故郷

しろえらぶおとこは詩人冬の薔薇

あかえらぶおとこは画人冬の薔薇

平和とは燃えやすいもの聖樹立つ

焼き鳥屋笑いそのもの

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現代語俳句への旅 16

現代語俳句への旅 16


「 小春 」
~現代語俳句集~

さいげつがきこえる銀杏ふぶく中

湯からでてだれも道後の秋のかぜ

たい焼きとかわりつづける日本と

ほのとあるポストひとつの立冬よ

春夏秋冬あるきつづけて海のおと

手のひらにすくえばしずか冬の海

寒夕焼この世のはてはいましずか

一日をまっしろにしてしぐれるか

かたらいに行くさきざきの置炬燵

雪降ると酒はこんなに美味しいか



行くひとの手にもコ

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