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連載小説・海のなか

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とある夏の日、少女は海の底にて美しい少年と出会う。愛と執着の境目を描く群像劇。
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#連載

小説・海のなか まとめ5

小説・海のなか まとめ5

どうも。クロミミです。

最近仕事のキツさが尋常じゃなくてほぼほぼ休日はお布団と合体してます。なんだろう、直立二足歩行するのがもう疲れるねん。

最近の嬉しかったことなんか、お昼のおにぎりにとろろ昆布混ぜたらめちゃうま、ということを発見したことくらいだもんな。(マジでうまいよ。クロミミは万年金欠つき、滅多に買い食いしません)

で、仕事きついから小説描けないかと思いきやそうでもなかったりする。むし

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小説・「海のなか」(25)

小説・「海のなか」(25)

 付き合い始めたからといって、ほとんど変化はなかった。変わったことといえば、必ず待ち合わせて帰るようになったこと。それから時々手を繋ぐようになったこと。それだけだ。付き合っていると見せかけるために必要なことだった。
 行為に意味などない。そう言い聞かせていても、心が揺れてしまう時が殊更辛かった。愛花との関係が偽りだと痛感してしまって。
 時折愛花の何かもの言いたげな視線を感じたが、無視し続けた。曖

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小説・「海のなか」(24)

小説・「海のなか」(24)

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もう秋になり始めた頃のことだった。秋といってもまだまだ残暑は厳しい。言い訳のように頭上では鱗雲が透き通り、もう秋だと主張していた。
 放課後を俺はまた愛花と過ごしていた。この頃は帰りが一緒になると、アイスを交互に奢るのが習慣になっていた。涼しい店内に人は少ない。昔からある有名な店だが、テイクアウトして外で食べるのが主流なせいかもしれない。奥の席を選べば、話を聞かれる心配もない。俺たちに

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小説・「海のなか」(21)

小説・「海のなか」(21)

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 座っているのにそれより深く、落ちて行くような感覚だった。わたしを支えるものが消えてしまった。
 図書室はいつも静かだ。わたしの知る人は、誰も来ない。だからここにいる。いつだってそうだった。わたしの中では人恋しさと孤独への欲求が並び立っている。誰にも必要とされていないから。窓から見下ろすと、遥か下に空虚な校庭が広がっている。その空白さえもが胸をざわつかせた。顔を上げると、微かに海の端

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小説・「海のなか」(20)

小説・「海のなか」(20)

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 図書館の入り口近くはすぐカウンターになっていて、その真ん中にひっそりと男性の司書さんが腰掛けていた。頭には白髪が入り混じり、頬も心なしか痩けている。神経質そうな生真面目そうな面持ちが印象に残った。部屋には常に司書さんのタイピング音が切れ間なく舞っていた。うるさいわけではない。それどころかいっそう静寂を際立たせている。
 彼は丸メガネの奥から来客を一瞥して微かに頭を動かすと、また何事も

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海のなか(19)

海のなか(19)

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 なぜ、あんなことを言ってしまったのだろう。
自分の言葉を反芻するたびに嫌気が差した。
 『夕凪、あたしが探してこようか?』
 自分でやったことのはずなのに。あんなことをしてしまった自分がわからない。あたしは夕凪を避けていたはずなのに。あの子に会いたくない、はずなのに。
 こういう時がある。勘ではまずいとわかっている。悪い予感に急かされながら、それでも選んでしまう。まるで愚かさに毒さ

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小説・海のなか(18)

小説・海のなか(18)

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 教室を出るとともに、また俺は囚われてしまった。
 あの問題。未来という問題。
 考えたくないと思えば思うほど逃れられなくなる。泥濘に足を取られ、はまり込んでゆく。もう誰のせいにもできない。逃げていた俺が悪い。空っぽな俺が。別に逃げ続けられるとたかを括っていたわけじゃない。
何も考えていなかった。ただ、それだけ。
 これからどうするのか。どうすべきか。どうなるのか。
 もし問いかけたな

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