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高岡紀美子エッセイ集♪

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ピアノ講師・高岡紀美子先生のエッセイをまとめました。クラシック音楽にまつわるエピソードが盛りだくさんです🎶
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#ピアノ講師

『平成のネズミ』『闇の仕事人』岐阜県ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

『平成のネズミ』『闇の仕事人』岐阜県ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

『平成のネズミ』

ある日、我が家に警官と泥棒がやってきた。「この家に侵入したことがある、と自白しましてねェ」と警官。かたわらには、前歯の突き出た男が小さくなって、うなだれている。「ネズミ?」。唖然とする母と私にむかって、男がペコッと頭を下げた。「…気がつかなかった」。いったい “いつ” “何” を盗られたのだろう。

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『ビスケット殺人事件』ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

『ビスケット殺人事件』ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

童話『ヘンゼルとグレーテル』。森に捨てられた兄妹は、ビスケットで造られた「お菓子の家」に迷いこむ。そこには、子どもを食う恐ろしい魔女が…。危うく食べられそうになった2人は、アベコベに魔女をパン焼きガマに押し込んでしまった。



「お菓子の家」の旧跡を発見!そんな書物が、40年前、ドイツで出版された。フランクフルト近郊の発掘現

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『歓喜の歌』岐阜県ピアノ講師・高岡紀美子🎼エッセイ作品

『歓喜の歌』岐阜県ピアノ講師・高岡紀美子🎼エッセイ作品

大晦日。テレビの前で“年越しそば”を食べながら、ベートーヴェンの『第九交響曲』に耳を傾ける。「友よ、歌おう!喜びに満ちた調べを…」。そんな華やかな歌詞で始まる第4楽章『歓喜の歌』は聴衆の心を高揚させ、鼓舞させる。

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断りもなく、壁をぶちぬいたり、窓を作ったりして、家主と大ゲンカするベートーヴェン。ところかまわず唾を吐

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まっかなお・は・な・の〜♪

まっかなお・は・な・の〜♪

1939年、シカゴのデパート宣伝のために作られた“お話”。



昔々、ルドルフという名のトナカイがいた。お鼻が赤く光っていたため、彼はいつも仲間はずれ。「やーいお鼻ピッカピカ」と、お友達にからかわれ、泣いてばかりいた。クリスマスの前夜、村にサンタさんがやってきて、ソリを引くためのトナカイを選んだ。「ダッシャー、ダンサー、

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🎶なじかは知らねど〜🎶美しい妖精ローレライの歌声に誘われたその先は…?

🎶なじかは知らねど〜🎶美しい妖精ローレライの歌声に誘われたその先は…?

『夢伝説』

先日、ドイツ・ライン河を船で下った。船内でワインを満喫していると、垂直に切り立った岩山“ローレライ”が近づいてきた。夕日を受けて赤々と燃え立つ魔の岩壁。「♬なじかは知らねと心わびて」の懐かしい旋律が船上を流れ、惹(ひ)かれるように、ふと、岩山を見上げる。…が、そこには、あの歌曲に登場する金髪の乙女の姿はなかった。残念。

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『天翔(あまかけ)る白鳥』ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

『天翔(あまかけ)る白鳥』ピアノ講師・高岡紀美子エッセイ作品

「倭(やまと)は/国のまほろば/たたなづく/青垣/山ごもれる/倭しうるわし」と、故郷に想いを馳せながら、息絶える勇者ヤマトタケル。古事記に登場するヤマトタケルは、父・景行天皇に見捨てられた悲運の皇子として描かれている。父の命令によって東征の旅に出た彼は、帰路、伊吹山の神と対決し、敗北する。故郷を目前に、力尽きる肉体。「…無念」。やがて、彼の魂は白鳥となって、天高く舞い上がり、遠い異次元の空間へ吸い

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音楽エッセイ『半年後、弟たちは…』ピアノ講師・高岡紀美子作品

音楽エッセイ『半年後、弟たちは…』ピアノ講師・高岡紀美子作品

19世紀。ドイツの作曲家メンデルスゾーンは“4歳年上”の姉ファニーと仲が良く、ピアニストである彼女にいつも音楽的助言を仰いでいた。書きかけの草稿を手渡しながら、弟は言う。「このつづきは、姉さんが作曲してください。あなたの作り出す旋律はとても美しく、気品があり、その才能は僕の誇りです」。彼の代表作である『春の歌』や『ヴェニスのゴンドラの歌』など、48曲の“無言歌”の多くが、実は、姉の作曲だったとか

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音楽エッセイ『さて、診断は?』   ピアノ講師・高岡紀美子作品

音楽エッセイ『さて、診断は?』 ピアノ講師・高岡紀美子作品

モーツァルトは「豚カツを食べて死亡?」。2001年6月、そんな珍説がアメリカの医学誌に発表されたが、発熱、発しん、手足のむくみなど、彼の病気が豚肉の寄生虫による感染症に酷似しているとのこと。 潜伏期間は約50日。モーツァルトは発病の44日前、妻への手紙に「豚カツって、なんてうまいんだ!」と書き残しており

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