マガジンのカバー画像

感想文&推し事の記録

54
観たり聴いたり読んだり/担当や推しのはなし/応援スタンス語りとか
運営しているクリエイター

#読書感想文

紅"連"の華よ、咲き誇れ / 『鬼滅の刃』

紅"連"の華よ、咲き誇れ / 『鬼滅の刃』

以下、原作最終巻までのネタバレ有:未読の方はご注意を。

その親和性に改めて感嘆。『鬼滅の刃』原作も最後まで、アニメ版オープニング曲『紅蓮華』になぞらえて観たくなる作品だった。

蓮という漢字は、花を表すくさかんむりの下に"連"。この作品には、沢山の紅の華が連なり咲いていたなと思った。

"ヒノカミ神楽/日の呼吸"
神に祈りを捧げるべく炭治郎の父が舞っていたのは、すべてのはじまりの呼吸を用いた神楽

もっとみる
快と不快、対立と共存 / 小説 『死にがいを求めて生きているの』 朝井リョウ

快と不快、対立と共存 / 小説 『死にがいを求めて生きているの』 朝井リョウ

読み、noteに書き留め、また読む。そのサイクルで結末まで走り抜けた結果、決して心地よくはない読後感が癖になっているから不思議だ。快と不快が対立し、それでいて共存している。或いは、海族と山族の様に。

朝井リョウの小説に苦手意識を持ったのは『何者』に続けて『何様』を読んだ頃と記憶している。その時も私は、誰かの薦めで両作品を読んだのだ。明確な理由は忘れてしまったのだけど、私はこうじゃない、と没入でき

もっとみる
あたたかな夜の街を往く / 小説『おやすみ、東京』 吉田篤弘

あたたかな夜の街を往く / 小説『おやすみ、東京』 吉田篤弘

タイトルに惹かれてページを捲り、最後まで読んでみることを決めたのは2人の登場人物が気になったから。映画会社の小道具担当・<調達屋>のミツキと、タクシー運転手の松井さん。

東京、午前一時。この街の人々は、自分たちが思っているよりはるかに、さまざまなところ、さまざまな場面で誰かとすれ違っている―映画会社で“調達屋”をしているミツキは、ある深夜、「果物のびわ」を午前九時までに探すよう頼まれた。今回もま

もっとみる
私の愛を隠さないで / 小説 『店長がバカすぎて』 早見和真

私の愛を隠さないで / 小説 『店長がバカすぎて』 早見和真

本屋大賞の発表前にUPしたかったのですが全然間に合わず…。9位受賞おめでとうございました💐

以下、ネタバレあります📕

あらすじ「幸せになりたいから働いているんだ」谷原京子、28歳。独身。とにかく本が好き。現在、〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員。山本猛(たける)という名前ばかり勇ましい、「非」敏腕店長の元、文芸書の担当として、次から次へとトラブルに遭いながらも、日々忙しく働いている。あこが

もっとみる
今こそ書きたい大人の読書感想文

今こそ書きたい大人の読書感想文

本を読むのが好きな子どもだった。正確にはテレビやゲームを制限されていて、親から与えられる唯一の娯楽が本だっただけの話だ(漫画はある程度OKだった)。どんな親も一度は我が子を天才だと思うらしいが、絵本でひらがなを覚え、早々と大人向けの本に手を出し漢字を覚えていたそうで、小学生の頃には年間600冊を読む本の虫に成長していた。ただしこれは全てが自らの意志だった訳ではない。「読書ノート」なる記録をつけるこ

もっとみる