斈蔵 環
小説「グレイゾーン・シンドローム」のまとめ用マガジンです。 2018年6月11日より連載開始。
お正月進行のテレビをザッピングしている中。 「きのう何食べた?」の再放送と正月特番を見ていて、あぁ、このドラマが地上波で流れている正月ってなんかいいなぁ、と思っ…
桜が散った頃 私は新緑を眺めて 毛虫に想いを馳せました 私の中に 降りてくるものと 私の中を 湧き上がるもの 私の中はいつもぐちゃぐちゃで 私の外もいつも傷付いた世界…
私がもう一人いたら 私のからだのすみずみまでを 的確にマッサージできるのにな、と思う 私がもう一人いたら 私がピアノを弾きながら 私がマイクを持って歌えるのにな、と…
食器を洗いながら、恋について考えていた。 遠距離の恋人を思うのと、空想上の恋人を思うのは、何がどう違うだろう、どこに共通項があるだろう。 最初に思いついたの…
六月、昨日から雨が降り続き、灰郷(かいきょう)にもあちらこちらに大きな水たまりができている朝。 空蝉(うつせみ)はかっぱらってきていたよれよれのビニール傘を…
みなさま、こんにちは。 この度、昔作っておいたアカウントを使い、小説を連載してみようと思い立ちました。 今の世の中、いろんなアプリやサービスで、いろんな夢が…
焼け野原に佇む二人 お墓の前で項垂れる一人 いつまでたっても癒えぬ身体は 時間が解決するはずもなく せめて化膿は免れ 訳も知らず 教えられず 見つけられず 立ち止まっ…
非日常が集合体になって 言葉がぽろぽろとこぼれていく 今朝の透き通った空気の中 降り止んだ雪が道に残り 畑には霜柱が立ち 窓の向こうに富士をのぞんだ 今夜は一年ぶりに…
季節外れの桜が散った そんな予感は少ししていた 新しく泣き出した子どもは いつの間にか 目に涙をためたまま桜の木をじっと見ていた 終わるのを待つ 終わるのを待つ な…
日付が変わる少し前に 人の多い電車に乗る みんな向かう方角は同じなのに 向かう先で待っている人は違うんだろう 疲れた顔をしている人の多さの中 私だけは 「これからあな…
斈蔵 環 まなくら・かん と読みます。 好きなもの:食べること、寝ること、散歩。 読書、映画、美術館、ピアノを弾く、風呂で歌う。 noteは連載小説メインで更新。他…
2020年1月2日 21:32
お正月進行のテレビをザッピングしている中。「きのう何食べた?」の再放送と正月特番を見ていて、あぁ、このドラマが地上波で流れている正月ってなんかいいなぁ、と思った。なんかいいなぁ、を言葉にするのが物書きのしごとなのかもしれないと思って筆をとる。「ノンケもゲイも悩んでることは一緒じゃないか」、というようなことを、主人公のシロさんが言っていたのが印象的だった。結婚しろだとか、子どもを作れだとか
2019年6月28日 23:24
桜が散った頃私は新緑を眺めて毛虫に想いを馳せました私の中に降りてくるものと私の中を湧き上がるもの私の中はいつもぐちゃぐちゃで私の外もいつも傷付いた世界だった桜の樹に触れて微生物が私の掌を侵食した頃私の心の一部分も死んでいった涙にもならずただぼとぼとと泥のように積もっていった私の心を誰も掬わずかみさまがまた一人死んだのだとさようならを繰り返す私がまた少し欠
2019年6月6日 13:19
私がもう一人いたら私のからだのすみずみまでを的確にマッサージできるのにな、と思う私がもう一人いたら私がピアノを弾きながら私がマイクを持って歌えるのにな、と思う私がもう一人いたら私がお散歩しているあいだ家事も済ませられるのにな、と思う私は私の片割れを探そうとか、作ろうとか、昔はそう思ったけれど、だいぶ前に諦めてしまった自分が半分のままだと不完全な気がしてならなかった
2019年2月3日 16:09
食器を洗いながら、恋について考えていた。 遠距離の恋人を思うのと、空想上の恋人を思うのは、何がどう違うだろう、どこに共通項があるだろう。 最初に思いついたのは、「空想上の恋人とは電話はできないな」、だった。ひとりでご飯を食べているとき、今目の前にいない人のことを考えることはできるかもしれない。「あの人は今何をしてるだろう」「晩ご飯は何を食べるのかな、ちゃんと寝られてるかな」とか。自分の思考の
2018年6月11日 17:42
六月、昨日から雨が降り続き、灰郷(かいきょう)にもあちらこちらに大きな水たまりができている朝。 空蝉(うつせみ)はかっぱらってきていたよれよれのビニール傘を差し、いつものように顔なじみの地区を散歩していた。 空蝉はこの地区の千代(ちよ)ばあの家――家と言っても打ちっぱなしのコンクリートで囲まれただけの空間で、家具と呼べるものはすべて捨てられていた廃棄品を集めてきたものだった――に住んでいる
2018年5月18日 17:18
みなさま、こんにちは。 この度、昔作っておいたアカウントを使い、小説を連載してみようと思い立ちました。 今の世の中、いろんなアプリやサービスで、いろんな夢が叶いやすくなりましたね。 私が幼い頃は、小説を連載しようと思ったら既成の雑誌に投稿したり、今のものと比べれば本当に簡易な同人誌を作ったり、というアイデアしか思い浮かびませんでした。 少し年齢が上がってからは、インターネットで公開するこ
2016年12月29日 00:24
焼け野原に佇む二人お墓の前で項垂れる一人いつまでたっても癒えぬ身体は時間が解決するはずもなくせめて化膿は免れ訳も知らず教えられず見つけられず立ち止まったら足を取られ身体はまだ癒えぬそれほどまでに深い傷がいっそ殺してくれたらいいのに何故かいつまでも私を生かす
2016年11月25日 18:59
非日常が集合体になって言葉がぽろぽろとこぼれていく今朝の透き通った空気の中降り止んだ雪が道に残り畑には霜柱が立ち窓の向こうに富士をのぞんだ今夜は一年ぶりにオリオンとシリウスがわたしの前にあらわれる
2016年10月21日 23:12
季節外れの桜が散ったそんな予感は少ししていた新しく泣き出した子どもは いつの間にか目に涙をためたまま桜の木をじっと見ていた終わるのを待つ 終わるのを待つなすすべはなにもないコントロールの外れた雪の上を歩いていることは大地を歩いていることにならない気がしていつの間にかもう小さな子どもではないことがなんとなく、わかった気がした
2016年10月21日 23:04
日付が変わる少し前に人の多い電車に乗るみんな向かう方角は同じなのに向かう先で待っている人は違うんだろう疲れた顔をしている人の多さの中私だけは「これからあなたのところへむかいます」ときらきらした顔で窓に映る私を見る特別なような、なんでもないような、一日がもうすぐ終わるけれどお腹が空いたので夜はもう少し長いままでいて
2016年10月18日 22:20
斈蔵 環まなくら・かん と読みます。好きなもの:食べること、寝ること、散歩。読書、映画、美術館、ピアノを弾く、風呂で歌う。noteは連載小説メインで更新。他にも詩を書いたり、随筆を書いたり。blogでは二次創作をこっそり書いています。最近のマイブーム:英語の勉強中。イギリスの発音が好きです。