夏の桜

桜が散った頃
私は新緑を眺めて
毛虫に想いを馳せました

私の中に
降りてくるものと
私の中を
湧き上がるもの

私の中はいつもぐちゃぐちゃで
私の外もいつも傷付いた世界だった

桜の樹に触れて
微生物が私の掌を侵食した頃

私の心の一部分も死んでいった
涙にもならず
ただぼとぼとと泥のように積もっていった私の心を
誰も掬わず
かみさまがまた一人死んだのだと

さようならを繰り返す
私がまた少し欠けただけだった

さようならを繰り返して
泥になった私を残して
新緑のトンネルを歩いて去った
毛虫よりかは少し早い速度
次に会うときは
誰かの一部になっていたい

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