友達(仮)
昨日の夜は前日に除毛した部位(足、尻、腕、髭)が布団に擦れて赤く荒れている状態で意識を飛ばした。僕は文書の中では好きな様に思った事を書いているが、現実は何もかもが皆んなよりも足りてない事が多い。何が足りていないかと聞かれれば直ぐには答える事は出来ないけど、なんと言うか「そういう人」なんだろうという自覚は小学校に入学した時ぐらいから薄々感じていた。皆んなと話をしていても協調性が無さ過ぎて、当時毎週金曜日の夜8時ぐらいからBSかアニマックスで再放送されていた「アメリカ横断ウルトラクイズ」について皆んなは見た事も聞いた事も無いので1mmも概要が分からないのに永遠にウルトラクイズの面白さを語っていた。他にも昔の事件の特集をしているテレビ番組とかが大好きだったので「ダッカのハイジャックの時は本当に日本が赤軍に潰されると思ったよな」とか平気で同級生に言うから、最初は仲良くしていた友達(仮)みたいな奴が皆この1年間、2年間、もしかしたら卒業する迄友達で居るだろう友達(正式)に5月のゴールデンウィーク終わりぐらいから出会い始め、最初の1ヶ月だけの繋ぎの僕の様な友達(仮)の奴らは、ゴールデンウィーク明けの楽しみにしていた学校生活をいきなり孤立状態でスタートさせられて、今まで普通に行っていた授業中のグループワークの何気ない会話、2時間目と3時間目の間にある15分ぐらいの休み時間の会話、給食の時の会話、給食終わりの30分ぐらいの遊び、放課後の学校の校門から出るまでの会話、これら全てがいきなり無くなり、一気に学校生活が嫌いになってしまったのだ。保育園の頃は漢字の授業とか1桁+1桁、1桁-1桁、歌の時間などの基本的な授業みたいな事はあったが、殆どは積み木をして遊んだり、外に出て鬼ごっこをして遊んだり、砂場で落とし穴を作って先生を落としたり、ジャングルジムの中に入り、裏に置いてあった段ボールで周りを囲んで自分だけの空間を作って遊んだりなど、遊ぶ事がメインだったので余り人間関係について悩んだ事は無かったが、小学生になると一気に人間としての行動を要求されるので本当に苦しくて苦しくて堪らなかった。そんな中6月ぐらいになると僕の様な友達(仮)で生き延びてきたが、直ぐ捨てられた奴らが教室の隅に集まってくるので、僕はそこの中にいたO君、S君、T君に声を掛けて友達になった。この時はまだお互いが友達(仮)の状態という感覚で接していたが、数日という短い期間で「こいつらは友達(正式)の奴らだ。」という事をお互いに確信した。皆んな俺みたいによく分からない話ばかりしていて、皆んなで話している様で傍から見たらそれぞれが1人で話している様に見える程、皆自分自分で動く小学1年生でも可愛く見えない「自己中人間」達だったからだ。(後にT君とはハイスクール漫才という大会に出場します。動画審査落ちやけど。)
そこからは毎日毎日登校する時、学校内にいる時、下校を含む放課後の時、全ての外出時は必ずこの4人で共に過ごしていた。週一ペースで誰かの家に泊まりに行ったり、初めて4人全員が好んだ「妖怪ウォッチ」というコンテンツを死ぬ程やったり、色んな事にお金を使い過ぎて自作のカードゲームで遊んだり、地元の道路でマリカーみたいにレースをしたり(その時に転んで現在も残っている傷を付けました)嫌とかヤダとかダルいとか一回も言わずに毎日過ごしていた。本当に楽しかった。そんな思い出があった中でこの前昼寝をした後に「当時通っていた通学路に久しぶりに行ってみよう!」といきなり思って自転車で直ぐの歩道橋のある交差点に到着した。時刻は午後5時。少し暖かみを感じる道路に、当時と何も変わっていない錆びた歩道橋。近くには僕の嫌いなラーメン屋。その向かいには僕の好きなファミレス。完全にあの頃を思い出して、昔通っていた小学校を眺めながらボォーとしていた。そしたら向かいの歩道から自転車でやって来るあの時毎日遊んでた4人の中に1人、O君を偶然目撃した。僕は「丁度良い時に来た!O君!」と完全にO君に聞こえるぐらいの大きな声でO君に言った。そしたらO君は一度だけこちらチラッと見たが、それ以降は見る事も無く、返事も無かった。僕は薄々察しながらも同じく「O君!」と大きな声でまた叫んだ。その瞬間目の前にあった横断歩道の信号が赤から青に変わった。そしてO君が先程よりも長めに僕を見ながら何も言わずに昔と変わらない通学路を走って行った。
彼は僕と違って頑張っていた。
彼は僕と違って何からも逃げていなかった。
彼は僕と違って人生を自分の足で進めていた。
彼は僕と違って、涙なんか流さなかった。