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林業

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「人は林業には興味ないけど、めずらしいことには興味を持つよ」と言われて仕事のことを書き始めました。
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林業女子とか、あほみたいな言葉

林業女子とか、あほみたいな言葉

先輩の車で思いっきり吐いた。
ほぼ急性アル中状態で記憶はおろか意識すらほとんどなくなっていた。

H&Mのベージュのトップスとユニクロの後ろに大きくスリットが入ったロングスカートは自分の吐瀉物まみれで、吐きながら苦しすぎて泣いた。

ワインのせいにするのは簡単だ。でも本当はワインのせいなんかじゃない。
調子乗っちゃって飲みすぎたというのは都合が良すぎる。現実はそんな甘くない。

飲みすぎたのは、私

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モロゾフと山の娘

モロゾフと山の娘

 あるところに美しい娘がおりました。
彼女の仕事は山に木を植えることです。
彼女は仕事のために故郷を離れましたが、ちっとも寂しくなんかありません。
彼女の親友、ハリネズミのモロゾフと一緒だからです。

 山の仕事は男たちの社会です。
彼女が山に入りたいと職場を探した時、働き手を求める会社はそもそも「女性の働き手」など想定していませんでした。
女が山に入ると「トイレや着替え」などに気を使わなければな

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バレンタインにコンプレックスを考える

バレンタインにコンプレックスを考える

この街でたった一人私のことを呼び捨てにする人が死んだ。

その人は、入社当初のピチピチの私に開口一番、
「ガタイがええなぁ!」と笑いかけた。

目の前に黒焦げになったクッキーがある。
作ったのは私である。

一つつまむと、食べなくてもわかる焦げの味だった。

顔をしかめてもう一つ食べる。

おいしくはないが、不味いわけでもない、ノーマルな焦げの味。

私には製造者としての責任があるんや、ともっとも

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【林業の話をしよう】私の仕事は

【林業の話をしよう】私の仕事は

林業の現場作業員である。
山に行って働き、そして休日はプライベートで山に登る。

「いやどんだけ山好きやねん」とよく言われるが、
私は周りの人が思っているほど自分のことを山狂いだとは思わない。

私にとっては山は「好き」の一言で片付けられる存在ではない。

今回は、
山から一体何を教わったのか、私の話にお付き合いいただこう。

新卒でこの仕事を選んだのはサラリーマンしたくなかったからであって山が好

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現場2年めがおわる

現場2年めがおわる

飯の食える大人になった。

奨学金の返済に月3万充てたとしても、慎ましい生活の範囲なら何不自由なく過ごせる。

この前、「現場で働いている人の意見を聞きたい」という方とお話しする機会をいただいて、

「現場仕事で、女性ならではの強みを教えてください」と言われた。

私は、腹を立てた。

腹を立てたので
「男性だから女性だからではなく、自分のできる範囲のことを精一杯やるだけです。
男女関係なく、自分

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生理の現場女子

生理の現場女子

女なのに、生理痛というものを経験したことがなかった。
生理にまつわるありとあらゆる大変なことも、この身に降りかかったことが一度もなかった。

私は、驕っていた。
いやー、女の勝ち組だと思ったね。
だって股から若干血が出てくるだけで痛くも痒くもないんだぜ? 
ちょっと眠いな〜くらいなんだぜ? 
ちょっと腰に違和感があるな〜だぜ??

勝ち組期間は24年で終わりを告げた。

私の数少ない生まれ持ったポ

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【林業の話をしよう】私の仕事は

【林業の話をしよう】私の仕事は

林業の現場作業員をしている。

この仕事を選んだ理由はいくつかある。
スーツを着て就活するのが嫌だとか、自然や木が好きだとか、田舎暮らししたいとか、それがこの仕事を見つけるきっかけになった。

けれど今現在まで仕事を続けているのは、この仕事が好きだからだ。

好きなのだ。

私の植えた木が使い物になるくらい大きくなるのは50〜60年先だ。
私、わんちゃん死んでる。
農業とはまた違う、かなり長期スパ

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熊野古道で仕事と天職を考える

熊野古道で仕事と天職を考える

私を山の仕事に導いた人がうちに来た。

彼女は私に料理を教え、家のあらゆるところを美しくして帰っていった。

私が母に渡され、捨てるのも忍びないから部屋にほったらかしておいた紙のお守りの前にお花が飾られてるのをみた時、あ、この人好きだなと思った。

そんな彼女と熊野古道を歩いた。

私たちが今回歩いたのは発心門王子〜熊野大社まで。
平坦な道と下りばかりのなかなかイージーな道である。

身も蓋もない

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なぜ木を植えるのか

なぜ木を植えるのか

セックスしたくない話を書いた。

そしてもうかれこれ1年はノーセックスなライフを過ごしている。

わざわざ女王さましただけあり、この効果は絶大で、たしかに大きなストレスから解放された。
しかしそれで諸々問題が解決しましたかというと、そうは問屋が卸さなかった。

セックスから逃れることができたが、
自分が依然として女であることはなんら変わりないから。

毎月生理が来るたびに、このしんどさは子どもを産

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