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わたりどり通信
2024年8月29日 06:34
音楽が好き でもそんなにたくさんの音楽は知らない 詳しいジャンルはあるけど 専門的な知識はない その周辺に至るエポックは分からない 音楽の話がしたいのに そのぐらいで音楽が好きって言うなって 笑われて弾かれる 本が好き でもそんなにたくさんは読んでない 文学の分析や評価の話はしたくない どれだけ面白いか どれだけ興奮したかを伝えたいだけ
2024年8月1日 13:31
彼は人の気持ちが分からない 無意識のうちに人を傷つける そのことにすら 彼は気付いていない 彼は世界に興味がない なんのニュースも関心がない その都度の目的を果たせば もうなにもすることがない もうやりたいこともない 彼はまるでにわか雨 刹那の生き物 誰かをひととき不快にして 誰かをひととき喜ばす そして止まらずに去ってゆく 僕
2024年7月7日 13:18
どうして生まれてきたかなんて そんなこと知るもんか そんな質問で厭世家ぶって 僕を責めたりするな そんな同情で逃げる理由探して いっぱしぶるな どうして生まれてきたかなんて 人間しか考えない 捨てられた仔犬も 踏みつけられてる雑草も 在るように在るだけ そんな傲慢さはない 自己愛が強いんだろ まだ未熟なのさ どうしての答えなんかないと知っていて 誰かのせいに
2024年6月17日 18:11
今日は朝から暗く 雲の中に青空が見えた 傘を持たない時に限って 天気予報は的中し 土砂降りの雨に打たれ 火傷しそうになる 友人のくだらない話に おかしくもないのに笑って 君を抱きしめたいのに 飽きた仕草でいじわるして つまらないはずの映画を観ながら 涙を流したりしたのさ
2024年6月1日 00:42
なにしてるでもないのに 時々疲れきってしまう どうしようもないほど 女であることが しんどくなる 鬱でもない 症候群でもない 女である自分が 耐え難いほどつらいのだ 抱えてるのは スーパー帰りのエコバック 家族に必要なあれこれ 私の生活と 私の人生が 中に入っている 重いはずだ ここに 地球をひとつ持って歩いているのだ
2024年5月21日 17:30
ずいぶん遠くまで来たねと あなたが言う 時計の針の天辺を 夜間飛行が越える むらさきに染まる部屋 あなたの瞳の中の私は 窮屈そうに髪をなぞる ほどけた腕 不確かな距離 ふくろうの羽ばたき あなたは自分の影に寄り掛かり ぽかりと煙草をふかす 窓は果てしない絵画 静かなざわめ
2024年5月19日 13:00
君が明日 帰ってしまうと言うもので 僕は少しイライラしてた せっかくの月夜なのに ギターも弾かず 散歩にも行かなかったのは 君に対する つまらない八つ当たりだ 君はキッチンで ほうれん草とマッシュルームのパイを焼く 猫みたいに 小刻みな仕草で 僕が冷たくするから 君は オーブンの前から 一歩も動けない でもやがて 君から何か話
2024年5月8日 23:43
ボーイ 俯きながらとぼとぼ歩いて 君ひとりが背負うには 夕陽が大きすぎるだろう そんなに腐るな きっと味方はいる 見つけるんじゃなく作るんだ ボーイ 長い手紙を書いたよ 明日あたり届くと思う 読みたくなければ捨ててもいいけど 道に落ちてた君のタマシイ 同封しておいたから 一度シールははがしてくれ ボーイ 今は無気力に感じて