わたりどり通信

形式にこだわらずなんでも書きます。 飽き性なので短編小説が好き。  猫とジェンツーペン…

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形式にこだわらずなんでも書きます。 飽き性なので短編小説が好き。  猫とジェンツーペンギンをこよなく愛す。

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最近の記事

(詩)脱出したい

  君が時々仕掛けるゲーム   大嫌いでたまんないけど   賞品がいつも   「ご機嫌になる君」だから   参加しないわけにいかない

    • (詩)月曜日の不協和音

        今日は朝から暗く   雲の中に青空が見えた   傘を持たない時に限って   天気予報は的中し     土砂降りの雨に打たれ   火傷しそうになる   友人のくだらない話に   おかしくもないのに笑って   君を抱きしめたいのに   飽きた仕草でいじわるして     つまらないはずの映画を観ながら   涙を流したりしたのさ

      • (短編小説)昼下がりの男たち 

           6月の土曜日の昼前のことだった。  妻が突然「お腹が痛い」と訴え、ダイニングテーブルに掴まりながらしゃがみこみ、唸り声を漏らすと、しまいに蹲ってしまった。救急車は近所に迷惑掛けるから嫌だと言うので、僕の車で一番近い総合病院に連れていった。  痛みが強いので救急で診てもらった。血液検査のあとにCTも撮ったりと、検査結果が分かるまで3時間以上掛かった。痛みの原因は胆管に石が詰まっていた胆嚢炎だったのだが、全ての内臓の数値が悪かった。  肝臓も膵臓も腎臓も基準範囲内を大きく越

        • (短編小説)河童の子

          「やれやれ。コーチに頼んでなんとか練習抜けてきたよ。大事な話ってなんだい。母さんまで揃ってさ。明日から遠征だから手短に頼むよ」  周平は三ヶ月ぶりに実家に戻ってきた。父親からどうしても話したいことがあると呼び出されたのだ。温和な父親は寡黙な人で、滅多に連絡など寄越してこない。その父親から『なるべく早く帰ってきてほしい』と繰り返しメールが届けば、何事かと思う。  しかし中々戻れなかった。なぜなら周平は競泳に強化選手だからだ。ジュニア時代から世界大会で何度も優勝している期待の十九

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        • 17本
        • 短編小説
          13本
        • 20字小説
          11本
        • 書いてみりゃわかるさ
          1本
        • 恋愛小説
          4本
        • いいかげんで偽りのない僕のすべて
          4本

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