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感情文学、感覚文学の金字塔『失われた時を求めて』
「ドン・キホーテ」「戦争と平和」「西遊記」 数年前だろうか、自分が世界文学の長編作品をあまり読んでいないことに気づき、いろいろ漁ってみることにした。そんなとき頼りになるのが、岩波文庫の赤版だ。セルバンテス『ドン・キホーテ』(全6冊)、トルストイ『戦争と平和』(全8冊)、中野美代子訳『西遊記』(全10冊)に挑戦してみた。
いずれも世に違わぬ名作だから、ページを繰る手が止まない。『ドン・キホーテ』は
「空気を絞って水を滴らすほどのエネルギー」で書かれた司馬遼太郎の短編
文藝春秋から『司馬遼太郎短編全集』というシリーズが全12冊で出ている。その第一巻、二巻、四巻、六巻という4冊がなぜか部屋の本棚にあった。第一巻(2005年4月第一刷)、二巻はともかく、なぜ四巻、六巻なのか、よくわからないが、この約1カ月ですべて読破してみた。
『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『花神』『菜の花の沖』ほか、彼の長編作品はあらかた読んでいる。この年初には、最後の長編小説『韃靼疾風録』にも目
誰でもいつかはライ麦畑を出ていかなければならない
J.D.サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』、この名高い世界文学、未読だったので、目を通してみた。この手の名作には必ずある、巻末の訳者解説が、野崎孝訳の白水社のこの本にはない。そうした、いわゆるアンチョコがないので、読んだ感想を素直に綴れることができる。
インチキ野郎と俗物だらけの世間 舞台はアメリカのニューヨーク。17歳の高校生の主人公が単位を落とし、寄宿制の名門高校を退学させられてしまう。
日本を覆う『自民党という絶望』と、そこからの起死回生策
ある一つのテーマについて、複数の識者に取材した原稿や、執筆原稿を掲載する。よくある(最近ではその地位がかなり落ちている)総合雑誌の特集のつくり方だが、最近ではこの手法を新書で行うケースも多い。
雑誌のつくりで、自民党政治の宿疴に迫る新書
『自民党という絶望』(宝島社新書)もそうだ。自民党によって続く現下の長期政権、そのマイナス面を、防衛政策、旧統一教会問題、対米姿勢、右翼、経済政策、行政のデジ
おいしいミカンを求めて
最近、ミカンには当たり外れが大きいと感じている。味が甘くて、中(房)の皮が薄く、種が入っていないもの。それがおいしいミカンだ。逆に、すっぱくて、皮が厚く、種が、多い時には一つの房に2個以上入っているもの。これがおいしくないミカンだ。
最近、おいしくないミカンばかり食べている。いずれもスーパーか、青果店を名乗る個人商店で贖ったものだ。もう盛りの季節は過ぎたか、ミカンそのものを置いていない店もある(
タイトル『おどろきのウクライナ』より「おどろきの中国&ロシア」のほうがふさわしい?
タイトルに偽りあり?橋爪大三郎と大澤真幸という、日本を代表する社会学者2人による新書の対談本である。最初に感想を書くと、この内容でこのタイトルはないよ。ただし、羊頭狗肉で内容空疎、というわけではない。つまり、内容に問題があるわけではなく、その肝心のウクライナに関する記述が全体の3割くらいしかないのである。
あのロシアと戦っているウクライナとはどんな国で、どんな歴史を持ち、ゼレンスキーとはどんな人
走ることで実感していることで私の実感していること
ここ10数年だろうが、30分ほどかけて、毎日5キロ走っている。コロナ禍に突入したこの2年くらいはその頻度が増え、ほぼ日課となった。去年のペースでいうと、365日中、312日走っている。85%である。以前は夕方に走っていたが、最近は寒くなってきたので午前中に変え、朝日を浴びながら足を動かしている。これがすこぶる気持ちがいい。
ここでは、私が日々実感している走ることの効用を書いてみよう。
風邪をひか
「水を光に変えた男」福沢桃介に学ぶ不屈の闘志と人間力 その2
この1月、私が上梓したのが『水を光に変えた男 動く経営者、福沢桃介』(日本経済新聞出版)という単行本である。明治大正期に活躍し、木曽川流域に7つの水力発電所を開設、電力王と呼ばれた実業家、福沢桃介(1868~1938)の生涯を描いたビジネス小説だ。
現代のビジネスマンが桃介の生き方から何を学ぶべきか、3回にわたる連載の2回目をお届けしたい。
金は金を愛す者のところに集まる:投資および金銭哲学株価