マガジンのカバー画像

読み物「奇跡の在り方」

25
むかし書いた舞台の台本を小説風に連載中。 車椅子の少女と幼馴染みの少年に起きた奇跡。完結しました!是非読んだ方は感想聞かせてください。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事
奇跡の在り方

奇跡の在り方

プロローグ 皆さんは奇跡を信じていますか?

奇跡にも様々な形があると思います。

自らの力で起こす奇跡。

偶然が重なり合い起きた奇跡。

起こるべくして起きた奇跡。

そして、誰かが誰かの為に起こした奇跡。

誰かの為に、

このお話しはそんな純粋な気持ちが起こした奇跡です。

第一章 はじまりの朝 日差しが眩しく、清々しい朝の光に包まれている。沢山の人が行き

もっとみる
オリジナルキャスティング企画第2弾!

オリジナルキャスティング企画第2弾!

『演劇集団キャラメルボックス』IN『奇跡の在り方』!今回もやって参りました、キャスティング企画!前回なかなかに好評いただきましたので引き続き『演劇集団キャラメルボックス』の皆さんを勝手にキャスティングしてみたいと思います!活動休止から1年以上経ちますが、まだまだ人気ですね!

改めて『演劇集団キャラメルボックス』と『奇跡の在り方』をご説明いたします。

『奇跡の在り方』とは『桜の季節』と言う作品の

もっとみる
奇跡の在り方

奇跡の在り方

※小説家になろうにて連載中

https://ncode.syosetu.com/n7093gd/

※カクヨムにて連載中

前書き

こちらの作品は、桜の季節の後に書いた舞台用台本です。

今書いている記事の桜の季節よりも少し昔の、お話しになっております。

もしかしたらこちらを先に完結させた方が良いかもしれないですね。

ダブルで連載していきますので続きが探しにくいかも知れませ

もっとみる
奇跡の在り方1

奇跡の在り方1

あらすじはこちらから。

プロローグ 皆さんは奇跡を信じていますか?

奇跡にも様々な形があると思います。

自らの力で起こす奇跡。

偶然が重なり合い、起きた奇跡。

起こるべくして、起きた奇跡。

そして、誰かが誰かの為に起こした奇跡。

誰かの為に、

このお話しは、そんな純粋な気持ちが起こした奇跡です。

日差しが眩しく、清々しい朝の光に包まれている。沢山

もっとみる
奇跡の在り方2

奇跡の在り方2

前回のお話しはこちらから。

桜庭葉子は小さい時に原因不明の病気にかかり、歩くことが難しい身体になってしまった。今の医学では、治療法はおろか原因すら分からない状況である。今でも体調をよく崩すが、手の施しようがないのならば、せめて少しでも普通の生活をさせてやりたいと、父である庄之助の希望で入院はせずに車椅子で学校にも通っている。

小学校5年生までは庄之助が学校の送り迎えを行っていた。6年生

もっとみる
奇跡の在り方3

奇跡の在り方3

前回のお話しはこちらから。

庄之助の承諾を得て、正彦は葉子の部屋へと向かった。そして、部屋のドア越しに葉子に話しかけた。

「葉子ちゃん、正彦だけど何かあったの?」

「正彦君……。」

「何かあったのなら教えてよ。」

「そんなこと言えない。」

「聞かせてよ。」

「嫌なことばかりなの。」

「いったい何が?」

「全部よ、皆冷たい目で見るのよ?どうして?どうして私だけこんなめに…。正彦

もっとみる
奇跡の在り方4

奇跡の在り方4

前回のお話しはこちらから。

10年後。

小さな公園の見える病室の窓から、激しく蝉の鳴き声が聞こえている。病室のベッドには女性が横になっている、桜庭葉子だ。表情はすぐれないが、とても美しい女性へと成長していた。

コンコン

病室にノックの音が響いた。

「はい。」

ドアが開き、女性が入ってきた。

「葉子さん、ご気分はどうですか?」

彼女は山岸名津美、この病院の看護

もっとみる

奇跡の在り方5

前回のお話しはこちらから。

スレイブ、ソード両名は死神である。この世界での死神の役割は、亡くなった人や生物の魂を天界と呼ばれる場所へ導く事。

死神ソードは新米で彼にとって桜庭葉子は初めて担当する魂であった。このソードの様に新米の死神は初めて担当する人間の魂には1ヶ月前から傍につき、亡くなるまでを見届ける様に義務づけられていた。これは人間と言うものを知るため、理解するため。そして、扱って

もっとみる
奇跡の在り方6

奇跡の在り方6

前回のお話しはこちらから。

「私の姿が見えるのですか?」

「ええ、見えてるわよ?あなたはいつからそこにいたの?」

「え!?いや、あの……。」

ソードは自分の姿が葉子に見えている事に驚きを隠せない。

「ふふ、おかしな人ね。」

「あの、私は……。」

ソードは言葉に詰まった、死神と名乗るには時期が早すぎるからだ。しかし、姿を見られてしまった以上名乗らない訳にはいかない。

「私はソ

もっとみる
奇跡の在り方7

奇跡の在り方7

前回のお話しはこちらから。

ソードが去った病室は蝉の鳴き声だけが響きわたっていた、しばらくすると病室にノックの音がした。葉子の父、庄之助が見舞いにやってきた。

「入るぞ葉子、どうだ?体調は?」

「お父さん、ええ、今日は調子がいいわ。」

「そうか、それは良かった。退屈していたろう?」

「いいえ、いままでお話し相手がいたもの。」

「ほう、誰か来てくれていたのか?」

「ええ、死神さんが

もっとみる
奇跡の在り方8

奇跡の在り方8

前回のお話しはこちらから。

天界にあるビルの一室。ソードがスレイブに報告書を提出している。その報告書をみたスレイブは眉を顰めソードに問いかけた。

「そうですか、見られてしまったのですね。」

「はい、理由は分かりませんが急に姿が見えた様です。」

ソードは本当に分からないといった表情をしている。

「原因はおそらく彼女本人でしょう。」

「どういう事ですか?」

「彼女は死ぬ気なのかも

もっとみる
奇跡の在り方9

奇跡の在り方9

前回のお話しはこちらから。

先程まで無邪気な笑顔を見せていたソードだったが、急に元の無表情に戻りスレイブに問いかけた。

「先輩。」

「はい?」

「死神の役目ってなんなのでしょうか?」

「え?」

「人間がただ死ぬのを見届け、魂を連れてくる。それだけが私達の役目ですか?」

「……。魂を導く、それが私達の仕事です。」

「本当にそれだけですか?」

「……。」

「何かもっと大切な事が

もっとみる
奇跡の在り方10

奇跡の在り方10

前回の話しはこちらから。

7月8日、葉子の病室。

ソードはいつもの様に葉子の病室へと訪れた。すでに看護師の山岸が葉子の病室へ来ていた。

「それじゃ、何かあったらナースコール押してね。」

「はい。」

病室を出ようとする山岸に葉子が問いかける。

「名津美さん。」

「はい、どうかしました?」

「そこに誰かいますか?」

葉子は部屋の隅を指さした。

「そこって、部屋の隅?

もっとみる
奇跡の在り方11

奇跡の在り方11

前回のお話しはこちらから。

笑顔の葉子は話しを続けた。

「ふふ。そう言えば、死神さんはどうしてこんなにも早く私の所へ現れたの?」

「先程も言ったように、本来なら貴方は私の姿はまだ見えていないはずなのです。」

「そうだったわね、姿見えないままでも私の傍にいるの?」

「はい、今回だけは特別でして。」

「特別?」

「はい、私にとって貴方は初めて担当する人間なんです。」

「初めて?初仕

もっとみる