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《書く習慣》で編む

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《書く習慣》アプリで綴ったベタで感じたままの飾らない言葉たち。そのNote版のようなもの。
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#思い出

〝忘れないで〟~勿忘草とマーガレット

〝忘れないで〟~勿忘草とマーガレット

vergissmeinnicht ふぇあぎすまいんにひと

〝僕のことを忘れないでください〟

騎士ルドルフはそう言って、最後の力を尽くしてこの花を恋人のベルタに投げると、ドナウ川の流れに飲み込まれてしまった。
ベルタは彼のお墓にその花を添えて、彼の最後の言葉をその花に名づけた。

◆◇𓏸✧︎✼••┈┈••┈┈

私はこの水浅葱色(みずあさぎいろ)の小さな花が愛おしく思ったものだ。女性の男性に対

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《初めてのブランコと優しいひとつぶの涙》

《初めてのブランコと優しいひとつぶの涙》

おやあ?っと気づいてみれば、私って50代後半なんだなあって、自分の歳に対する感覚に虫食いの穴でもあるのかしら。

〝感覚年齢〟って言葉があるけど、私としては左胸にICD(植込み型除細動器)を植え込んだ46歳(2013年2月14日)のときから時計の歯車の回転速度が10分の1くらいにゆっくりと回っているような感覚。
実年齢ではもう10年(3652日)と2日を過ぎようとしているのに、感覚ではまだ切り上げ

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《やさしさのすれ違い、切なくて》

《やさしさのすれ違い、切なくて》

過去を振り返ってみて、改め学びを得たような気がします。これからお話すること。それは……

〝本物の優しさって云うのは、
その優しさのために、そのことで自分がどんなに痛めつけられるとしても、それを成し遂げようとする覚悟があってこそ、与えられるものなのかもしれない〟

という私の本当にあった実話になります。以下、
長い話になるので、ここで読み終えても構いません。

まだNoteの仕組みがよく分かってい

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《わたしと一緒に踊りましょう》

《わたしと一緒に踊りましょう》

ミッドナイト。真夜中……
その言葉を聞くと私は思い出すことがある。そして
それと同時に、Carpentersの『Slow Dance』を
聴きたくなる。

私が社会人になった年、1990年の夏のこと。

東京で就職はしたけれど、お盆休みは東京で過ごすことなく、6歳年下の美樹と新潟へ帰ってきた。彼女は玉女短大1年生だけれど、私と同じ新潟っ子。
彼女が短大を卒業したら一緒に新潟へ戻って結婚しようと約束

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《逆光のなかで》

《逆光のなかで》

あれは小学4年生の五月のことだったと思う。
私は小学校へ入学したときから毎週日曜日には油絵教室に通っていた。その油絵教室の課題で、その題材を探すために、家から歩いて7分くらいにある大きな白山公園へカメラを持って出掛けていたときだ。

私は公園の東側にある大きな瓢箪池の中央に架かる木の橋《ちがい橋》を渡っていた。
その橋は藤棚になっていて、ちょうどそのときは藤の花が枝垂れて満開に咲いていた。

◆◇

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《星降る鼓動》

《星降る鼓動》

娘が4歳だった頃だから2001年のことだ。
11月18日、日曜日。夕方の空は曇っていたので、
星は見えないかもしれないと諦めていた。

そしたら娘が
「大丈夫。絶対に晴れるから連れてって」
と自信満々に云う。その自信は何処からくるのか……

意外と無垢な子供の直感というのは当たったりする
ものかもしれない。そう思って、弥彦山のほうまで
クルマを走らせた。

妻は「バカらしい。明日、仕事だしムリ」と

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《ナンキンハゼの並木道で》

《ナンキンハゼの並木道で》

初めて一緒に歩いたのは、君が小学6年生だった頃の秋のことだ。当時、私は高校2年生で、夏休み前に中学校教諭をしていた母親の知人を通して「個人的に家庭教師をしてくれる人を探している」と紹介されたことがキッカケだった。最初に会ったときは、小生意気な女の子だなあって思ったものだ。

一学期の期末テストで算数の点数が34点。もともと算数だけは苦手のようで、何が分からないのかが分からないといった状態だった。

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君のことで夢を見ていたい~天国の君へ。

君のことで夢を見ていたい~天国の君へ。

雪混じりの雨の降る週末、ひとりで街に出た。
たくさんの開いた傘で賑わう交差点、歩行者天国。
そのスクランブルの一角にあるスタバの開けた大きなウィンドウに、交差点内を行き交う人達の姿と店内に座る人達が重なって映っている。まるで夢と現実のはざまの流れのように思えた。

もしもあのとき、ふたりして違う決断をしていたら……と思うと、もしかしたら今ごろは君と一緒に夢を選ぶように楽しい毎日を過ごしていたのだろ

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《三日月》

《三日月》

〝三日月に手をのばした 君に届けこの想い〟

ふとそんなフレーズがよみがえった。
泣き出しそうになる絢香の三日月という曲……

もう18年も前になるんだなあ、と思う。
2006年の秋に見た三日月がすごく印象に残っている。その曲を聴きながら見上げたせいだろうか。

さらに遠い昔の……1992年。
結婚を約束していた6歳年下の彼女が、私の母校・玉川学園大学にある女子短期大学を卒業すると同時に、まるで神

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《大空》

《大空》

書く習慣アプリ
今日のテーマ《大空》にまつわる思い出を、
飾らない想いで、浮かんだままに綴ってみた。

眩しいくらい笑っているように見える空がある。雲がひとつもなくて、それはまるで一番最初のピースをこれから嵌めていく、まっさらなパズルのような空だ。そんな真っ青な大空を見ると、ぐっと手を伸ばしてみたくなる。いや実際、伸ばしているのだけれども。

10年前の2013年2月14日に、私はブルガタ症候群と

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《ベルの音》

《ベルの音》

書く習慣アプリ
今日のテーマ《ベルの音》について
思い浮かんだ言葉のまま即興で書いてみた。

この年の瀬が迫る時期に〝ベルの音〟と言えば、大抵の人であればクリスマスと繋がるイメージを持つことだろう。

かく云う私もそのように意図を汲んだりもしたけれど。正直なところ、最初に思い浮かんだのは電話の呼び鈴……《電話ベル》のことだった。

お洒落にクリスマス・ベルのことでも書けば良いのだろうけれど、私の長

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