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【毒親連載私小説】ほどけない糸

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#HSP気質

【毒親連載小説#74】成人後も続く毒親からの呪縛⑨

【毒親連載小説#74】成人後も続く毒親からの呪縛⑨

私が海外で生活を
始めてからのこと。

当時、私は
中国で生活をしていた。

年末に帰国すると、
そして父は私にいつも
こんな見下した口調で
こう言うのだった。

「お前はなんだって
 中国みたいな国に行ったんだ」

年に一度、
帰省し久しぶりに
顔を合わせても
こんな冷水を浴びせるような
言葉しかなかった。

また両親は私に
「お年玉はないのか」と
お金をせびったり、
私を気遣う言葉はおろか、

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【毒親連載小説#73】成人後も続く毒親からの呪縛⑧

【毒親連載小説#73】成人後も続く毒親からの呪縛⑧

私はいつからか父から
「車で送ってやる」と言われると
内心、ドキッとし緊張していた。

それが繰り返されると
私は父に対してだんだんと
嫌悪感を覚えていた。

また、
父の車に乗るのが
嫌でたまらない理由は
他にもあった。

それは、
父の運転はもともと荒く、
私と一緒に車に乗っていると
いつも何かトラブルを起こす。

雪道を無理に運転して
一度は事故に巻き込まれた
こともあった。

父はタクシー

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【毒親連載小説#72】成人後も続く毒親からの呪縛⑦

【毒親連載小説#72】成人後も続く毒親からの呪縛⑦

親を拒否をすれば脅される。

受け入れれば、またずっと
両親の問題に巻き込まれ続け、
私だけが一人苦しみ続ける。

いずれにせよ
地獄には変わらなかった。

こんなにひどいことをされたのに、
こんなに散々迷惑をかけられたのに…。

それなのに、
私はNoをどうしても言えなかった。
何十年もずっとずっと言えずにいた。

それは、
父や母から認められたい、
愛されたい…。

潜在的に両親からの愛を

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【毒親連載小説#71】成人後も続く毒親からの呪縛⑥

【毒親連載小説#71】成人後も続く毒親からの呪縛⑥

そして連絡を再開すれば
母はまた、
何時間もの間、
父の愚痴や恨み言を
私に言い続けた。

初めは同性として、
父の母に対する
見えないモラハラに同情し、
バカ正直に母の話を聞いていた。

しかし、
電話を重ねるごとに
止まらない愚痴にうんざりし、
電話を切る頃には
仕事で忙しく過ごした1日よりも
その電話で
何十倍もグッタリしていた。

時に私は受話器を置いたまま、
母の話を聞かないこともあった

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【毒親連載小説#70】成人後も続く毒親からの呪縛⑤

【毒親連載小説#70】成人後も続く毒親からの呪縛⑤

両親には私という
「心のゴミ箱」が必要だった。

そして、私は私で
両親に愛してもらいたい
という潜在的欲求が
この共依存関係を
強く結びつけていた。

それはまるで、
もつれた糸のようだった。

この「もつれた糸」は
たとえ家出をして
一人暮らしをしていようが、
遠くの海外で生活をしようが
程度の差はあれど、
もつれていることに
なんら変わりはなかった。

私は命からがら家出をして
物理的な距離

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【毒親連載小説#68】成人後も続く毒親からの呪縛③

【毒親連載小説#68】成人後も続く毒親からの呪縛③

大学3年の頃、
私は家出をした。

家出したばかりの時は
幸せだったような気がした。

しかし、それは単に
長年に渡る苦痛から解放された
というだけであって
「ニセモノの幸せ」だった。

もっとも、
そのことに気づいたのは
私が家出をしてから数年後の
20代後半のことだった。

当初は、自分で
家賃や水道光熱費を払い、
自活できるようにもなり
親から物理的に離れたことで
解放され、私はもうこれで

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【毒親連載小説#66】成人後も続く毒親からの呪縛①

【毒親連載小説#66】成人後も続く毒親からの呪縛①

私は両親と
一緒に暮らしていた
あの20年余りの間、
この忌々しい
毒親の元を離れれば、
苦痛から解放されて
私は幸せになれる。

そう強く信じていた。

いや、そう信じないと、
とてもじゃないが
生命をつなぐことは
できなかっただろう。

実際に私は、
大学3年の頃に家出をし、
そこから20年以上、
両親とは物理的距離を
置いてきたはずだった。

それにも関わらず、
私はつい最近まで
両親からの

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【毒親連載小説#65】執筆3ヶ月経過の頃のわたし。

【毒親連載小説#65】執筆3ヶ月経過の頃のわたし。

この執筆を始めてから
はや3ヶ月以上が経過した。

最近はまたずっと
強い眠気に襲われる自分と
必死で戦いながら
これを書いている。

私はこの数ヶ月、
まるで何かに
取り憑かれたように
執筆している。

初めの数ヶ月で
書き上げたものを
見てくれた人物がいた。

それは私にとって
憧れの人であり
雲の上の存在でもある人。

私がもともと
彼のことを知ったのは、
中国に住んでいた時の頃だった。

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【毒親連載小説 #13】母とわたし 11

【毒親連載小説 #13】母とわたし 11

私の家庭内は両親の間で色んなことが
複雑に絡み合い過ぎていて、
その状態のまま何十年も経過している。

時間が長ければ長いほど、
この問題の根っこが果たして
どこにあるのか?

両親の絡まり過ぎた糸を
私たちが必死にほどこうと
すればするほど、
より複雑に絡まる一方で、
問題の本質はどんどんと
深い闇へと葬り去られるようだった。

私の家庭は理不尽なことばかりが
ずっとまかり通っていた。

私の家

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【毒親連載小説 #12】母とわたし⑩

【毒親連載小説 #12】母とわたし⑩

両親の夫婦喧嘩が
日常的に行われると同時に、
母の酒量もどんどんと増え、
完全にお酒に呑まれることが増えた。

ある時は母は完全に目が据わり、
取り憑かれたように激しく怒鳴り続け、
わけのわからないことをわめき続けていた。

そして、突然、
吐き気をもよおしたのか
倒れこむかのようにトイレに駆け込み、
トイレで呻きながら吐き続ける。

吐き続けているあいだ、
ずっと聞こえてくる母の不気味な呻き声。

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