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稲本稲三
2019年12月31日 01:49
あっという間に、君に傷ついた。君は僕に興味がなさそうだどこかに僕を思う姿を探してるけど、全然見つからないよ君が同じ改札をくぐらなかったのは、僕への餞別だったかな僕は電車に揺られ揺られて、その意味を想像したんだ。僕のこさえた飛行機に、君は乗車拒否をする。僕は君の人力車を動かす気にもなれなかった。君に会いたいな。君には会えないな。あの時言えなかったけど、君は僕を好きになれないだろう
2019年12月27日 18:20
「ドアが閉まります。ご注意ください」ホームから彼を見つめる彼女。彼はスマホの画面とにらめっこ。電車が進む。距離が離れる。彼女は目で追う彼の瞳。僕は右手の荷物を落とす。気づいた彼は視線を向ける。窓の外にいる彼女と目が合い、彼は咄嗟に手を振った。彼女は笑顔で右手を上げた。僕はおせっかいだったかな。
2019年12月24日 06:16
ドアが開いた、乗換案内。座席を目指して徒競走。角の席が1等賞で、座れなかったら残念賞。戦場地に向かうまでの間、各々休む戦士たち。スマホの中には愛しい顔と、甘美なメロディーが流れる。何度も何度も奮い立たせて、体にムチ打つ朝の時間。都会の駅に着いたときには、顔が逞しくなっていた。
2019年12月23日 19:36
人から離れ、人に囲まれ、人の目も見ない午後10時。今日もメトロに身を預け、密かに語りかけている。喋りすぎたかな? 無理してたかな?どれだけ語りかけてもさ、答えは出してくれないな。でも、聞いてくれてありがとう。改札抜けたら忘れるね。月も見えない空の下、今夜もぐっすり寝れそうだ。
2019年12月22日 17:47
以前君と会った時、次の駅で乗ってきた。ぼさぼさ頭を風になびかせ、私と目が合い、手を振った。別に、次の駅だけじゃない。君が通う歯医者がある駅も、好きな本屋がある駅も、ドアが開くたび、期待する。各駅停車が心を震わせ、君が幻想になっていく。窓ガラスに映った私は、すっかり惨めになっていた。次は終点・三鷹駅。
2019年12月20日 19:20
いつもは降りない通過駅。人に触れたくて降りてみる。重たい扉をこじ開けて、平気な顔して席に着く。「家、この辺なんですか?」とか聞かないで。寂しいだけで来たんだから。知らない人と飲み明かしたけど、何か足りない気がしてる。終電間際の電車に乗って、君のことを思い出す。誰にも話せなかったことを、君には聞いてほしくなる。結局同じなんだけど、今夜は君に電話しよう。
2019年12月5日 17:24
どうか、どうか。僕の答えが正解でありますように。いつか、いつか。誰かを幸せにする答えでありますように。毎日が雪みたいだ。毎日が夜みたいだ。眩しい光が見えてくる前兆のようだ。毎日頑張っていた。毎日泣き止んでいた。あなたを守るためにそこで息をひそめた。愛の切れ目には、小さな幸が起こるんでしょう?何も見えないが、ひたすら陸が続くんでしょう?かけがえのないあなたの情熱を、世界中が冷まし
2019年12月3日 14:18
「今までの中で、一番好きかもしれない。これ、本当に」親友の風間は、俺の熱弁を聞いてはくれるが、どこか疑っているようだった。「お前、惚れやすい性格だからな。いくら麻里のことが好きって言っても、所詮すぐに諦めるんだろ?」確かに風間の言う通り、俺はすぐに人を好きになる。しかも、すべて失敗してきた。「でもな、今回は少し違ってて、明日、デートすることが決まってるんだよ!」俺の自信に満ち溢れた声に、