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「ウグイス」 第1話
あらすじ
あるウグイスの物語。ウグイスの歌が上手く歌えないウグイスがいる。
なぜ歌えないのか、という問いに答えを見出すべく探求する過程で、
内的な経験と自然の中で生きていくという厳しさを描いた話。
雪が溶け、沢の水かさが増えはじめた。ある日をさかいに水の流れがキラキラとまぶしく光輝くようになった。おひさまの光が暖かくなってきたのだ。
風はやわらかくなり、まるはだかだった木々は我さきにと一
「ウグイス」第14話
その日以来、ウグイスは毎日空洞の木へ通い過ごしたけれど、あれから小さなウグイスに会うことは二度となかった。もう、忘れてしまったのかしら?それとも、またね、と言ったけれど、本当は二度と会いたくはなかったとか?
ウグイスは、色々と考えたけれど、結局何もわからないのだった。
ウグイスが小さなウグイスのことを思うと「それって本当?」と言った小さなウグイスの顔が何度も思い出された。
「それって本当?」ウグ
「ウグイス」第13話
「ほけっきょ、ほけっきょ、ほー、ほっけっ!」いつものように木の空洞で練習をしていたウグイスは、ふと、ウグイスの歌じゃないのも歌ってみようかと思いついた。どうせ誰も聞いていないんだ。なんでもいいだろう。
そう考えると、ウグイスは大きく息を吸って「ほほほけっ!ほほほけっ!きょっけー!」と鳴いた。そして、自分の自由な歌に思わず笑い転げた。
「あはは!へんなの!次はどんなかな?」そう言うと、ウグイスはそれ
「ウグイス」第11話
ウグイスは訳がわからず「すみません。わからないんです」と申し訳なさそうに言った。
「ん?決まってないの?」ウグイスの高さまで縮んだ、白くて高いものが、ウグイスの顔をのぞきこんだ。その顔は、どこかで見た、知った顔だった。さっきは顔がなかったのに…。その顔は知った顔だったのに、それが誰なのか、どこで出会ったのかをウグイスにはどうしても思い出せなかった。
「それでは、ここから下をのぞいてごらんなさい。
「ウグイス」第10話
ウグイスは、まぶしい光を感じて目を覚ました。そこは一面に広がる、まぶしい雲の上だった。なんてすばらしい開放感!ウグイスは、心もからだもこんなに軽く、何もない、空っぽの感じは初めてだった。そよそよと風が吹いた。風は、キラキラと七色に輝き、楽しそうな笑い声のようにそよいでいった。ウグイスは、首に、からだ全体に、その気持ちいい風を感じて思わず微笑んだ。
懐かしいような、くすぐったいような、変な気分だっ