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記事一覧
【四周年記念】テケリ・リ・デリバリーサービス【雛杜雪乃 / Vtuber / 短編小説】
その日、呼び出された場所は、いつもの隣室――雛杜雪乃の部屋ではなかった。
私たちの家から歩いて行けるほどの雑居ビル。彼曰く、出会って四年目のその日は少しだけ襟を正して私と話したかった……らしい。それを伝えられたのはいつも通り彼の部屋に遊びに行っているときで、相変わらず小洒落た料理を山盛りで作っている最中だったので、その真意がどれほどのモノかは分からなかった。
彼の言う通り、いくらも歩かないう
【短編】四月一日の嘘【雛杜雪乃 / Vtuber / SS】
得体の知れない化物だ、と。
思わず声に出してしまった。
あくる日の朝。時刻は午前の七時過ぎ。相も変わらず穏やかで呑気な時間が過ぎているが、早起きが苦ではない私にとって、この時間は日夜の労働が報われる貴重な時間でもある。
既に身なりは整っており、今しがた出かけ前の珈琲も飲み終わった。
あとはいつも通り艶めいた革靴に履き替えて戸締りをし、人の少ない電車へと乗り込んでいく。そのはずだった。
廊下に出て
【 #ハロウィン2023 】ユキノ、フィリア 【雛杜雪乃 / 男性Vtuber / 短編小説】
「ハッピーハロウィーン! お菓子をくれないと、イタズラしちゃいますよ?」
コンコンと、ドアを叩くノック音がする。それから間を置かずに、取り付けられたインターホンが鳴る。壁面のディスプレイは、隣人の彼が西洋の盆フェスティバルを楽しむ声を届けてくれた。
寝ぼけまぶたを擦る。いつの間に眠ってしまっていたのだろう。夕食は済ませていただろうか? 着替えは済ませているみたいだが、入浴だっていつしたのか覚
【#幻想商人】ジオードの内側【#雛杜雪乃 / Vtuber / #雪のあーと】
「ティアドロップ……と言うものを、知っていますか?」
どこからか、オルゴールの音が聞こえる。緊張で硬く凝り固まった耳朶(じだ)が、湯にふやかされたように柔く、ゆったりとほどけていった。
こわばっていたまぶたが開き、瞳がようやく見たものを受け入れて、目の前にあるものと、自分が置かれた状況を理解した。
そう、確か私は……何かがあって、思わずこの店へと駆け込んだんだった。それが何だったのか、この店
【メイドの日】今日だけのメイドお兄さん【メイド / Vtuber / 女装】
「……ま。ご……さま」
声が聞こえる。優しげでふわふわとした、それでいて男性的な声だ。幾度となく聞き、眠たい意識のなかでも覚えているくらい、身に染みたあの声だ。
目を開けば声の主、雛杜雪乃がほんの少し困ったような微笑みを浮かべて、私を見つめている。
「おはようございます。ご主人様?」
違和感を覚える呼び方に疑問を覚えながら、目を擦り視線を落とす。その視界に入った姿に、脳がスパークを起こした
【短編小説】改造触手メイド服のお兄さんにめちゃくちゃ奉仕される【雛杜雪乃 / メイドの日 / Vtuber】
「そのですね、僕が好きなのは監禁される方で、監禁する方の趣味はないんですよ?」
目に映るのは薄桃色の髪。羊の毛か、そうでなければ縁日の綿菓子を思い起こすふわふわとした髪が、目の前の人物に伴ってゆらりと揺れる。前に、生来のくせっ毛が原因で、髪の毛は毛束ごと揺れ動くのだと言っていたのを思い出した。
こうしてじっくりと眺めると、その揺れ動きが犬のしっぽのように見えてきて、どことなく彼の感情が透けて
【背神】改造シスター服の廃教会【雛杜雪乃/シスター/男性Vtuber】
率直に言って、無謀な事をした。しかし、見合うだけの見返りは得られたと思う。
ここ最近お気に入りの個人Vtuber「雛杜雪乃」が、新しい企画を始めたと小耳に挟み、興味からタイムラインを覗き込んだ。
告知となる画像、およそ健全とは言い難い衣装。いつも通りおかしな人だと笑うが、それ以上に気になる点があることに気が付く。
ーー背景となっている廃教会。アレは、近所にあるんじゃないか、と。
私