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雑学

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#最近の学び

人はなぜ宗教を信じるように進化したのか

人はなぜ宗教を信じるように進化したのか


なぜこんなにも多くの人が宗教や超自然的存在を信じているのだろうか 正月、近所の神社に行くと、厄年を迎える人の生まれた年が大きく看板に書かれている。私は、宗教や神の存在は全く信じていないが、看板に書かれた年が自分の生年と一致していると、何の根拠もなく今年は病気に気をつけようとか、お守りぐらい買っておこうか、などと一瞬考えてしまう。これは、人を宗教にひきつける、人間の心理をついた「うまいやり方」であ

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進化における「適応」という言葉をめぐって

進化における「適応」という言葉をめぐって


適応の意味とは 日常生活で、「新しい職場の環境に適応できない」というふうに、その場の状態や条件にうまく対応できることのような意味で「適応 (adaptation)」という言葉を用いることが多い。たとえば、温暖化に対する対応としてもちいられる「適応」は、気候変動による影響に対応して被害を軽減するためのアクションという意見で用いられている。一般的な生物学的意味としては、「ある生物が環境に適合している

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老化の進化:なぜ老化しない生物がいるのか?

老化の進化:なぜ老化しない生物がいるのか?


なぜ生物は老化し、死ぬのか 老化(Senescence)あるいは生物学的加齢(biological aging)とは、年齢を経るにつれて死亡率が増大するような生物の生理的状態の変化のことだ。多くの生物は、年を取るにつれて、次第に体の状態が衰え、最終的に死に至る。年齢とともに病気に罹りやすくなったり病気で死亡しやすくなるすることは、老化が原因である。一方、生物は、偶然の事故や自然環境の変化で死亡し

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「利己的遺伝子」の誤解を招かない使い方

「利己的遺伝子」の誤解を招かない使い方


本記事を修正・加筆した記事が、以下の新書の第3章に収録されています。

「利己的遺伝子」とは「恋をするのも、争うのもすべては遺伝子の思惑通り?」これは2022年科学道100冊に選ばれたリチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」(1)の紹介のタイトルである。このような表現は、生物のあらゆる性質は遺伝子にとって有利に進化した結果である、ということを示唆したものだ。あまりにも表現が「俗っぽい」ので、うさ

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「種の保存のための進化」はどこが誤りなのか

「種の保存のための進化」はどこが誤りなのか


本記事を修正・加筆した記事が、以下の新書の第3章に収録されています。

レミングの集団自殺? レミングとは、主にツンドラ地域に生息するネズミの仲間で、3年から4年周期で個体数が急激に増減することが知られている。特に、レミングイヤーと呼ばれる年には、その数は激増し、集団移動をすることがある。この集団移動の時に、多くの個体が海に飛び込み「集団自殺」をするという"迷信"が広まった。この迷信の原因の一つ

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わかりやすい説明をすると「結論を理解する労力」が「その結論を導き出した労力」と誤解されるときがある

わかりやすい説明をすると「結論を理解する労力」が「その結論を導き出した労力」と誤解されるときがある

まとめ
・かなりの人が「結論をわかりやすく説明したときの論理」と「その結論を試行錯誤して見つけるときの論理」を明確に分けてない気がする
・だから簡単に理解できると、簡単に生み出した答えと勘違いする
・単に結論を理解してほしいときは、わかりやすい説明だけでよい
・相手に今後自分と同じように試行錯誤してほしい時は、わかりやすい説明に加えて、試行錯誤も伝える

結論の背景や試行錯誤をどこまで相手に伝える

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