マガジンのカバー画像

おすすめ記事

5
運営しているクリエイター

記事一覧

【新連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩

【新連載】大阿久佳乃が翻訳するアメリカ現代詩

2023年にアメリカ文学エッセイ集『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス)を刊行した文筆家の大阿久佳乃さん。同書で取り上げた詩人たちの作品を、大阿久さんの翻訳でお届けします。

2024年初夏より連載をはじめます。どうぞお楽しみに!

何と向き合うか

誰かと向き合うことは大事だ。
けれども、自分と向き合うことも大事だ。
埒があかないときには特に。
(もちろん、攻撃されている状態なら離れることが最優先だと思う。)

埒があかないと感じる他者の中には、埒があかない自分が居る。
世界には自分を通してアクセスしている。
だから、他者というのは「自分を通して見た他者」ということになる。
他の誰かが同じ他者を見ても、自分が見た他者とは違う像を拾うと思う。

もっとみる

ここに私か、私がここか



[問い]

水は、降りてきた。
雨として山に滲みこんで、どこかに湧き出たのだ。
どこか。知っていたような知っていなかったような。
湧き出るほどのやる気がありながら、ほんの少し不安だった。そんな気がする。

湧き出たら、流れなければならない。少なくとも、このような傾斜があるのだから。
傾斜は、きついのかゆるいのかわからない。ここしか知らない。
多分、ここしか知らないと思う。忘れているのかもしれな

もっとみる

ゴジラ考

令和5年(2023年)11月半ば。楽観と不安を半分ずつ抱えながら映画「ゴジラ−1.0」を観終わったぼくは、そのあまりにも相入れない感覚にしばらく憤りがとまらなかった。それは個人的な好みの問題や映画としての出来の良し悪しではなく、「こんなものはゴジラではない」という拒否反応だった。
ぼくはそれほど映画史に詳しくもないし、ゴジラ映画だって数作を観た程度でしかない。今作も観たのは2回だけだし、様々な観点

もっとみる