君たちとの、あれこれ

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記事

“大好き”の花束

「きれいだねぇ」

そう言って嬉しそうに笑う私を、更に嬉しそうな顔でちびが見ていた。

いつだってそうなんだ。いつだって、彼らは私の幸せを心から喜んでくれる。



「おかあさん、にわのおはな、かざろうよ」

ちびがそう言ったのは、青空が広がる少し暑い日の夕方だった。真冬ならすでに黄昏色に変わっているであろう空は、すっきりと晴れ渡った清々しいほどの碧だった。

「いいね、飾ろうか。どのお花を飾る

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ブックカバー「ことばの海」には、やはり海がよく似合います。
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白米、空を飛ぶ。

見たこともない光景に、思わず目を疑った。

息子を生んでからというもの、私のなかの「常識」がことごとく覆されていく。



「おかあさん、たいへんでしょ?おてつだいするよ!」

張りのある元気な声が、足元から響いた。幼少期の長男は、よくそう言って台所の床の上でぴょんぴょこ嬉しそうに飛び跳ねていた。手にはお玉とボウルを持ち、それらを元気よくぶんぶんと振り回している。

”おてつだいするよ”

何と

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平和な気持ちになれる絵を描くのが好きです。
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「もう”こども”だもん!」

我が家の息子たちは、水遊びが好きだ。
ここ最近、お天気の良い昼間は気温がぐんぐんと上がる日が増えてきた。梅雨が始まったらまた寒が戻ってくるのだろうが、初夏の陽気はそこそこに身体が汗ばむくらいには暑い。

「おかあさん、プールやろうよ」

ちびが言う。私はしばし思案する。たしかに暑くなってきたが、まださすがに水浴びをするには早すぎるような気もする。風も少し冷たいし、風邪をひかれては困る。

「うーん

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「庭」のブックカバーで、春の装いを楽しんでみませんか?
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小さなカメラマン

「みて!きれいでしょ?」

そう振り返るちびの顔は、きらきらと輝いていた。差し出された掌に握られたスマホのなかで、季節の花々が美しく咲き乱れていた。



初夏のように暑かった晴天の午後、ちびと近くの神社までお散歩をした。
先日ちびは足を怪我してしまったので、今はお散歩もままならない。だからこれは、ちびが怪我をする1日前の話だ。

「おかあさん、おそといこう」

いつものようにちびが言う。彼は外

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青空に「祈り」を込めて。今日も佳き1日でありますように。
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守りたいものがあるから、私は自分を守ると決めた。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の延長が決定して、数日が経過した。予想はできていたものの、これをまた息子、特に長男に告げなければいけないのかと思うと気持ちが重く沈んだ。

先日公開した育児エッセイで、この現状に対する不満を爆発させた長男への想いを綴った。

”いい加減にしてくれ”
誰しもそう思っているだろう。そう叫びたくて、でもそれをかみ殺している人たちがたくさんいるのだろう。

「俺たちの代

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息子(ちび)へ

私には、二人の息子がいる。今日は次男であるちびに宛てて、手紙を書く。

ちびが産まれたのは、お天気の良い春の日だった。桜が葉桜になり、紫陽花の新芽が元気に色付き始めた頃。夜中に陣痛がきて、長男と旦那に連れられて病院に向かった。朝になる頃一度遠のいた陣痛が再びやってきて、昼頃に元気な産声を上げた。

陣痛の最中、長男が一生懸命腰を擦ってくれた。陣痛は当たり前に痛かったけれど、その掌から伝わる優しさの

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「ありがたいことは、あたりまえじゃないの?」

「当たり前だと思わないでね!」

母は、この台詞がお気に入りだった。
ご飯があること。お家があること。学校に行けること。
全てがありがたいことであり、心の底から感謝すべきだといつも口を酸っぱくして私たちに話していた。母の生家は、時代もあるのだろうが、とても貧しかった。まだ幼かった母を柱に縛り付けて農作業をしなければ、生きていけないほどに。

ご飯を残すことは、絶対に許されなかった。それはどんな場合

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子どもたちの今

昨夜、長男が泣いた。彼が声を上げて泣くところを見るのは、随分と久しぶりのことだった。私にできるのは、彼の背中を擦り続けることだけだった。
「悔しいね」
そう言いながら、抱きしめることだけだった。

*

コロナの影響で、また公式試合が一つ潰れた。その試合を、息子はとても楽しみにしていた。その試合に勝てば県大会がある。勝ち上がれたものだけが挑戦できるステージがある。県大会で結果を残すこと。それが彼ら

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色付く部屋

ソメイヨシノが葉桜に変わった。美しい新緑の葉を付けた木々には、きっともうすぐサクランボに似た赤い実が鈴なりになる。その実をついばみに鳥たちがやってくる。口々に軽やかな歌をさえずりながら、季節の味を楽しむ鳥たちの羽音。その音は例年と変わることなく、生命力に溢れているに違いない。

混沌に満ち溢れた人の世には見向きもせずに、季節は巡っていく。

***

昨日一晩、アパートにて息子たちと共に時間を過ご

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「そんなこと」なんかじゃない。

例の感染症の影響に伴い、学校がGW明けまで休校になった。プール授業もなくなって、長男の小学校生活最後の運動会さえも、何が何だか分からないうちに煙のように消えてしまった。

走るのが好きで、泳ぐのが好きで、とにかく運動が好きで。何よりバスケが好きで。それなのにもう1か月以上まともにバスケをしていない。庭のゴールでひたすら練習しているけれど、一人で打ち込むシュート練習だけでは単調過ぎて物足りないらしい

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