碧月はる

エッセイスト/ライター。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。書評『ダ・ヴィンチWeb』|…

碧月はる

エッセイスト/ライター。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。書評『ダ・ヴィンチWeb』|映画コラム『osanai』|連載『withnews』『BadCats Weekly』など多数|他、インタビュー記事・小説を執筆。書くことは呼吸をすること。海と珈琲と二人の息子を愛しています。

マガジン

  • #note珍百景 暇を持て余したnoterたちの遊び

    • 185本

    「せんせー!noteで変な遊びしてる人たちがいますー!」 見て楽しい、やって楽しい、noteの斬新な遊び方。 この人たち何をやっているんだろう…が永遠に楽しめる。 凹んだときに読み返してほしい、ビタミン剤的なマガジンです。

  • サバイバーからの伝言

    虐待被害に合い、生き辛さを感じてもがき苦しむ人たちへ。 私があなた達に伝えたいことは、2つだけ。 『あなたは、悪くない』『生きて』

  • 琴線に触れたnote集

    何度でも読みたくなる。 出会えたことに心から感謝したい、素敵なnote集。

  • 日々、想い事

    日々のあれこれ。 子育てのこと、庭のこと、自身のことなど、想うままに綴っていきます。 読んだ人がホッと出来るような空間にしたいです🍀

  • 君たちとの、あれこれ

    息子たちとの出会い。 息子たちとのあれこれは私の中の奥の方を容赦なく引っ掻き回し、私という人間を生かしてくれた。 *時系列はバラバラです。その時心に浮かんだ記憶と想いを、ありのままに書いています。

最近の記事

  • 固定された記事

【アリ、時々キリギリス】

私の母は、美容院に行かない人だった。一本に縛った髪の毛を、ハサミで真横に切り落とす。私も何度か、その役目を任された。 ジョキン。 潔い音とともに、風呂場の床に母の長い髪の毛が散らばる。それらをかき集める最中、よく爪の間に髪の毛が刺さった。痛みよりもやるせなさを感じた理由が、当時はわからなかった。でも、今ならわかる。やるせなさを感じていたのは母で、私はそれを無意識化で拾い上げていただけだった。 母は言った。 「美容院代なんてもったいない。髪の毛を切るだけなのに何千円も払

    • 【影絵に浮かぶ祈り】

      先日、noteに書いた通り、現在のパートナーと入籍をした。夫婦別姓の世の中を切望しているが、私自身は両親と絶縁しているため、旧姓に一切未練がない。むしろ、身元を隠すためにも彼の姓を名乗ったほうがより安全だろうと、夫の姓を名乗る形で話はまとまった。そのため、元夫の氏を名乗っている息子たちと私は、違う名字となる。そのことを彼らに伝えたとき、長男、次男ともに「お母さんの名字が変わるからなんなの?それで何か変わるの?」とポカンとしていた。「家族の一体感」とやらを重視して夫婦別姓に”慎

      ¥300〜
      • 【性被害者が加害者に抗えない理由。原作『先生の白い嘘』が描く被害者心理について】

        漫画『先生の白い嘘』(講談社)に出会ったのは、発信活動をはじめるより少し前のことだった。鳥飼茜氏による原作は、「性被害」の実態を容赦なく描いている。被害そのものにとどまらず、被害者が陥りやすい防衛機制までもが生々しく表現されており、いち当事者である私は、読みながら何度も息を呑んだ。 全八巻に及ぶ本作は、序盤から性被害の描写が登場する。主人公は、高校教師の原美鈴。彼女が主な被害者として描かれているが、本書において、登場人物の大半が何らかの被害者であり、何らかの加害者でもある。

        • 【改めて、家族】

          2024年6月30日、大安吉日。 現在のパートナーと入籍しました。 彼と暮らしを共にして、およそ2年。この日を迎えるまでに、さまざまなことがありました。私たち2人の関係性においても、私個人の問題においても。彼は、どんなときも変わらぬ笑顔で支え続けてくれました。その腕の温かさと揺るぎなさを、私はいつだって信じることができました。 もともとは、次男が成人したあとに入籍を予定していました。しかし、まさかの息子たちに背中を押される形で、再婚する運びとなりました。 「まだ結婚して

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        【アリ、時々キリギリス】

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          25本
        • 琴線に触れたnote集
          1,652本
        • 日々、想い事
          72本
        • 君たちとの、あれこれ
          17本
        • そっと背中を押してくれた人たち
          153本

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        メンバー特典記事

          【影絵に浮かぶ祈り】

          先日、noteに書いた通り、現在のパートナーと入籍をした。夫婦別姓の世の中を切望しているが、私自身は両親と絶縁しているため、旧姓に一切未練がない。むしろ、身元を隠すためにも彼の姓を名乗ったほうがより安全だろうと、夫の姓を名乗る形で話はまとまった。そのため、元夫の氏を名乗っている息子たちと私は、違う名字となる。そのことを彼らに伝えたとき、長男、次男ともに「お母さんの名字が変わるからなんなの?それで何か変わるの?」とポカンとしていた。「家族の一体感」とやらを重視して夫婦別姓に”慎

          ¥300

          【影絵に浮かぶ祈り】

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          【アヒルと鴨のコインロッカー】 答えは風に吹かれている

          世界的なミュージシャンである、ボブ・ディラン。彼は「音楽の神さま」と言われている。彼の存在を知ったのは20代後半の頃、とある映画がきっかけであった。 伊坂幸太郎原作の小説を中村義洋監督が映画化した、「アヒルと鴨のコインロッカー」。濱田岳と瑛太がダブル主演を務める他、関めぐみ、松田龍平、大塚寧々ら実力派俳優がそれぞれ個性的なキャラクターを見事に演じている。 大学進学とともに仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、荷ほどきをしながらボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」を口ずさん

          ¥300

          【アヒルと鴨のコインロッカー】 答えは風に吹かれている

          ¥300

          【必要なこと】

          今日は、先月終わりに書いた散文の続きを綴りたい。

          ¥300

          【必要なこと】

          ¥300

          【5年前に】

          ¥500

          【5年前に】

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          【おと・な・り】 耳を澄ませば見えてくるもの

          ¥300

          【おと・な・り】 耳を澄ませば見えてくるもの

          ¥300

          【手紙】

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          【手紙】

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        記事

          【アヒルと鴨のコインロッカー】 答えは風に吹かれている

          世界的なミュージシャンである、ボブ・ディラン。彼は「音楽の神さま」と言われている。彼の存在を知ったのは20代後半の頃、とある映画がきっかけであった。 伊坂幸太郎原作の小説を中村義洋監督が映画化した、「アヒルと鴨のコインロッカー」。濱田岳と瑛太がダブル主演を務める他、関めぐみ、松田龍平、大塚寧々ら実力派俳優がそれぞれ個性的なキャラクターを見事に演じている。 大学進学とともに仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、荷ほどきをしながらボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」を口ずさん

          ¥300〜

          【アヒルと鴨のコインロッカー】 答えは風に吹かれている

          ¥300〜

          【必要なこと】

          今日は、先月終わりに書いた散文の続きを綴りたい。

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          【必要なこと】

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          【5年前に】

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          【おと・な・り】 耳を澄ませば見えてくるもの

          ¥300〜

          【おと・な・り】 耳を澄ませば見えてくるもの

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          【手紙】

          ¥300〜

          【手紙】

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          【祈り】

          取材から帰宅すると、パートナーはいつも「楽しかった?」と訊ねる。「うまくできた?」ではなく、「楽しかった?」と。 そういう人だから好きなんだよなぁ、と私の頬はだらしなく緩む。 「楽しかったよ」 そう答えると、彼の頬も緩む。どちらかが嬉しいと嬉しい。どちらかが悲しいと悲しい。絵本でお馴染みの『ぐりとぐら』のような私たちは、容赦のない日々を少しでも笑って過ごしたいと願っている。

          ¥300〜

          【祈り】

          ¥300〜

          【ジョゼと虎と魚たち】 人は脆く、それでいて案外と強い

          ¥300〜

          【ジョゼと虎と魚たち】 人は脆く、それでいて案外と強い

          ¥300〜

          【性被害告発後の経緯と、相互フォロワーさんへのお願い】

          昨年、ここnoteで知り合った方から受けた性被害を告発しました。しかし、未だ加害者は償いの意志を見せず、アカウント削除に応じる気配もありません。そればかりか、事件当日の近辺に新たな記事を公開されました。(私がTwitter上で言及したため、現在は下書きに戻されています) 私の性被害告発において、共感と理解を示してくれている方々にお願いがあります。 加害者のnoteアカウントのフォローを外していただけないでしょうか。共に憤ってくれている私への寄り添いから想像するに、おそらく外

          【性被害告発後の経緯と、相互フォロワーさんへのお願い】

          【明日の約束】

          できるだけ優しい気持ちで生きたい、温かい言葉を綴りたいと常々思っている。でも、それが難しいと感じる事象が多すぎて、心がへとへとになってしまう。全身に力を入れるより、息を吐きながらゆるめたほうが楽になれるのだろう。頭ではわかっているのに、怒りの感情がそれを許してはくれない。もう怒りたくない。そう思うのに、次から次へと投げ込まれる石が私とパートナーの生活を直撃するものだから、怒らずにはいられない。アンガーコントロールは、被害者の立場であってもマスターしなければならないのだろうか。

          ¥300〜

          【明日の約束】

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          【春を食べる】

          気温が上がってきたと思ったら雨続きで、青空と桜のコントラストを今年はまだ見られずにいる。写真家の友人は、「植物は曇りの日に撮影すると光線の加減が自然に仕上がる」と言った。友人が撮る桜の写真は、端正で美しい。彼女を真似て、薄曇りの空の下、満開の桜にレンズを向けた。切り取った桜は、どことなく悲しげだった。天気のせいか、私の心模様のせいか、どちらかはわからない。 春が好きだ。その理由の大半を桜が占めている。人混みは苦手だが、お花見に集まる人を見るのは好きだ。どことなく皆浮かれてい

          ¥300〜

          【春を食べる】

          ¥300〜

          有料マガジン再開のお知らせ

          今月から、諸々の事情により中断していた有料マガジンを再開いたします。 メンバーシップを利用しての再開となりますが、基本的には以前と変わらず、毎月有料の読みものを月3本更新いたします。 メンバーシップ(マガジン)の内容としては、何気ない日々の一コマを綴ったエッセイを中心に、月ごとのおすすめ本、映画に絡めたコラムなどを更新する予定です。 また、2024年6月に閉鎖となるメディア「BadCats Weekly」にて連載していたエッセイ、映画コラムも、加筆修正した上でこちらに転載

          有料マガジン再開のお知らせ

          閉じ込める

          深夜に暴れ回るカメムシの羽音は存外うるさい。温かい室内が恋しくて入ってきたのだろう。毒虫ではないと知ってはいるが、夜ごと暴れ狂う彼らと共に安眠するのは難しい。 室内に臭いが残るのを防ぐため、捕獲時には必ずガムテープを用いる。ガムテープに捕らえられたカメムシは、六本の足を必死にジタバタさせてもがく。その様を見下ろしながら、躊躇なくガムテープを二つ折りにして密閉する自分が、時折ひどく残酷な生き物に思える。動きを封じられ、閉じ込められ、酸素が尽きれば死に至る。いっそ一思いに叩き潰

          閉じ込める