サバイバーからの伝言

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記事

ブレーキの壊れた自転車に乗っているみたいな文章のなかに、光なんて含めようもなかった。

パソコンとスマホの電源を落として、暗い夜道をふらふらと歩いた。昔もこうやってあてもなく夜道を彷徨ったことを、ふと思い出した。

カエルの声が大音響でこだましている。わんわんと唸るように鳴り響くその声を、初めて少し怖いと感じた。夜空には星が無数に瞬いていた。綺麗だと思って、そんな自分にホッとした。遠くから聞こえてくる踏切の遮断機が下りる音にも、思ったほど惹かれなかった。何も変わっていないようで、やっ

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「庭」のブックカバーで、春の装いを楽しんでみませんか?
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「不幸の数とnoteのフォロワーの数が比例していて、すごいですね」

掌から手首へとしたたる鮮血は、褐色に近い赤だった。私の身体はどこも痛くない。だからこの血は、私のものではない。

私の、父親のものだ。



夢を見る。どこまでも救いのない、痛みだけがヘドロのようにまとわりつく嫌な夢だ。夢のなかで、あの男が私の上に乗っている。現実では出せなかった大声を上げて、私は叫んでいる。

「やめて、やめて、やめて!!」

その声はたしかに空気を震わすほどの叫び声なはずなの

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心象風景グッズは、私の創作の源です。
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「虐待されていた私」ではなく、「私」として生きていい。

お酒の匂いが嫌いだった。口元のみならず、体臭からも発せられるあの匂い。その匂いが鼻先を掠める日、私の身体はいつもどこかしら痛んだ。

私の父は、アルコール依存症だった。

いつの頃からそうだったのか、記憶は定かではない。初めて腹を蹴られたのが保育園のときだったのは覚えているが、それは朝のことだったから、酒とは関係のないところで起きた話だ。

「早く起きろっつってんだろ!!」

そう言って息が止まる

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平和な気持ちになれる絵を描くのが好きです。
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私は私を幸せにする。

旦那と入籍をして、今年で13年目を迎える。5年ほど付き合って結婚したので、トータル18年も一緒にいる。私が実家で過ごした年数を越すくらい一緒にいたんだなぁ、と感慨深くもある。

当たり前だが、好きで結婚した。愛し合ったうえで一緒になった。おそらく旦那の側も、そのときの気持ちに偽りはなかっただろうと思う。

どこですれ違ったのか、思い返せば行き当たるのは、やはり妊娠がきっかけだった。入院するほど酷い

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ブックカバー「ことばの海」には、やはり海がよく似合います。
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命が奪われてから騒ぎ出したって、その子はもう生き返らない。

湯でダコのようだった頭が、お風呂上りくらいまでには冷えてきた。
まだまだ、いつも通りとはいかない。

先日、感情の渦に飲み込まれる出来事があった。その日からおよそ1週間。7日経っても、私の気持ちは大きくアップダウンを繰り返している。
どんなときでも冷静でいたい。自己満足ではなく、長期的に見て相手の為になるかどうかの判断が下せる大人で在りたい。そう思いながらも、実際に自身の体験と重なる状況を目の前で

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青空に「祈り」を込めて。今日も佳き1日でありますように。
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亡者が起きる音

本記事は筆者とその周辺へのプライバシー保護の観点より、有料とさせて頂きます。公開するか迷いましたが、自身の不甲斐なさも含めて忘れてはならない出来事であったこと、そこから伝えられるものが少なくないことから、公開する決断をしました。内容を含め賛否両論あるかと思いますが、ご意見は真摯に受け止めます。

地響きのような音が頭上から降ってきた。聞き慣れた音、のはずだった。でもその音は、私のなかに眠っている亡

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青空に「祈り」を込めて。今日も佳き1日でありますように。
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私には世界を変える力はない。でも、書くことは出来る。

先日、両親と自身の過去、未来への想いを綴った記事を二つ、日を跨いで公開した。

この2つの記事は、一見真逆のことを書いているように捉えられるかもしれない。でも私が伝えたいことは、どちらの文章の中でも変わらずに1つだった。

「あなたは悪くない」

傷つけられた側が自分を責めてしまう。周囲の無理解と心ない言動に、下げなくてもいいはずの頭を下げてしまう。

そんなことしなくていい。謝るべきは傷付けた側

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「庭」のブックカバーで、春の装いを楽しんでみませんか?
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“許し”を強要する権利なんて、誰にもないんだよ。

「もういいじゃん。許してあげなよ」

“すべて分かっています”という顔をしてその台詞を私に投げた人の顔を、今でも覚えている。内臓が熱く沸き立つような怒りを感じながらも、曖昧に微笑むしか術はなかった。理解されないことの方が多いのは、それまでの経験から分かりきっていた。それでも、心はぎしぎしと鈍い音を立てた。

◇◇◇

不思議なもので、他人が行えば重罪になるようなことも、親が加害者の場合は周囲の反応

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「庭」のブックカバーで、春の装いを楽しんでみませんか?
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再生

「そんなことあったかなぁ…」

そう呟いては不思議そうに首を傾げる。そんな父親の顔は、何だかやけに幼く見えた。

◇◇◇

年末年始、寒い東北の故郷に1週間ほど帰省した。その時間は、私にとって思いがけないほど優しいものだった。

穏やかな笑顔で「ただいま」を伝えられたのは、おそらく初めてだった。私を酷く虐げていた両親たちに対する憎しみ。それが不思議なほど身体から流れ出しているのを感じたのは、昨年の

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心象風景グッズは、私の創作の源です。
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先生、わたし、お母さんになったよ。

私は、半袖を着ることが出来ない。水着を着るときはラッシュガードが欠かせないし、友人と温泉に行くことすらままならない。

精神的にとても不安定だった時期、セルフハームを繰り返していた。いわゆる自傷行為である。初めてそれをしたのは、確か中学1年の頃だったと記憶している。場所に拘りはなく、人に見せることもなかった。痛みを感じられれば、それで良かった。自分を罰したいといつも願っていた。不浄な生き物だという

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