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日々、想い事

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日々のあれこれ。 子育てのこと、庭のこと、自身のことなど、想うままに綴っていきます。 読んだ人がホッと出来るような空間にしたいです🍀
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記事一覧

【改めて、家族】

【改めて、家族】

2024年6月30日、大安吉日。
現在のパートナーと入籍しました。

彼と暮らしを共にして、およそ2年。この日を迎えるまでに、さまざまなことがありました。私たち2人の関係性においても、私個人の問題においても。彼は、どんなときも変わらぬ笑顔で支え続けてくれました。その腕の温かさと揺るぎなさを、私はいつだって信じることができました。

もともとは、次男が成人したあとに入籍を予定していました。しかし、ま

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閉じ込める

閉じ込める

深夜に暴れ回るカメムシの羽音は存外うるさい。温かい室内が恋しくて入ってきたのだろう。毒虫ではないと知ってはいるが、夜ごと暴れ狂う彼らと共に安眠するのは難しい。

室内に臭いが残るのを防ぐため、捕獲時には必ずガムテープを用いる。ガムテープに捕らえられたカメムシは、六本の足を必死にジタバタさせてもがく。その様を見下ろしながら、躊躇なくガムテープを二つ折りにして密閉する自分が、時折ひどく残酷な生き物に思

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【紡がれた言葉を通して、新たな出会いが生まれる。『スローシャッター』が、私に与えてくれたもの】

【紡がれた言葉を通して、新たな出会いが生まれる。『スローシャッター』が、私に与えてくれたもの】

「旅」というものに、あまり馴染みがない。それにはおそらく、生育環境が大きく起因している。

私の実家は、自営業を営んでいた。365日、休みなしの自営業。子ども心に不思議に思い、「どうしてお休みを作らないの?」と尋ねたら、母の怒声が返ってきた。

「休んでる暇なんかないでしょう!お金がないんだから!!」

お金がない人は、休んじゃいけないんだ。

私がそう刷り込まれたのは、多分あの瞬間だったように思

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【効き目の長い絆創膏】

【効き目の長い絆創膏】

もう「此処ではエッセイを書かない」と、昨年の終わりに決めた。それなのに、どうしても書きたくなって、心の赴くままにこの文章を書いている。

此処で書いていなかっただけで、文章自体は毎日書いていた。ライターという職業柄、それはある意味当然といえよう。しかし、仕事以外の文章も、ひっそりと書いていた。脳内で常に手招きしてくる「書きたい欲」は、私を自由にもするし、不自由にもする。ただ、誰にも見られない場所で

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【有料マガジン廃刊のお知らせ】

【有料マガジン廃刊のお知らせ】

およそ2年半、noteで書き続けてきた有料マガジンを、このたび廃刊することにしました。

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【未来の自分への手紙~北欧、暮らしの道具店「3年日記」を購入して】

【未来の自分への手紙~北欧、暮らしの道具店「3年日記」を購入して】

「自分のためだけのものを買う」行為に、わりと抵抗がある。

食品や生活用品は、「なくては生きていけないもの」、いわゆる「不要不急」のもので、さほど罪悪感なく買える。果物やデザートなども、頻度さえ決めてしまえば、“たまにだしいいよね”と思えるようになった。本は、仕事に直結しているので、「仕事のため」「文章力向上のため」との建前が使える。実際には「ただ読みたいから読む」のだけど、自分に対する言い訳がき

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【あなたのがんばりを誰よりも知っているのは、あなた自身だ】

【あなたのがんばりを誰よりも知っているのは、あなた自身だ】

謙遜が美徳とされるこの国では、自分のがんばりを口にすると、こんな言葉が返ってくる。

「それくらいみんなやってる」
「それくらいできて当たり前」
「自分で『がんばってる』とか言っちゃう時点で半人前」

このように言われると、せっかく膨らんでいた自信や意欲が、みるみるうちに萎んでしまう。例え言われたのが自分自身じゃなかったとしても、他の人が言われているのを耳にすれば、「がんばった」と口に出すことは愚

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【生きて朝を迎えたすべての人へ】

【生きて朝を迎えたすべての人へ】

毎晩、叫んでいる。追いかけてくる悪夢が、私を過去へ引きずり戻す。逃げたい。そう思うのに、体が動かない。金縛りにあったみたいに、指一本動かせない。脳内で鳴り響く警笛アラームを、体がキャッチしてくれない。その矛盾に、ただひとり、絶望する。

言葉にならない声を喚き散らすたび、耳元で声がする。

「大丈夫、大丈夫だから。聞こえてるでしょ?」

その声を認識して初めて、金縛りが溶ける。馴染みの声を頼りに、

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【そんな人だと思わなかった】

【そんな人だと思わなかった】

なるべく言葉を選び、丁寧に人と接したい。基本的には、そう思っている。でも、常にそうできるわけじゃない。24時間、誰に対しても「いい人」でなんかいられないし、嫌なことをされたらムッとするし、理不尽に叩かれたら血管がキレそうになる。喜怒哀楽ぜんぶ、それなりに持っている。アイコンの奥にいるのは、常に一定の動きをするロボットじゃない。生身の人間で、感情にもホルモンにも波があって、余裕のあるときもあれば今に

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【二度目の春】

【二度目の春】

二周間ほど前に花瓶に生けた花が、しょんぼりと萎れはじめた。元気をなくした子にお礼を伝え、まだ元気が残っている子を短くカットし、プリンの空き瓶に生け直した。黄色とグリーンの小菊が、喜んで水を吸っている。顔を上げて、にこにこと笑っている。

離婚前に住んでいた家には、庭があった。息子たちと一緒に植えたハーブや多年草が元気に新芽を出す春を、毎年楽しみにしていた。あの子たちは、今でも元気でいるだろうか。セ

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【私たちの人生は、物語ではないから】

【私たちの人生は、物語ではないから】

昔、『いつみても波乱万丈』というドキュメンタリー番組があった。もしも自分がゲストなら、話す内容にはこと欠かないな――そう思いながら、画面に映るタイトルをぼうっと眺めていた。

エッセイを書くうえでも、たびたび同じようなことを思う。波乱万丈であればあるほど、エピソードは尽きない。これを外側から言われるのは我慢ならないが、自分で思うぶんには、まあ自由だろう。



虐待サバイバーとしての原体験を発信

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【アリ、時々キリギリス】

【アリ、時々キリギリス】

私の母は、美容院に行かない人だった。一本に縛った髪の毛を、ハサミで真横に切り落とす。私も何度か、その役目を任された。

ジョキン。

潔い音とともに、風呂場の床に母の長い髪の毛が散らばる。それらをかき集める最中、よく爪の間に髪の毛が刺さった。痛みよりもやるせなさを感じた理由が、当時はわからなかった。でも、今ならわかる。やるせなさを感じていたのは母で、私はそれを無意識化で拾い上げていただけだった。

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【1年9カ月前の私へ】

【1年9カ月前の私へ】

PMS期って、どうしてこんなにも高カロリーのものが食べたくなるんだろう。炭水化物とか、肉とか、炭水化物とか、甘いものとか、炭水化物とか。しかも、食べたからって症状がおさまるわけじゃない。むしろ、食べたら食べたで「またやっちまった……」っていう罪悪感にさいなまれる。
私は食べたら食べたぶんだけ身体に脂肪がつく超エコ体質なので、PMSがくるたびに顔が丸くなる。そして、増えたぶんが減る前に次のPMSが来

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【私たちは、迷いながらも“なぜ書くのか”】

【私たちは、迷いながらも“なぜ書くのか”】

今すぐ、この感情を書き留めておきたい。そんな衝動に駆られることが、よくある。自分のために書くときほど、両手の動きが溢れ出る言葉に追い付かない。タイピングが遅い自分に、ひどく苛立つ。書きたい想いが逃げてしまう前にキーボードを叩きたいのに、焦れば焦るほど指先が言うことを聞かない。誤字を連発し、バックスペースを連打する。奥歯を強く噛みしめ、全身に力が入り、呼吸さえも忘れている。書き終わった瞬間、ぐったり

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