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ある日の記録

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日常の中でたまに起きる、忘れたくない一日のこと
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#日常

3月28日、昼間の街と人と私。

3月28日、昼間の街と人と私。

3月末の東京の気候は、着るものに迷う。特にこの1か月、仕事漬けでほぼ外に出ていなかったので、今日の外出前に何を着ればいいのか予測を立てにくかった。

iphoneの天気予報では昼過ぎの気温は14℃。冬物のコートを着ようか着まいか迷って、ベランダの窓を開けた。

寒くはないけれど、吹く風にまだそこまでの暖かさが含まれていない。

瞬間、これまでに越えてきた幾度もの3月の空気感がふわっと体内を駆け巡っ

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愛しい6秒

愛しい6秒

日常のふとした時に、空を見上げる。

電車の流れる車窓の向こう。

自転車をこぐ、スーパーからの帰り道。

エレベーターから玄関までの数メートル。

洗濯物をとりこむベランダ。

そのたびに、ああ、この色合いが最高に好きだ、と思う。

川面よりもまぶしい水色。
幻想的な青とピンク。
淡いグラデーションの藍。
ピンクとオレンジの間の夕焼け。

どの色も、二度と見られない。写真には収まらない。

ずっ

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空をたたむ

空をたたむ

干しておいた大量の洗濯物をたたもうと、ハンガーからスカートやらシャツやらをスルスルとはずして、布団の上に山盛りに重ねていく。

何となく、もうここでたたもうと思い適当に座ったら、ちょうど窓を正面に見据える向きになった。

さあたたむぞ、と薄手のシャツを1つ取り上げて目の前に広げてかざすと、シャツの向こうに青空が透けて見えた。視線を少しずらすと、窓越しの広い空がシャツと私の両手をかたどる。流れる白い

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