愛しい6秒
日常のふとした時に、空を見上げる。
電車の流れる車窓の向こう。
自転車をこぐ、スーパーからの帰り道。
エレベーターから玄関までの数メートル。
洗濯物をとりこむベランダ。
そのたびに、ああ、この色合いが最高に好きだ、と思う。
川面よりもまぶしい水色。
幻想的な青とピンク。
淡いグラデーションの藍。
ピンクとオレンジの間の夕焼け。
どの色も、二度と見られない。写真には収まらない。
ずっと見ていたいなあと思いながら、そんなわけにもいかず日常のあれこれに戻っていく。
本当に大切なことなんて、たぶんあんまりない、とふと思った。
今日も何かと用事や意味や迷いをごてごてとくっつけて、贅沢な無駄を携えて、仮初めの生を明日へつなぐ。
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