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向暑はるの日常 2022年

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2022年の日常です。
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2022年4月の記事一覧

君から僕へ

君から僕へ

noteを書き続けてる理由は、一つの後悔と自己中心的な欲望のせいだ。

話すこと以外の言語の使い方に疎い自分に、ある種の呪いをかけていた。

伝わるわけがない。

読んでくれるわけがない。

でももしかしたら。

そんな厚さ40ミクロンにも満たないわずかな可能性にかけて、言葉を残していた。

修復不可能な時計をなおしているような感覚だ。

どこをなおそうとしても壊れていく一方だった。

“後悔”は

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バカだから楽しみすぎてしまう

バカだから楽しみすぎてしまう

バカは失敗から学ばないという言葉がある。

じゃあ、向暑はるはバカだ。

今年ももうすぐやってくる長期休暇に心を躍らせ始めている。

去年もそうだったし、その前もその前の前の年もそんな感じだった。

そうしてその休暇が過ぎた後に、五月病がやってくるのも毎度のことである。

次の年は楽しみ過ぎないようにと誓うものだけど、一年も経てば何も学んでいない自分が次々と計画を立てていく。

ほら、バカだ。

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小さな悪あがきを残してきた

小さな悪あがきを残してきた

8つ離れた弟が、この春高校生になった。

まだまだ高校生の頃の記憶に縛られている向暑はるは少しだけ恥ずかしくなったりする。

兄弟というのは似たもので、弟はこれまで続けてきたスポーツの道を外れて、新しく音楽の扉を開こうとしているらしい。

ベース借りていい?

とラインが来るまでは、スポーツを続けるものだと勝手に思っていた。

でも、かつて”相棒”と呼んでいたWarwickの音が再び聴けると思うと

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夢から痛みを持ってくる

夢から痛みを持ってくる

どこか分からない駅の改札で、偶然懐かしい人に会った。

偶然のくせに、それが中学の頃の部活の先輩だと気づくまで全く時間がかからなかった。

夢というのは、現実で起こりそうで起こりえない絶妙なラインをついてくる。

おー!とお互いが同じタイミングで認識しあった。

マスクを少し外して口元を見せながら名前を呼び合う。

先輩なのに、自然と呼び捨てで呼んでしまうのはあの頃と変わらなかった。

顔立ちの良

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隙間がないように見せてるだけ

隙間がないように見せてるだけ

アルコールが自制心を乗っ取ってきたあたりで、誰かがこう言う。

彼女(彼氏)できた?

テンプレかのように毎回聞く言葉だけど、もしかしたら向暑はるの知らない飲み会のマニュアルがあるのかもしれない。

第一条「ほろ酔いのタイミングで恋愛の話を切り出すべし」

みたいな。

案の定盛り上がってしまうのだから、研修で渡されるマニュアルよりかは役に立っている。

そんなテンプレをちょうどいいタイミングで、

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形のないものは美しい

形のないものは美しい

公園の桜の木が徐々に緑に染まってきた。

昨日までピンク色の一部となっていた花びらは、今頃風にでも飛ばされてどこかの道端で今年の役目を終えているのだろう。

今日もいくつかの花びらが今年の役目を終えている。

地面にたどり着く最後の最後まで可憐に舞う生涯は、最後まで美しく生きていたいという強い意志を感じる。

”消えていくもの”や”廃れていくもの”に美しさを感じてしまう心がこの国にはあるらしい。

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500円のモーニングセット

500円のモーニングセット

都会の駅周辺ならどこにでも見かけるカフェでパソコンを開いていた。

モーニングセットで頼んだトーストは、家で食べる食パンとなんら変わらない気がした。

500円という値段に惹かれたはいいものの、よく考えたらスーパーなら5枚も買える。

まあいいか。

そんな節約思考をコーヒーと共に食道に流し込んだ。

外と内を分けるガラス窓の向かいに座ったため、外の景色がよく見えた。

スーツを着た営業マン、仲睦

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